2011年2月8日火曜日

つくもノヲ”X="1≠ 565


【北海道&東日本パスの旅 2日目】 ボックスシート戦線とリゾートしらかみ号 (上)

↓ 8763M 山手線~東北本線~高崎線~上越線~信越本線
快速 ムーンライトえちご

04:51着
新潟
04:56発

↓ 3921M 白新線~羽越本線
快速

05:52着
村上
05:56発

↓ 821D 羽越本線

08:18着
酒田
09:37発

↓ 539M 羽越本線

11:31着
秋田
14:12発

↓ [秋田~東能代]: 8625D
[東能代~弘前]: 8525D
[弘前~青森]: 8635D

奥羽本線~五能線~奥羽本線
快速 快速リゾートしらかみ5号


19:32着
青森
22:42発

↓ 201 津軽線~津軽海峡線~函館本線~室蘭本線~千歳線
急行 はまなす






向かいの車窓は徐々に明るくなってくる。ロングシート車両ではあるが
夜明けから乗る時間帯にはほんの少しは旅情が感じられる。
久しぶりに乗って朝日に光るレールを見たからかもしれない。

金塚を通過すると単線区間。中条。ホームには「中条まつり」の提灯が
いつくかぶら下がっている。だが待ち人の姿はない。静かな朝のホームを
出ると再び複線になる。しばらくしてコンテナ列車とすれ違う。
先ほどの老夫婦だが、男性側はもう飽きて来たのだろうか。
もう少し頑張れそうな様子である。

平木田を過ぎると、雲に隠れてぼんやりと形が歪んだ太陽が顔を出す。
坂町。男性一人が下車。次は終点の村上である。隣の男性は先ほど
パスケースに入れた乗り継ぎのメモをちらっと確認していた。
坂町を出ると特急いなほ号に使われている車両とすれ違う。
鉄橋をゆっくりと渡るのは朝日を拝むためのサービスだろうか。(笑)

奥には田んぼと山々。山々は白く霞んでいて朝日と空と水墨画の様だ。
この辺りは大抵居眠りをしていて、初めて見たような気がした。
居眠りは勿体無いのだ。居眠りして良いのは地元の小田急線だけだ。

記憶では向かいの前方に待っていると思っていたが、そうではなくて
同じホーム、つまり同じ線路の前方に待っていた。だから村上に到着
する直前でしばらく停車したのちにゆっくりとホームへ入線するのだ。
車両の運転席後ろでは、つまり村上ダッシュをするべく何人かが
スタンバイしていた。そして私もその中に加わる。ドアが開いて
ダッシュしたのはよかったが、大きなミスを犯してしまったのである。
3両編成だが、ボックスシートは一番後ろの車両だけだったのだ。
何という不覚・・・。時すでに遅し。かくして当初の目論見は失敗に
終わるのであった。仕方なく海側のロングシートに座る事になった。

村上を出てしばらくすると、左手に日本海が広がってくる。
何度も見慣れている景色のはずなのだが、飽きずに写真を撮りたく
なってしまうのは何故だろうか。
越後早川。ホームには待ち人なし。乗ってくる客はいなかったが、
ホームの外からこちらに手を振る小さな男の子とおじいちゃん。
越後早川を出るとしばらくトンネルが続くが、トンネルとトンネルの
切れ間からは海岸に立って早朝の釣り人の姿が数十名程見えた。
日本海、いなほ、お墓、そして農家と思われるほう被りをした老婆達。

桑川。男性一人が下車。小さな無人の駅舎を出ると正面には日本海が
見えるのだろう。大きなリュックを背負っているが、釣り人では
なそさそうである。その男性が駅舎を出たところで列車は動き出す。
海岸をよく見ると先ほど同様に釣り人や貼ってあるテントが確認できる。

府屋。女子高生(?)が一人下車。いつも乗る車両が座れないと分かって
前方の車両へと移動していった。
国道7号線の青い看板には「酒田 64km」。鼠ケ関。男子高生(?)一人
乗車。反対側には新津行きが停まっていた。小岩川。男性一人下車。
それなりに下車客はいる様である。あつみ温泉。男子高生(?)と中年
男性が乗車。五十川、小波渡と学生さんと思しき数人が乗車してくる。

山形の通学風景がこの付近までとすれば、関東圏の感覚ではえらく
長い通学時間である。しかし列車の本数は少ないから特に学校帰りでは
途中の駅で降りて寄り道する、という事はできないのだろう。
必然的に列車内で長時間を過ごさねばならないのだから、
これが毎日続けば退屈極まりない。そしてその退屈凌ぎとして携帯を弄る
風景が場所が変わっても見られることになるのだが、どの学生も
申しあせた様に携帯を弄っているのを見ると、時間を潰す他の手段に
考えは及ばないものかと少々首を傾げたくなるのは私だけだろうか。

羽前水沢を出てしばらくすると田んぼが広がってくる。
6月の周遊きっぷで特急いなほ号で通り過ぎたときはまだ青々としていて
張っている水に空と白い雲が鏡のように映っていたが、今はこのいなほが
黄色く彩りを添えて、秋の訪れを教えているようだ。

羽前大山でも学生さんが乗り込んでくる。停車するたびに学生さんが
乗り込んでくるために乗車率もほどほどになったが、これから先は人口が
減少していくと言われている事が間違っていないとすれば
学生さんで賑やかだった車内の風景も昔話となるのかもしれない。
何度か列車の旅に出ていると、個人的には利用者の大部分は学生さんか、
この先それほど長くないかも知れない(失礼)高齢者という印象であり、
東京に限らず、各地方の首都圏(北海道なら札幌など)でよく見かけるような
その中間層と思しき年代の人に見かける事が少ない。

