2010年7月6日火曜日

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【周遊きっぷの旅 4日目】留萌本線と札沼線

旭川

↓ タクシー 30km 約7000円

深川
13:23発

↓ 4927D 留萌本線

14:47着
増毛
15:48発

↓ 4932D 留萌本線

17:13着
深川
17:17発

↓ 2044M 函館本線
  特急 スーパーカムイ44号
  
17:29着
滝川

↓ 徒歩

滝川バスターミナル
18:30発

↓ 北海道中央バス

18:41着
新十津川役場

↓ 徒歩

新十津川
19:22発

↓ 5434D 札沼線

20:53着
石狩当別
21:03発

↓ 632D 札沼線

21:46着
札幌  
22:00発

↓ 202 函館本線~千歳線~室蘭本線~函館本線~江差線~海峡線~津軽線
  急行 はまなす

朝9時半に目が覚める。どうしても夜更かししたくなってしまうのは
そろそろ旅慣れてきて度胸が付いてきたのかもしれない。

朝ごはんを食べる時間はない。急いで支度すれば予定の列車に乗り込めるが
急ぐ旅でもない。再度時刻表を開くと11時の列車でも間に合うことがわかった。
最初に計画した行程は再度練り直す余地はあることが今回の旅で学んだことである。



旭川を発つ前に家族に頼まれたお土産を買っていかねばならない。
白い恋人は大抵のキヨスクで手に入るのだが、六花亭のマルセイバタは旭川から
西側でないとどうも入手ができなかったためだ。キヨスクに向かったが、前は扱っていた
マルセイバタが置いていなかった。店員に尋ねるとどうやら駅前の西武デパートには
置いてあるようだ。地下で目的のおみやげを買った後だが、次の列車までは少し時間が
空いてしまう。11時頃の列車に乗るつもりだったが、さらに時刻表を見直してみると
13時の列車でも間に合うことがわかったのだ。
始めは列車だけの移動にこだわっていたが、路線バスを使えば予定通り、留萌本線も
札沼線も乗り通せることがわかったのである。

かくして旭川で1時間強の時間が出来たのである。
さてここはデパートの地下。都合よく座ってコーヒーが飲める店があった。
「ステラおばさんのクッキー」という店は、1度か2度ほど町田の百貨店で買ったことが
あるが、カウンター形式でコーヒーが飲める店があるとは知らなかった。
ケーキセットを頼み、コーヒーを飲んでいると背中でミルクプリンの試食はどうですか、
と店員が仕切りに声を掛けている。気になったので1個、その不二家のミルクプリンを
買って、先程のカウンターで食べてみる。甘党だが、タカナシのミルクプリンのような
味の薄いものをイメージしていたからこれはおいしい。

それでもまだ時間が空いてしまう。
旭川駅前のロータリー立ち止まっているとタクシーが目に付く。
新十津川12:57発に乗れるなら、タクシーでと思ったが、運転士曰くさすがに1時間では
距離的に到着するのは不可能といわれる。タクシーに乗らなくても全く今回の行程に
影響はないのだが、観光客としては街の活性化の為にも少しでも金を落とすべきという
気持ちもあったが、いつもは列車の窓から見てばかりいる北海道の道路を自分も乗って
確かめてみたかったというのもある。線路が列車なら、道路はタクシーである。
いや、路線バスが走っていればそちらが良いのだが、残念ながら実質使えるのは
タクシーのようである。

どうやら北海道のタクシーはまだタクシーでカードは使えないようだ。
乗ってから気づいた次第だが、すでに走り始めてしまったので、深川まで行ってもらう
ことにした。それでも距離は深川から30kmある。

今日は暑い。海水浴をしたいくらいですねと話しかけると、オホーツクは海水浴をするには
冷たくて入れないという。比較的温暖な函館や苫小牧、小樽なら7月半ばから海水浴の
シーズンになると運転士。あとは車の運転についても関東出身の感覚でいると
陥りそうな落とし穴を教えてもらった。北海道は道路が比較的空いているために、
どうしても飛ばしたくなる。覆面パトカーが待ち構えているらしい。

現に運転士が「あれは覆面パトカーだね」と言った隣を追い越す車は言われないと
一見どこでもみかける乗用車である。下手にスピードを出せないようだ。
新婚さんがレンタカーで旅行してスピード違反で捕まった話も聞かせてもらったので
初めて北海道でレンタカーなどで旅行する人は要注意である。

北海道にも高速道路はあるが、関東圏とは違って国道や県道を走ろうがあまり所要時間は
変わらないそうである。北海道は気候だけでなく、移動距離の感覚も異なるようだ。

旭川~深川まで30km。7000円なり。



深川ではすでに待っていたキハ54形1両編成の気動車。改札前から客が乗っており、
よいポジションに座ることはできなかった。








恵比島。又の名は明日萌(あしもい)。ドラマロケとして使われたその駅舎が
明日萌駅として撮影に使われたようである。

真布。板張りのホーム。車窓には山々の景色が流れていく。
留萌。それまでの山々から現れてくる大きな街である。留萌を出てからもしばらくは
家々が建っている光景が見られる。

瀬越。目の前に海が広がる。漁港にはいくつも船が係留されている。
留萌でほとんどの客が降りてしまい、信砂(のぶしゃ)でも4人が降りてしまうと車内は
私を含めて3人だけになってしまった。






増毛に定刻着。根室本線の根室や宗谷本線の稚内は、ホームから先も柵があって
撮影するアングルが限定されてしまうが、留萌本線の増毛は車止めまでも柵がない。
ホーム以外から列車に近づいての撮影は危険だが、少し離れたところなら自由なアングルで
撮影するできるのである。撮影できそうでそれほど多くないかもしれない。

よく調べたわけではないが、駅前周辺で時間を潰せるようなスポットがない。
いや、酒好きだったら一見するべき場所があるのだが、残念ながら旅先では楽しく酔えれば
ビールでも缶チューハイでもいいという人なので駅舎の中で時間を潰すしかなさそうだ。
一緒に乗ってきた「撮り鉄」の若い男性は駅舎の撮影していたが、目の前に止まっている
車が撮影の邪魔になっているらしく、しきりに車内を覗いていたりしていた。

私は駅舎の中で旭川の西武デパートで買った置いた帆立ご飯弁当で遅い昼飯とする。
駅舎内にそばやうどんを売る店があるが、営業時間は14時までらしくシャッターが
閉まっている。テーブルと椅子はそのためのようである。




増毛から折り返し深川へ戻る。
先程の気動車がすでにドアを開けて待っているので、乗り込むと客車内で携帯電話で
話していた運転士が機嫌悪そうにドアを勢いよく閉めて戻っていった。
誰も乗ってこないのかと思ったが、もうすぐ発車するところで学生さんが数人乗り込む。
前よりのクロスシートは制服を着た彼らの社交場になったのである。

おそらく留萌あたりで彼らは降りるのだろう。発車するまではハイテンションだった
彼らだったが、発車すると静かになってしまった。私のような余所者がいないとまた
違ったのかもしれないなと思ってみたり。

列車に揺られながら、また予定を変更しようと思い始める。行きの留萌本線で
深川に戻ったらそのまま函館まで一路向かって、銭湯で汗を流してから「はまなす」に
乗り込むことを考えていたが、それだと札沼線に乗れなくなってしまう。
次回北海道に訪れる機会がないかもしれない。乗れるなら乗っておこうと思い直し、
時刻表で再度確認する。深川から滝川まで行き、滝川から新十津川までは路線バスを
移動することにした。

ただ風呂の問題が解決しないかもしれない。
このプランでは滝川の銭湯がやっていないと困る。
携帯電話で調べて見ると駅から歩いて15分程の所に一軒
あることがわかり、早速電話をかけてみたが不通だった。
もしかしたら定休日の可能性がありそうである。

