2010年7月6日火曜日

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【周遊きっぷの旅 2日目】孤高の小幌駅と地球岬

↓ 201 津軽線~海峡線~江差線~函館本線~室蘭本線
  急行 はまなす
  
5:01着
苫小牧
6:07発

↓ 472D 室蘭本線

8:34着
小幌
9:24発

↓ 479D 室蘭本線

9:49着
洞爺
10:16発

↓ 5006D 室蘭本線
  特急 スーパー北斗6号
  
10:39着
長万部
10:43発

↓ 2842D 函館本線

13:25着
函館
13:29発

↓ 5011D 函館本線~室蘭本線
  特急 北斗11号
  
15:39着
東室蘭
15:43発

↓ 4478D 室蘭本線

15:56着
室蘭 ※地球岬までタクシー往復
16:42発

↓ 1437M 室蘭本線~千歳線
  (東室蘭から1037M) 
  特急 すずらん7号

17:49着
南千歳
18:31発

↓ 4013D 石勝線~根室本線
  特急 スーパーおおぞら13号

21:43着
釧路


0時17分。「はまなす」は木古内に運転停車。
殆ど寝ていないが、ようやく北海道へとやって来たのである。
1時00分。定刻通りに函館着。ここから先はしばらく非電化区間のために青函トンネル内を
牽引してきた電気機関車から青いディーゼル機関車に交換するのだが、それでも停車時間が
23分間と長いのは、この列車が廃止された青函連絡船の代替手段として登場した為、
今はこれほど長く停車する必要性はないのだが、お陰でゆっくりと機関車の交換作業を
見学したり、改札を出て食料等の買出しが出来る。

函館本線をひた走るうちに徐々に窓の外は白く明るくなってくる。
うつらうつらとしただけであまり眠れなかったが、目覚めはあまり悪くない。
やはり何度か乗っているうちに慣れていることが大きい気がする。
雨ではないが、苫小牧付近はどうやら曇りらしい。


そのまま苫小牧まで居眠りが出来るものと思っていたのだが、実は函館を過ぎてからも
車内検札のために車掌に起こされたのである。担当が函館で交代になるためということを
改めて知ることになった。「北海道&東日本パス」で乗ったときには函館で車内検札を
受けたことがなかったので気づかなかったが、車掌も「北海道&東日本パス」期間中は
そのきっぷが利用客がほとんどであることを心得ているのだろう。
「はまなす」は函館を発車してから眠るように考えたほうがいいかもしれない。

気づいたのは車内検札が2度あるだけではなかった。
途中で別の運輸区の担当に交代しても、指定席の情報だけは引き継がれるために
指定席の客が車内検札で起こされることはないのである。

「北海道&東日本パス」を使っている時は多少座り心地が違うだけで
カーペットカー(これも指定席だが、完全に横になれる故にすぐに満席になってしまう)
を別にしたら同じ座席なのに余分に料金を払うのは馬鹿らしいと思っていたのだが、
少しでも寝ていきたいという場合には下車駅まで起こされるか、起こされないかの
差は以外に大きいのである。
そして前もってホームに並ばなくても必ず席があるという安心があると思えば
7月よりリニューアル販売される「北海道&東日本パス」ではこの点を考慮して
「はまなす」なら絶対に指定席にするべきである。使ったことがないから分からないが
自由席にずっと座ってきた私からすると、その座り心地は急にグリーン席に座る程の
ものかもしれない。




そんな事に今更気づきながらも苫小牧に降り立ったのは私1人だけのようであった。
青いディーゼル二連はうなりをあげながら青い客車をゆっくりと牽引してホームを
離れていった。それを見送るとホームは静かになる。じっとしていると少し寒い。
上着を持ってきて正解である。一旦改札を出る。次の乗る列車まで1時間近く時間がある。


歩いて10分くらいのところにあるコンビニで食料を調達。
少々割高な気がするサンドイッチとパン、そして北海道にしかない「ソフトカツゲン」。
北海道には2,3度ほど訪れているのに、まだ飲んだことがなかったのだ。
味は「ソフトカツゲン」である。乳飲料なのだが、ヤクルトとは明らかに違う味だ。
他に表現できない味である。実際に飲んで確認頂くしかわからないだろう。