鶴岡。一気に学生さんが下車していく。ここで3分停車。
私のような乗り通す客を除いて、車内の客層が入れ替わる。
そして毎度、このあたりで油断していると意識が無くなっているのだ。
寝ていても終点の酒田で起こされるだろうが、酒田で待ちぼうけを食うことになる。
次の列車まで時間が空くし、何より後述の「リゾートしらかみ」に乗り損なう事は
どうしても避けねばならない。それに次回もこうした旅が出来るかは分からない。
あるいはずっと出来なくなるような予感があるから、寝るのは勿体無い。

東北地方を横切るように陸羽東線で小牛田に出るルートも面白いが、
今回は秋田から「リゾートしらかみ」で青森へ向かう事にしている。
五能線経由で快速列車として青森へ向かう観光用の列車であり、
五能線の売りである日本海の絶景をゆったりと眺められるように窓は大きく
運転席のすぐ後ろにも座って前面展望が眺められる仕様になっていて
快速列車なのにワゴンによる車内販売がある事からかなり気合が入っている。
なお運用は臨時列車という扱いのため、後でも記すように定期列車を優先した
ダイヤ設定になっている。

余目では陸羽西線への乗り換えと思われる客が降りていく。
砂越。中学生かな女の子2人組みが乗ってくる。そして事件が起きたのだ。
名づけてボックスシート事件。一般人とオタク(?)の壮絶(??)な戦いを
隣のボックスシートで見て見ぬ振りをする事になったのである。

進行方向左側のボックスシートがようやく空いたので座ったが、
隣のボックスシートにはおじいさんが一人座っていた。
なんとなく偏屈な空気を感じたが、しばらくして若きメガネの男性が
その席に座るおじいさんに声をかける。

「そこ、私が座っていたんですが・・」
「ここは指定席なのか?何の権利があるんだ?」

メガネ氏の言い分では席にカメラの三脚が置いてあったらしいが、
私が座ったときには座っているおじいさん以外に三脚は見当たらなかったが、
進行方向の席を確保しているつもりで置いてあった三脚がおじいさんには
分かっていながらもわからない振りをして座ることを決め込んだ
という按配らしい。

この緊張した車内にさらに火に油を注ぐ者が現れる。
2つうしろのボックスシートに座っていた若き男性は寝ていたのか
おじいさんの大きな声で寝ているところを起こされたと抗議した。すると
今にも殴りかかろうという勢いでその男性のところへおじいさんが詰め寄る。
幸いにして最後尾の車両だったため、暴力沙汰になる前にすぐに車掌が
乗務員室から出てきて仲裁に入ったため、何とか事なきを得そうだ。

おじいさんには「襟首を掴みましたよね?」と尋ねて、暴力と認定されれば
警察沙汰ですよ?と暗に教え、メガネ氏にも「荷物を置かれて席を離れる方も
いらっしゃる」とメガネ氏へも少し落ち着くようにと教えていた。
自身の業務内で限られた時間の中ですばやく解決へ導く光景を目の当たりし
これがプロの仕事かと少々感心してしまった。こうした場面を見ると
定時運行を乱す恐れがある客同士のトラブルにも常に神経を使う大変な職業だと
改めて思うところだ。けれども、いろんな種類の客に大量に接する職業として
そこで得られる経験は大きいだろうし、その経験が他の仕事で通用する自信に
つながるのも大きいような気がする。そして精神的に体力がない人にはキツイ
職業でもあるのだろう。楽な仕事など堅気の世界ではないと思うが・・

酒田に定刻着。
ホームに降りると、先ほどのメガネ氏が火に油を注ぐ氏へ駆け寄って
話しかけていた。メガネ氏がすれば、共に立ち向かってくれた戦友のように
感じているのかもしれない。火に油を注ぐ氏にしてもおじいさんは煙たい存在
だったという事で戦うつもりだったのだろうが、メガネ氏を助けるというよりも
あの不穏な空気がいつまでも続く事を絶ちたいというのが動機らしい。

だが下手をすると、もっと大きな事件になっていたに違いない。
今回のおじいさんのようなタイプはどんな正論を言ったところで聞く耳は
持たないだろうから、プロである車掌氏に任せるのがベターであった。

火に油注ぐ氏のその動機は良いのだが、トラブルが長引けば列車が遅れる原因
になるし、あなた(=おじいさん)だけでなく、他の方も嫌な気持ちで乗らない
といけなくなる、ということを告げても事態は解決しなかっただろう。
その点を考慮して車掌も触れなかったのだろう。

メガネ氏はホームに降り立ってもまだ付近をウロウロとしている。
私と同じく「はまなす」組なのかもしれない。

酒田では次の列車まで1時間ほどある。
前の旅では朝ごはん代わりに「かがちゃおこわ」という、炊き込みご飯に
グリーンピースが散りばめられたものを食べたが、これは駅弁らしい。
量の割りには680円という値段は高すぎるが、今回は同じ駅構内の土産屋で
売っている「ただっ子ソフト」なるものを食べてみた。
ただちゃ豆という枝豆を使ったソフトクリームで豆の味が強いのかと思ったが
そうではなくほんのりと香る程度であり、バランスが取れている。
こちらは駅弁と違って、値段も良心的なところを見るとそれなりに売れて
いる商品なのかもしれない。
ソフトクリームだけでは小腹は満たされないので、前回も食べた
玉こんにゃくを2本頼んだ後(からしを付けると、眠気もさめて一石二鳥!)
締めにインスタントコーヒーをゆっくりと飲む。

酒田からは再びロングシート車両。
今回はなるべく景色を楽しむ事を旅のテーマにしているから、そうなると
ロングシート車両もそれほど気にはならない。気の持ちようである。
といっても駅弁を食べる時は困ってしまうのは変わらないが(笑)

0 件のコメント: