2011年2月8日火曜日

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【北海道&東日本パスの旅 1日目】 ゆめぞら号と旅立ちの夜

※仕事終了後、そのまま

渋谷
10:07発

↓ 3600E 山手線~東北本線~高崎線
  特快 湘南新宿ライン
  
11:56着
高崎
12:25発

↓ 735M 上越線

13:26着
水上
13:42発

↓ 1741M 上越線

13:50着
土合
14:25発

↓ 9736M 上越線
  快速 ゆめぞら4号
  
14:36着
水上
14:40発

↓ 744M 上越線

15:45着
高崎
15:50発

↓ 946M 高崎線~東北本線~山手線

17:32着
赤羽
17:36発

↓ 1716K 埼京線

17:51着
新宿

※一旦帰宅

新宿
23:10発

↓ 8763M 山手線~東北本線~高崎線~上越線~信越本線
快速 ムーンライトえちご

これまでこの「北海道&東日本パス」というきっぷには北海道へ旅行
する際にはよくお世話になってきた。これまで有効期間が連続5日間
だったため、鈍行列車だけで移動しようとすると、追加料金なしでは
急行「はまなす」で3日目になってようやくたどり着く。

青森~函館相互発着に関しては自由席特急券のみ購入すれば自由席に
乗車可能という特例を活用すれば、青森~蟹田の自由席特急券
500円を購入して、木古内から普通列車に乗り換えれば、函館には
2日目の20時に着く。もっともほとんどの人は追加料金なしで乗れる
唯一の夜行列車である「はまなす」でこうした追加料金を節約して
宿代わりとして北海道入りするのが、王道になっているようだ。

私のような関東在住にとっては3日目の朝から北海道の列車旅が
始まることになる。しかし北海道の滞在可能日数は3日目と4日目の
2日間しかない。4日目の夜には札幌に戻り、本州に5日目の朝から
自宅のある関東方面へと南下しなくてはならないからだ。

交通費を節約した場合はこうしたモデルになるが、例えばすでに知られている
手法として、「ムーンライトえちご」で新潟へ向かう1日目の夜は
このきっぷの代わりに新宿~高崎の普通乗車券を別に購入して有効開始日を
1日遅らせるという手がある。このきっぷは翌日にまたがる夜行列車の場合
0時になって最初に停車する駅まで有効だからだ。
ムーンライトえちごで新潟へ向かう場合は高崎になる。

こうするときっぷでは2日目の朝から北海道入りが可能になる。
つまり3日間は滞在可能になるが、北海道を縦横無尽に移動したいなら
やはり丸5日間ないと経験的には満足できないと思われる。
だからこのきっぷは北海道内の移動専用にして、行きと帰りは新幹線なり
寝台特急なりで移動するのが現実的な使い方なのだと思う。

それが今回有効期限が同じ値段で7日間と2日間伸びたのである。
2日間伸びたということは、北海道での滞在期間も2日間伸ばせる
ということを意味する。そしてこの機会を逃してはならないと今回は
このきっぷを2枚購入した。連続14日間を2万円で移動出来る機会は
今後の事を考えるとこれが最初で最後になるかもしれない。

そして希望していた長期休暇が取得できた。後は旅行の準備をするだけ。
今回はこの13日間を使って、北海道をゆっくりと満喫する計画である。

夜勤明け。そのまま家に帰って少し寝ても良いのだが、ここから休み。
時間が勿体無い。何か臨時列車はないかとここ数日探して見つけたのが
ほくほく線で走っている「ゆめぞら号」である。通常は乗り入れる事が
ない水上まで運転されるという。ゆめぞら号にも乗ってみたかったので
これはちょうど良い機会だ。しかも夜勤明けでも何とか途中の土合から
乗る事ができそうである。

まずは渋谷に出る。ここから湘南新宿ラインで高崎へ。少し前までは
この湘南新宿ラインは走っていなかったので、こうした場合には
運行している事が大変ありがたいと感じる。

高崎から水上行きに乗り換える。水上では2両編成の長岡行き。
休日だからだろうか、おそらく運転されるSLみなかみ号の撮影などで
これほど混んでいるのだろう。客層は私のような同業者と谷川岳辺りへの
登山客と思われる中年諸氏に大別できそうだ。カメラを首にぶら下げた
若きカメラマンは水上で降りないところは、私と同じ目的だろう。