わざわざ早朝の苫小牧に下りて列車を待つのは、これから乗る6:07発の普通列車で
秘境駅では最高といわれている小幌に向かうためである。
当初は途中まで特急列車に乗ろうと考えたが、最初の特急列車はさらに1時間40分後。
この特急列車では小幌に停車する普通列車に乗り換えることはできない。





普通列車が皆、小幌に停車するわけではない。
少ない本数の中で、ゆっくり撮影できる明るいうちであり、あまり待ち時間がなくて
反対方向の列車に乗り換えるためには、この6:07発に乗るしかない。
15時台にもあるが、こちらは反対方向の列車がわずか20分ほどやってくるために
ゆっくりと見学して撮影するには忙しいのである。

以前の北海道旅行でも普通列車でこの小幌を通ったが、函館へ向かう頃にはすっかりと
窓の外は暗くなっており、おまけに小幌は通過する列車だったために、開け放った窓の
下段から、吹き込んでくる涼しい風とともにトンネルとトンネルの間に小さなホームが
あるというのを僅かに確認したたけに過ぎなかったのだ。

6時7分発の長万部行きは気動車1両。定刻に発車。

糸井。駅舎には煙突が付いている。寒さの厳しい北海道を象徴しているようだ。

社台。しばらくすると左手に牧場が広がっている。馬が数匹首を下げている。
草を食んでいるのだろう。

白老。苫小牧行きの赤い列車が反対側のホームにやって来た。
こちらを苫小牧行きと勘違いした中学生か高校生の学生さんの団体が反対側の
ホームへと跨線橋の階段を駆け上がり、駆け下りて急いで乗り込んだところで
こちらの気動車が先に発車する。地元の学生でさえ、乗り場を忘れてしまうほど列車を
使わない人がいるらしい。

北吉原。男性1人が下車。改札を出てホームの柵越しに向こうへと歩いていく背中を
見送っていると汽笛を鳴らしてから発車する。

富浦手前で普通列車の赤い車両とすれ違う。
海の向こうは白く霧がかかっている。6月だというのに家々の煙突から煙が出ている。
ストーブを使っているらしい。関東の感覚では気候ですら通用しない。
しかしまたもどうでも良いことだが、駅名で知内だけが「しりうち」なのだろう。
北海道の駅名では「~内」は「~ない」なのに不思議である。

黄金。寝台特急「カシオペヤ」とすれ違う。
この駅はあるいてすぐのところに海が広がっており、護岸に4本の釣竿が立っている。
車で来ているようであとの2人を見かけなかったが、車の中で休んでいるのかもしれない。
黄金を出てから続いて緑色の列車とすれ違う。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」に違いない。

北舟岡。前回の海側ホームではなく、山側のホームに停車した。
この時間では追い抜く列車がないからだろう。

伊達紋別。小学生と思しき数人の子で前後と隣のボックスシートは賑やかになる。

洞爺。さらに客が乗り込み、一時車内は活気を取り戻す。
先ほど稀府で乗り込んできた青いナイロン製らしきフード付きのウェアを着込んだ
男の子は一度、軽く会釈しながら(関東ではまずこうして挨拶する姿は見かけない)様子を
見に来ていたが、どうやら伊達紋別で乗り込んだ子たちの仲間らしい。

豊浦で彼らは降りていった。どうやら周辺のハイキングでもするのかもしれない。
皆、同じようなウェアを来てリュックサックを背負ってホームを歩いていく。

もうすぐ小幌だが、周囲は霧がかかっている。これなら小幌駅もさらに秘境度が高まる
良い演出になりそうだ。期待がさらに高まる。

長めのトンネルを抜ける少し前に気動車は減速しはじめる。
実はトンネルとトンネルの間にその小さな駅はあるからである。
トンネルの出口が見えるとともに線路に沿って小さなホームが近づいてくる。



