2007年10月21日日曜日

つくもノヲ”X="1≠ 231


GPSに関する自分メモ。

単独測位は4つのGPS衛星が発する電波によって行われる。
そのうちの3つの電波から経度、緯度、高度を決定するのだが
そのためにGPS衛星からGPS受信機まで届く電波の距離を計算する。
GPSから発信された電波の時刻、GPSで受信した電波の時刻の差を
電波を光速として乗じると、距離が求められる。

詳細はよく知らないが、距離を求めるためにGPS衛星で動いている
正確な原子時計が使われる。また3つの衛星はすべて同じ時刻で
動いている必要がある。一方、GPS受信機で動く時計はそうした
高精度の時計ではないため、4つ目の衛星が発する電波によって
GPS衛星と時刻の同期を取るものと思われる。

3つの衛星とも時刻に差が出てしまってはよく例えに出されるのが
「4本の脚の長さが違うテーブル」だ。脚の長さが違えば、上に
乗る板は安定しない。位置情報に誤差が生じる。

単独測位の場合はこれでどの場所にいっても、ぴたりと現在位置を
特定することができるか・・といえばそんな単純な話ではない。

このGPS電波は大気圏に突入すると、その伝播速度が遅くなり
高層ビルや、高い場所にある鉄塔や金属製の看板などに当たると
反射する。(これをマルチパスという)
また、GPS受信のアンテナ上空に障害物があってもやはり電波が
遮られることがある(サイクルスリップ)

この他にも大気圏だけでなく、電離層や対流圏、気圧、気候による影響、
その時の衛星配置(あまりの低角度でGPS電波受信不可など)
などなど、色々と誤差要因が存在する。

気候が影響する要因については、水蒸気の状態によって電波の乱れ方が
異なるということを利用して主に集中豪雨の予測に役立てる「GPS気象学」
というのがあるらしい。


GPS衛星から送られる電波は搬送波と呼ばれ、その搬送波に
位置情報、時刻情報などの他にPコード,C/Aコードがある。
それぞれ軍用、民生用んのコードであり、
軍用のPコードは言うまでもなく、軍事用に使用されるもので
その精度は計り知れない。そのため民生用としては開放されていない。

一方、民生用は精度は10mの誤差があるようだ。
この誤差を無くすための方法として相対測位という方法がある。

いろいろあるようで、「DGPS」、「干渉測位」に大別できる。
後者のほうが精度は良くなるが、その代わりに測位時間も多くかかる。
この「干渉測位」の精度がよい順に

「RTK(リアルタイムキネマティック)測位」(概ねcmオーダー)
「スタティック測位(静的干渉測位)」
「干渉測位」(mm単位の計測も可能)

となる。

このニッキにも書いたGPS実験で使ったauの携帯が採用しているのは
「gpsOne」とよばれるクワルコム社の技術。
単独測位のようにGPS電波が受信できる屋外では、電波を捕捉するが
それだけでは測位に時間がかかってしまう。
また、電波が届かない場所ではまったく補足ができなくなる。

その問題を解決するために、GPS電波の捕捉だけでなく
電波を捕捉している近くの基地局から、衛星を捕捉するための情報を
受信することで、衛星捕捉にかかる測位時間の短縮を図っている。
また、GPS電波を受信して位置情報が分かっている近くの基地局から
端末の近くにあるアンテナの位置情報を割り出して、アンテナ経由で、
その位置情報を取得することで、圏外でさえなければGPS情報を
直間接的に受信することができる。

その位置情報が既知の基地局(笑)は基準点と呼ばれ、この基準点を
利用して計測点、つまり携帯電話の位置を割り出すので
相対測位である。

単独測位だけではどうしてもカバーできないさまざな要因で
発生する誤差を修正するために、様々な相対測位の方法がある。

GPS受信機が一番正確な位置情報を得られるとずっと思い込んでいたが、
少し調べてみると、そうではないのだと驚く。
軍用のPコードを破って、利用できるなら精度としてこれに勝るものは
ないのだろうが。

あながち、「ゴルゴ13」に出てくる偵察用衛星の話も全くの架空では
はない事にも少々驚く今日この頃。

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