今年6月に「周遊きっぷ」で北海道へ旅行したときとは嘘のように
混雑している。普段からこれ程の利用者が見込めれば本数も両数も
増発されて越後湯沢への移動もし易くなるだろう。
新幹線が移動時間短縮という現代のスピード世代のニーズに応える
花形列車の影で在来線は必要最低限のダイヤになっていく。
そのうちに信越本線のように上越線も分断されてほくほく線が水上まで
の路線になってしまうのかもしれない。

長岡行きは土合で登山客がけっこう降りるものと思われるが
モグラの穴のようなトンネル駅に着いたら、後ろを振り返ることなく
目の前の長い階段を登って行かないといけないのである。
上りホームにすでに到着しているはずのゆめぞら号を少しでも撮影する
ためになるべく早くである。最初は早かったかけ昇るスピードも
半分と行かないと内に息が苦しくなってきた。長すぎる階段である。
残り20段ほどを残して改札口へと進むと上りホームから数人が戻って
くる姿とすれ違う。駅の利用者ではない。もちろん同じ目的だろう。
そうでなければ、臨時列車を除いたら一日5本しかやってこない
山の駅に普段は人の気配がないからだ。どうやら車でやって来た様で
目的達成のためにこれから帰ろうというところだろう。






到着した10分程前までは彼らもホームにいて、一時の賑わいを見せて
いたのだろう。その彼らと丁度行き違いに到着したので、結果としては
落ち着いて撮影できるので良かったのかもしれない。
単線の上りホームと山と入道雲。その手前にゆめぞら号の2両編成。
水上まで5時間かけてようやく撮影できたが、実に遠い場所である。

一通りの撮影が済むと車内へ。
車内も普段は乗り入れる事がないとあって、同業者がソワソワしている
のが目立つ。小さな子連れもいるようで、楽しげにはしゃいでいる。
ホームでは土合駅の入場券を販売しており、折角なので購入した。
無人駅では入場券の必要はないのだが、購入しようにもなかなか機会は
ないと思い、購入した。絵入りの硬券タイプである。正式な入場券は
とうの昔に販売は廃止されたのかもしれない。

車内で発車を待っていると、突然の夕立。
ほくほく線の乗務員氏達で交わされる会話が聞こえたところによると
返却回送の際に水上で足止めを食らわないかを心配しているようだ。





トンネルではこの列車の売りであるシアターが上映される。
車内が暗くなり、ミラーに反射されたプロジェクターからの映像が
音楽とともに流れる。上越線では滅多に見れらない貴重な体験だ。
湯檜曽へ向かう途中に眼下に見える湯檜曽駅はすっかりと有名らしい。
車内アナウンスはなかったが、視線は皆そちらに注がれる。

ほくほく線を知ってもらうためのPR活動のひとつだろう。
こうした臨時列車で利用状況が良ければ、水上まで運転されるかも
しれない。本数が極端に少ない水上~越後中里は特に移動しやすくなる。


水上へ到着する直前にSLみなかみ号として使われる蒸気機関車が
転車台で煙を吐いて鎮座していた。その周りにはカメラマン。
乗り換える列車に余裕があれば、ゆっくりと撮影したいのだが、
これから一旦自宅に帰らないといけない。蒸気機関車が並びなら
とても様になるのだが、運転まではまだ時間があるようで、ホームで
青い12系客車との並びを撮影するのが精一杯であった。

このまま順調だったら、新宿で席を確保しておいたロマンスカーで
1時間程居眠りをする計画だったのだが、赤羽まで来て運転見合わせ。
常磐線の車両トラブルの影響で前後の列車が団子状態という。
こうしてロマンスカーの特急券は無駄になってしまった。
これから長期の旅行のためにあまり節約しないといけないのだが、
それでも新宿からロマンスカーと急行列車では天国と地獄である。
ロマンスカーの誘惑には勝てない。手を出してしまった。

朝から何も食べていないために鈍く響いてくるこの空腹感。
缶ビールとおにぎり2個を手にしてロマンスカーに乗り込むしかない。
この快適さを味わってしまうとなかなか抜けられないのである(笑)

自宅に戻って風呂に入り、身支度をしてから再び出発する。
旅の始まりは行先がどこであろうと小田急線からだが、新宿からの帰りと
違って、旅行の場合は何故か苦痛にならない。興奮しているために
普段の苦痛を忘れてしまうのかもしれない。映画「酔拳」のように
酒の力で痛みを感じないのと似てるかもしれない。
私は今、旅という名の酒に酔い始めているのだ。