信砂で学生さんが降りていく。
同じ列車に女の子が乗っていたら大抵は声をかけるのだが
その男子は機嫌悪そうにドアを勢い良く閉めて下車した。

阿分。誰も乗り降りなし。真布同様に板張りのホーム。
瀬越。学生の女の子1人を残して皆降りて行った。
駅舎のすぐ横に迎えの車が見えた。

留萌。残った女の子もここで降り、学生さんの代わりに
数人が乗り込んでくるが、一気に平均年齢が上昇。
中年諸氏が乗り込んで来たのである。
・・・と食後の睡魔が襲って来たようである。
目が覚めると北一已。終点深川のひとつ手前だった。

残念なのは車内に防犯カメラが設置されていることである。
ローカル線でも物騒な事件が起きているのかもしれない。
深川から滝川までは特急列車に乗り換え。
滝川での次の列車がやってくるまでの時間に風呂に入ろうと
駅から15分程の所にある銭湯まで向かったのだが、
どうやら無駄足に終わってしまった。定休日であった・・。





仕方なく滝川バスターミナルへ向かう。
バスはバス停でしか乗ったことがないので、高速バスのターミナルのように、
乗車券を買うことに慣れていない。
列車がバスに変わっただけで何も特別な事はないはずだが慣れていない路線図が
その理由だろう。列車は予め時刻表で調べてから乗っているので、現地でも迷う事はあまりない。利用機会の少ないバスでは時刻表に乗っているくらいの情報は確認するが、
路線図まではあまり意識しない。とりあえず次の列車に間に合うのかが心配である。
列車と違って交通渋滞等で時間通りに到着するとは限らないからだ。

北海道中央バスが運行する車内は学校帰りの学生さんが2人おり、中年女性が2人。
途中の銀座通では高校生と思しき制服の女の子。西町ではおばあちゃんが乗って来た。
正面の夕日がもうすぐ沈もうとしている。目的の新十津川役場までは15分程で到着。
これなら滝川でも歩いていける距離である。おそらく1時間くらいだろうか。

駅はすぐ近くのはずだが、近くの薬屋さんに訊ねると昔は新十津川にも風呂に入れる施設
があったらしい。教えてもらっった方角へと歩くが、ここに駅があるような雰囲気がない。

しかししばらく歩くと確かに小さな駅舎には新十津川駅と掲げられており、
すぐ奥にはホームも見える。しばらくすると気動車が入線して来た。
あまり乗っていないのかと思ったが、それなりに客が駅舎を出て来た。






下車客で一時賑やかだった駅舎もまた元の静けさに戻った。
ホームに停車中の列車を撮影していると運転台の窓が開き、列車に乗るのかと乗務員が
聞いて来た。使うと答えると、まだ発車までは時間があるので普段ならドアを開けないが、
車内にどうぞとドアを開けてくれた。
そのまま開け放しでもよかろうに正規の時間まではドアは閉めておくようである。
しばらくすると駅舎から手ぶらの男性が1人。天然パーマのようなその人はこの列車に
乗ろうとしているのかドア付近をウロウロしている。




窓を開けてみると、その男性が近づき石狩当別までの切符が買えないかと質問してきた。
整理券方式ですからね、と答えると納得したのか、そのまま駅舎から出て行った。
地元でも鉄道を利用しない人がいるのだと実感した次第だ。
発車までホームのゴミ拾いや草刈りをする背中に仕事に真面目な雰囲気が出ている。
留萌本線の若き乗務員氏とは雲泥の差である。私1人だけの出発と思ったが、先とは別の
パンチパーマ風の若い男性が1人乗車。





新十津川を出ると、しばらくは田んぼの中を横切っていく。

下徳富。南徳富。ホームには待人おらず。
於札内までは新十津川と同じ様な風情だが、田んぼにポツンと板張りのホームは、
利用客がいるのか少し長さを継ぎ足しているところがあった。
鶴沼を出ると田んぼともお別れ。
それまで点在していた家を見かけなくなり、左手を国道275号線が沿ってくる様になる。
青い看板には「札幌まであと64km」。