小幌に降り立ったのは私1人だけだった。狭いホームで停車中の気動車を何とか撮影。
発車して汽笛を鳴らしながらトンネルへ入りかけたところでもう一枚。
白い車両がトンネルに消えてしまうと辺りは静かになってしまう。

情報によれば国道へ繋がる道がなく、唯一海岸へ出る道があるだけらしい。
降りたホームも狭いが、反対側のホーム同様に狭い。
構内踏切があるが、カーブに作られている為、歩くときは足元に注意である。






しばらく待っていると、トンネルから列車の接近警告音が響き、「列車がきます
踏切を渡らないでください。危険なのでホームでは十分に下がるように」という
自動アナウンスとともに構内踏切の遮断機が降り、警報音が鳴り響く。
あまりに狭いホームでは待っていることすら十分危険な気がしたので、踏み切りから
少しだけ下がったところでトンネルから出てくる列車を待ってみる。

タイミングよく寝台特急「北斗星」がやって来た。
撮影してから手を振ってみたが、気づいた人はいただろうか。

しばらく待つとまた同じように列車の接近警告音が聞こえてきた。
今度は長万部方面の特急列車であった。結構な速度で通過するのでやはり狭いホームで
待つのは大変危険である。こちらも手を振ってみたが、気づいた人がいても
何であんなところに人がいるの?という反応がほとんどだったかもしれない。
そしてもうしばらくしてから今度は札幌方面に貨物列車が通過していった。

6/5日の早朝に赤い上着を着た男が手を振っていたら、間違いなく私である。(笑)






さて次は駅前観光である。といっても駅舎らしき大きな建物は鍵がかかっており、
中を覗くと道具を入れる倉庫として使われているようだ。運賃表が掲げられているのだが
左上の函館の運賃が何とか見える以外は、経過劣化によるものだろうか印字が消えて
まったく分からない。駅名票もその汚れから長らく手入れはされていないようだ。
トイレもあるが、これがよく見かける仮設のトイレよりもかなり汚い。
お世辞にもここでは用を足す気にはなれないだろう。

草が丈高く茂っているが、人が踏みしめて出来ている道は判別が着く。
5分ばかり歩いていると、ソーセージの梱包フィルムや飲料の紙パックが落ちていた。
人の気配はないが、どうやら少なからず訪問客はいたようである。
正面に海が見え始めるところで、下り坂になって海岸まで蛇行して続いている。
階段等整備されているわけでなく、登山道のような道が蛇行しているだけだ。
頑張れば下の海岸まで降りていけるのかもしれないが、下まで降りたらまた戻らないと
いけない。あと40分足らずでやって来る列車が到着するまでに駅に戻る自信はない。
とんでもないところに位置している駅であることを忘れないように景色を
目に焼き付けてから駅へ引き返すことにした。

さて今度は洞爺、札幌方面のホーム側を観光してみることしよう。
最近まで住んでいたという60歳ほどの男性は倒れているところを発見され
救助されてまたこの小幌に戻ったらしいが、亡くなったそうでその意味では
この小幌は今こそ無人駅である。保守作業員が待機で使うのか小屋にも鍵がかかっており
ガラス越しに覗くと、ちょっとした座敷の手前にストーブが設置されている。

その奥も少し歩けるようだが、ホーム真下へ流れている小川が続いている。
草の丈が高いのもあるが、今の履いている靴や服装ではとても辿り着くとされる
国道まで登ることはできそうもない。船で上陸する以外は実質列車でしか到達できない
ということが身を持って理解できたのである。
狭いホームで暫く待つ。すると同じように列車の接近警告音がなった跡に踏み切りの
警報機が鳴りだしてしばらくするとトンネルの奥からヘッドライトともに気動車の
白い1両編成がホームに入線してきた。その姿を見た瞬間に安堵を覚えた。

小幌は他の秘境駅と違うのは、大抵の駅が車でもアクセス可能な場合が多いが
この小幌にはそうしたことも許さないと主張しているようで素晴らしい。
列車でしか来れない駅こそが個人的には真の秘境駅だと改めて思った次第だ。