これまで北海道には5日間の旅行には何度か出かけた事があるが、
13日間という私にとっては長期旅行となる経験がない。
おおよその旅費は見当がつくのだが、それでも旅の途中では何があるか
わからない。長期休暇も給料日直前からクレジットカードによる前月の
引き落としがある10日までで取得したのである。

手数料はかかってしまうが、北海道にも駅やコンビニにATMがあるので
必要に応じて引き出せばよいだろう。それでもなるべく北海道にも入る
9月になるまではなるべく使わないように気を付けないといけない。




新宿の5番線ホームで待っていたムーンライトえちご。
見慣れた国鉄色ではなく、山梨方面への臨時列車や常磐線からの臨時
急行列車である「ぶらり鎌倉号」などに使われている塗色である。
水色を基調とした色は昔のムーンライトを思わせる。といっても実車は
みた事がなく、写真で知っているだけであるが。
臨時の急行列車となってしまった「能登」に使われている関係のためか
いつもの国鉄色が不足しているため、運用変更されているのだろう。

先頭の1号車は女性専用のレディースカーになっているが、車体側面を
よく観察すると凹みの補修した後が見える。今後長くないことを暗示
しているような気がした。今年の冬から廃止と噂される「青春18きっぷ」
と時期が重なっているが、指定席券は何なく入手できた。
学生さんの夏休みが終了間近というのが大きいように思われる。

大宮を出てからしばらくして検札が始まった。
どんな客が利用しているのか観察するよい機会でもある。乗客が見せる
きっぷを見ると、私と同じきっぷの者や青春18きっぷの者を見かけるが
前の座席の青年が窓脇に置いているパスケースには青春18きっぷの
赤い券、いわゆる常備券と呼ばれるものが見えた。
窓口のマルス(発券端末機)や指定席券売機で出てくる黄緑色のものでなく
特定の駅にしか置いていないが、窓口で購入できるものだ。
JR東日本ではもう扱っている駅はないらしく、そうなるとはるばる
西から渡って来た途中なのかもしれない。

記憶が正しければ、車内検札が終了した車両から順に少し車内灯を
暗くしていたような気がしたが、車掌の車内アナウンスでは暗くする
事はないという。初めて乗った時には興奮していたためか、眠る事は
出来ずに新潟から乗り換えたロングシート車両の中で居眠りをしていた。
何度も乗り慣れているためか、夜勤明けだったこともあって、少しは
眠れた塩梅である。何度か目は覚めたが、意識がはっきりとしたのは
終点の新潟に到着する事を告げるチャイムとアナウンスであった。

少し汗っぽいので、下車する前に洗顔を済ませる。
着いたら向かいのホームで待っている筈の快速村上行きに乗り換える。
運用が変わっていなければロングシート車両が待っているはずである。
この列車だけ快速列車なのは、かつてのムーンライトえちごが村上まで
運転されていた名残である。新潟までに運転短縮されてもダイヤだけは
残っていて今に至る。車両の運用事情があるのだろうが、快速運転する
なら当時のまま村上まで運転するようにすれば良いのにと思う。

到着したムーンライトえちごは方向幕を忙しなく「回送」に切り替えた。
それを見送りながら、ロングシート車両の快速村上行きに乗り込む。
学生さんの夏休みが終了間近とはいえ、旅行客は多いようである。
席の確保が出来るかは重大事項のひとつ。村上からは気動車の酒田行きが
待っているはずである。全線電化されているのに何故か気動車で走る。
早朝の車両回送も兼ねているのだろう。おかげで貴重な気動車による
旅が楽しめるのはありがたいことである。

乗り換える酒田行きは左側のボックスシートを確保せよ。
と、心の中で呟く。朝の日本海を楽しむためである。日々の雑事は
忘れやすいのだが、こうした事ははっきりと覚えている。
いや、体に染み付いているような感覚が何だか嬉しいのである。

ロングシートに合わせて横長の車窓には徐々に空が明るく、景色が
はっきりとしてくる。今日は天気に恵まれているようである。
向かいのロングシートに座る老夫婦は「鉄道地図帳」というタイトルの
本を手に抱えている。座席に丸めて置いてあるもう一冊はおそらく、
「おとなの青春18きっぷの旅」という雑誌だろう。
どうやら青春18きっぷで旅行している老夫婦のようである。

この老夫婦に限らないが、男性諸君の方が例外なく楽しさや興奮を
隠せいないでいる事がほとんどである。見ているこちら側も何だか
連帯感のようなものが湧いてくる。

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