石狩月形。列車交換のため10分停車。発車2、3分前に額制服の男の子が1人乗って来た。
淋しい車内の気を紛らわす様に大音量で音楽を聴いているらしく、イヤホンからは音漏れ
してしまっている。

月ヶ岡。中年男性が1人乗車。これで私を含めて4人。
元中小屋。金髪の若い女性が元車両を転用した北海道ではおなじみの駅舎に降りて行く姿
は妙な光景であるが、日常の光景である。





北海道医療大学。大学生の団体列車のような車内。
新十津川から一緒だった件のパンチパーマも団体の誰かに声を掛けていたようなところは
おそらく同じくは大学生と思われる。
学園都市線と呼ばれている理由がよく分かる。現在電化工事が進んでいるため、おそらく
気動車時代の最初で最後の乗車機会になりそうだ。
石狩当別。3両編成で終点札幌まで向かうのだが、どの車両も客層は大半が大学生とと思われる。

愛の里教育大。ここでも大学生が一気に乗り込み、乗客の平均年齢は著しく低下している模様。
大変賑やかで瑞々しい車内となる。
大学生ばかりに目がいくが、よく見ればサラリーマン風の男性やおばさんの姿も確認。
列車本数の多さからも伺えるが、札幌を中心にこの辺りまでがベットタウンらしい。
札沼線のこの区間ばかりは他の路線に比べると乗車密度が高いせいか、不意に北海道に
いる感覚がなくなってくる。
大げさに言えば、我が小田急線に乗っているような錯覚に近い。
札沼線に乗る限りは大学生がケータイをいじる姿は東京だろうと神奈川だろうとどこでも
見かけるので、珍しくもない。
東京に比べると北海道の人は優しくて素直、というのは幻想である。
違うのは人ではなく、気候や距離感覚である。東と西ではその広い国土故に前者の冬は
寒く、後者は比較的緩やか。私のような関東圏の出身が関東地方の距離感覚でいると
たちまち、通用しないことが分かってくる。
新幹線の感覚で地図を見ようとして実際の所要時間の認識にズレが生じてしまうのだろう。たとえば函館から稚内までを特急列車で往復するだけ1日がかりになる。
だから北海道を1日で巡ることは不可能である。

石狩当別からずっとトイレの使用中ランプが点灯したままなのが、
中で人が・・と思い、車掌を呼ぼうかと考えたが新琴似付近でようやく人が出て来た。
呼ばなくて良かった・・・。
新琴似。ここでようやく客が降り始める。この辺りから生活圏ということになりそうだ。
桑園を出れば、終点札幌はもうすぐである。



急行「はまなす」の発車まで十分に時間があれば、函館まで先回りして
銭湯で汗を流してから函館から乗りたいと考えていたが、欲張ってはいけないらしい。
限られた時間であれもこれもと詰め込みたくなるが、どうしても取捨選択が必要になる。
この限られた中でいかに最大限楽しめるように工夫するか、という頭の体操のような
感覚が列車旅の楽しい面の一つであると思う。
実際に乗っている時間も至福だが、時刻表を繰りながら自分の時間を組み立てるような
感覚で行程を考えるのがもっと楽しい。
ならば、時刻表だけの机上旅行代、1150円(JR時刻表の値段)だけで済むのだが、
やはり組んだ行程で実際に旅をしないと満足しない。
そして質の悪い事に列車旅には中毒性があるらしい。もう乗りたくないと疲れる程
乗り続けても満足し得ない。
日が経ってくるとまた何処かへ列車で揺られたいという欲求が湧いてくるばかりである。

さて札幌からは急行「はまなす」で北海道を後にする。
自由席は混んでいるのかと思ったが、難なく座ることが出来た。
完全に目が覚める頃には早朝、青森へ近づいているはずである。

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