秘境駅には分類されないが、駅ではないのにホームと駅名票がある常豊信号所は
この信号所の情報を知らなければ、まず車からはその存在は発見できない。
同じく列車に乗っているからこそ、気づける存在としてはこちらも素晴らしい。






そして鉄道車両が定刻通りにやってくるという信頼性。
これが定刻通りにやってくるかわからないものなら、こうして実質陸の孤島とも言える
ホームに降り立つことはできなかっただろう。定刻運転の有難さが実感するのである。

乗り込んでしばらくすると気動車は再度トンネルに入っていく。
一旦洞爺へ戻ることにする。洞爺から特急列車で長万部へ向かうためである。





洞爺から特急列車に乗り換える。残念な事に今年冬に発生した車との衝突事故で
安全対策として、前面の貫通扉付近のスペースには立ち入ることが5月より禁止。
これによって迫力ある前面展望を楽しむことができなくなった。
この時は偶然にも後方展望で楽しんだが、旅行を終えてこのニュースを知り、
ちょっと楽しみが減ってしまったことがショックである。




先ほど降り立った小幌駅も特急列車ではトンネルを出ると一瞬である。
普通に乗っていたら、駅があることすら気づかないだろう。

小幌から静狩も距離は長く、比較的直線区間が続いている。
障害となる架線や柵がほとんどないためか、撮影には適していると見え
山側の線路沿いには2人のカメラマンがこちらにレンズを向けているのが確認できた。

静狩から長万部も気持ちよいほどに直線区間があり、もっとスピードを飛ばしたら
そのまま離陸できそうなくらいに真っ直ぐに向こうまで伸びているのである。
海沿いを走るために周辺の山々を潜り抜けるためか、トンネルが多い。




長万部からは普通列車で函館を目指す。
渡島砂原経由で日中帯の風景を見ながら乗っていきたかったのだ。

急行「はまなす」も青森行きについてはこの渡島砂原経由を走っていくのだが
真夜中では辺りは真っ暗で何も見えない。ゆったりとくつろぎながら明るいうちに
渡島砂原経由を楽しむには後は寝台特急「トワイライトエクスプレス」の大阪行きに
乗るか、臨時列車として走らせている「SL函館大沼号」に乗るしかないだろう。
ただ通常の列車ではまずお目にかけない運行ルートになっている下りの「SL函館大沼号」
が鉄道オタクとしても興味がある。この列車、時刻表で見ると分かるのだが、
大沼を停車せずに一旦大沼公園に戻って停車して再び大沼を通過して函館へ向かう。
つまり通常の列車運行にはない、大沼~大沼公園往復運転という点が珍しい。

今日も天気に恵まれている。窓を開けて心地良い風を受けながら風景を楽しめそうだ。
鷲ノ巣~八雲。海からの匂いと牧場からのあの匂い、そして気動車からの煙の匂いが
一緒になって漂っている。

八雲。老若男女が乗り込んで来る。
おじいちゃん、おばあちゃん、小さな子供連れ、野球少年、若い女の子が一人。
八雲は特急列車が停車する駅でもあり、それなりの利用者がいるようである。
車内は再び活気を取り戻す。特急列車メインで普通列車がローカル輸送になっている
とはいえ、人が乗っていないと寂しいものである。

野田生。先程の親子とおじいちゃん、おばあちゃんがホームに降り立つ。
小さな男の子はこちらに手を振っている。思わずこちらも手を振り返す。
普段から列車に乗っている身としては、日常生活で車を使わざるを得ない環境では
普通列車であっても乗ること自体が、特別な出来事なのかもしれない。

乗っている普通列車は今日の行程では乗車時間が一番長い。
列車は落部を出てからしばらくは海が広がっている・・・・
・・・といつの間にか、意識を失っていたようである。





目が覚めると尾白内に停車するところであった。
隣のボックスシートに座る男性方から森駅で買ったと思われるいかめしの匂いがしてきた。
別に後ろの方からも食べ物の匂いがしてきた。どうやら列車は森駅を過ぎて砂原経由の
線路を走り始めていたのである。少し進んでしまったが、肝心なところで寝過ごす所で
あった。あぶない。あぶない・・・・。

前の乗車では夜で窓の外は真っ暗であり、きっと近くまで海が広がっているのだろう
と想像するしかなかったが、期待に反してまるで森の中を走っているようだ。
その向こうに海が広がっているに違いないが、地図や路線図では海が近いイメージが
あったのだが、実際に乗ってみないとわからないものである。



左手に見える山には入道雲。夏の訪れがもうすぐと知らせているようだ。
これが今列車の正面に広がっていれば、根室本線を初めて旅行した時以来に密かに
求めて続けている線路の向こうに入道雲という構図が撮影できそうだが、
残念ながらそう都合よくはいかないようである。

海が広がる眺めはなかったが、その代わり渡島大野のホームとそのバックに聳える
入道雲、そして山がよい絵になる。思わずデジカメを構えてしまう。

次は七飯。ここまで来るとは函館はもうすぐである。
日常生活では3時間も普通列車に乗っていると苦痛の何物でもないのだが、北海道旅行では
この3時間もあっという間に過ぎてしまう。空を見上げるが今日は雨の心配はないようだ。

七飯。函館に近いこともあってか、地元の若い女の子たちが何人か乗り込んでくる。
雰囲気から察すると学校の部活帰りのようだ。

函館。定刻着。
特急列車の乗り換え時間があまりないので、駅弁は車内で買うことにしよう。
運悪く無ければしばらくは我慢するしかない。
一番後ろの車両から乗り込んだため、自由席車両まで歩いていったが、
途中の指定席車両では修学旅行なのか、学生さんが埋め尽くされていた。

この分では自由席も座れないかと思ったが、何とか席を確保。
後は車内販売のワゴンが通るのを待つだけである。
この北斗11号で東室蘭まで乗っていく予定である。
途中の大沼。湖であるが、実際に見ると相当広いことがわかる。ここをSL函館大沼号が
横切ればよい絵になるのは間違いないだろう。





大沼公園。団体の旅行客だろう、ぞろぞろとホームを歩いていくのが見える。
大沼は今や、有名な観光地なのである。
大沼公園を出て、右手に注目すると駒ケ岳が見えてくる。特急列車からでも見えるが
じっくりと見たいのであれば、駒ケ岳回りの普通列車に乗るのが良いのかもしれない。

ようやく車内販売のワゴンがやってきた。駅弁はまだ残っているようだ。
「豚とんとん」とホットコーヒーを頼む。帯広には名物の豚丼弁当があるが、
濃い味付けに慣れてしまっているのか、こちらの方が肉に味が染みて美味しい。
ゆっくりと味わえば、この量でも丁度良い。食後のホットコーヒーは必須である。

特急列車に乗る度に車内販売でホットコーヒーを飲む機会があるが、今まで飲んだ中では
今のところ東海道新幹線で飲んだホットコーヒーが一番旨い。一番嫌いな車両なのに
一番旨いのだから、これは何かの皮肉なのだろうか。
その東海道新幹線ほどではないが、こちらも後味はすっきりとして飲みやすい。





この特急列車だが、先頭車は自由席車両になっている。
トイレに立ったついでに覗いてみたが、すでに先客がいらっしゃるようだ。
かなりの空席があるのに、私も含めて異様な光景だろうが、そこは気にしてはいけない。
洞爺の次は有珠。ローマ字読みでは赤坂と同様に逆から読んでも有珠である。
只見線の会津柳津のように、「あいづ」が2回出てくるほど、どうでもいいことである。

洞爺を出てから、霧が出てくる。
函館へ戻る途中は晴れていたが、気候も関東の感覚が通用しない。
まるで山登りで体験するような変わりやすさである。気候条件のためだろうか、水が
張っている周囲の田んぼからまるで湯気のように白い煙が出ている。
見たことがない風景に少々驚く。
先ほど「豚とんとん」を食べたせいか、急にアイスクリームを食べたくなった。
やってきたワゴンサービスでバニラアイスクリームを購入。
寝台特急「北斗星」でも扱っているのと同じアイスクリームだが、とても旨い。
初めての北海道旅行で「北斗星」のロビーカーでビールを飲みながら食べた夜を
ふと思い出した。初めて故に強烈な印象になっているのかもしれない。









東室蘭から室蘭行きに乗換え。
路線図では支線のようになっているが、立派な室蘭本線である。
時刻表を見ると分かるが、室蘭~東室蘭までは普通列車として札幌までアクセスする
特急すずらんが定期的に走っている。

さて室蘭までは13分という短い乗車時間で到着する。
駅前には何もない。このまま40分近く駅で待っていてもよいのだが、何か見るものはと
歩き回ってみると、道路の青い看板に「地球岬」という文字が目に入ってきた。
距離が3.4kmでは歩いて往復するには時間がない。ここは観光客として金を落とすべく
待っていたタクシーに乗る事にしよう。タクシーの運転手曰く、霧が出て見られないかも
しれないけれどと話していたが、しばらく走っていると白い霧が道路の前を隠している。





タクシーに待ってもらい、急いで展望台まで階段を駆け上がるが、
案の定、運転手の言った通りであった。霧が晴れていれば遠くまで一望できるだろう景色は
目の前を乳白色の霧で覆われている。まるで雲の中にいる感じである。
タクシーに乗る前に、地球儀型をした珍しい電話ボックスを撮影してから、
また急いでタクシーに乗り込んだ。戻る途中でもタクシーの運転手と話をしたが
観光客は10年前までに比べると、不景気でめっきりと減ってしまったという。
地元の人ももっと外を出歩いていた姿が今は見かけなくなって寂しい限りだと嘆く。
運賃2310円なり。
今回は残念ながら見られなかったが、機会があれば天気を見て訪れたい。
欲張ってあれもこれも見ようとした罰が当たったのかもしれない。





特急すずらん7号で南千歳まで乗っていく。
東室蘭までは全車自由席のため、uシートも運賃だけで乗ることができる。
東室蘭までだが、「乗り得」列車としては有名なのだろう。
東室蘭から特急列車として運転するのだが、実質幌別までは各駅に停車するので
幌別から特急列車とするべきではないだろうか。

幌別。先頭車の自由席に乗っていたが、この幌別から乗り込んできたおばあちゃんと
ちいさな男の子はおそらく孫だろうか、前面展望を楽しもうとデッキとの仕切り扉にある
細長いガラス窓から覗き込んでいたが、ゆったりと楽しめないことに嫌気を差してか
しばらくして座席に戻ってしまった。

函館~札幌、あるいは札幌~釧路といった特急列車に何度か乗っているせいか、
同じ特急列車でもやたらと停車駅が多いように感じる。
白老に停車する特急列車はこの「すずらん号」だけのようである。
特急列車というよりは少し金がかかる快速列車という感じだろうか。 

白老を出ると、朝すれ違った「カシオペヤ」と再びすれ違う。
沼ノ端を出てしばらく走っていると、前方を右から左へ白い機体が横切っている。
新千歳空港に着陸するのかもしれない。

南千歳からは本日の宿泊地である釧路まで一気に向かう。
特急スーパーおおぞら11号の自由席で頑張ってもよいのだが、少々疲れてしまっているので
空いていればと改札そばのみどりの窓口に訪ねてみる。窓側の残り1席だけだった。
指定席料金の他に特急料金もかかってしまうが、迷わずに購入した。3030円なり。






自由席と違い、座席には揺れても仮眠しやすいように枕が付いている。
こういう点で差別化が図られているのかと少し嬉しくなる。
19時を回ってもまだ外は明るい。夏が少しずつ近づいている証だろう。
どのあたりを走っているかは記憶がなかったが、いつの間に意識が無くなった・・・・
・・・目が覚めると白糠に到着していた。再び居眠りをしているともうすぐ釧路だった。

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