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突然思い立ったのが、青春18きっぷを使った鉄道旅行である。
青春18きっぷを使うということは、普通列車か、快速列車だけを
使って目的の駅まで乗っていくことだ。
しかも、今回ターゲットにしようと考えたのは東海道本線。
小田原から新大阪まで走破してみようと考えた。
一部特急に乗れる特例区間が存在するが、東海道本線にはない。
新幹線も特急列車も使わずに、普通列車と快速列車だけで
乗り継いでいく旅である。
行程をつぎのように考えた。
【行き】
小田原 00:31
↓ ムーライトながら
大垣 06:55
07:00
↓ 739T 普通
米原 07:34
07:48
↓ 3423M 新快速
新大阪 09:09
【帰り】
新大阪 11:35
↓ 3448M 新快速
米原 12:51
13:09
↓ 218F 普通
大垣 13:44
13:55
↓ 2538F 普通
豊橋 15:17
15:34
↓ 964M 普通
浜松 16:07
16:17
↓ 452M 普通
熱海 18:44
18:58
↓ 932M 普通
小田原 19:20
大垣方面のムーンライトながらは豊橋まで全席指定席。
そのため、小田原~豊橋の指定席が取れない場合は、
始発の小田急線に乗らなくてはならない。
しかも、ろくにスケジュールを考えもせずに組んでしまい
同級生の彼との飲み会の後に、その足でムーンライトながらに乗るか、
朝早くにおきて、始発で小田原に向かうか、いずれもあわただしい
スタートになってしまった。
29日。夜勤明けに少々、例のマネージャーと今後の自分の進路について
話をして渋谷で別れて、その電車で有楽町までに行く。
いつもの魔法のスパゲッティーを食べるためだ。
今回は無理せず、大盛りを食らうことにした。
お腹がこの魔法で満たされ、さっそく東京駅のみどりの窓口へと急ぐ。
まず、最初の窓口で青春18きっぷをゲット。
これがないと今回の計画もなにもなくなる。
そして行程を実行するために必要なムーンライトながらの指定席。
案の定、最初の窓口では端末で調べてもらったが、満席という結果に。
あきらめず、他の窓口にも当たってみる。
すると、当日のキャンセルが出やすいというwebの情報は確かであることを
確認することになった。キャンセル待ちがあったのだ。
こうして、行程を実行する準備は整ったのだ。
あとは当日、飲み会の後に無事に小田原に行き、ながらに乗れるかどうかだ。
ここでこけたら、元の木阿弥だからだ。
飲み会も本当は余裕を持って、23時半くらいにはお開きにするつもりが、
あまりに話が盛り上がってしまい、ぎりぎりに駅のホームに行くことになった。
なんとか小田原に向かう小田急線に乗ることができたので、一安心。
小田原に到着。ホームにはまだ、これから乗る列車の姿はない。
ホームに並んでいる人たちはこのシーズンだけに若い人たちが多い。
中には年配の人たちも見かける。
目当ての列車がホームに入ってきた。9両編成のムーンライトながらだ。
指定席に座る。しばらくして車掌の車内検札が始まった。
座ってしばらくすると、このリクライニングシートはあまり座り心地が良くない
ことを知る。背もたれはある程度倒れるが、安全上車内が明るいことも相まって
とても眠れる代物ではない。しかも十分に足も前に伸ばせないのもつらい。
ちゃんと寝たいなら、一本先を走っている寝台急行「銀河」に乗るべきだ。
横になって寝るのと、そうでないとでは雲泥の差だ。
時刻表によると、豊橋までは「快速」とあるだけに順調に駅を飛ばしていく。
運よく窓側の席がゲットできた。
見えないと思っていた満月が顔をのぞかせた。
まさにムーンライトである。
時刻表をさらによく見ると、3駅で20分~45分かけて、
長時間停車することになっている。
予想はしていたが、後続の貨物列車を先に行かせるために駅に長時間停車するのだ。
最初は静岡駅。21分停車。
1:55と2:08にそれぞれ、貨物列車が通過していった。
車内放送は小田原を出るとしばらくないが、この長時間停車については
車内放送がある。また、車内空調環境の保護のためにいったん扉が閉まる。
発車するまでは、そばの開閉ボタンで出入りができるようになっている。
その次が浜松駅。25分停車。
ここでは、3:14、3:20、3:22、3:27と立て続けに貨物列車が追加していった。
運転台を覗いてみる。さすがに外に出ないものの、これだけの長時間停車とあって、
運転士もこっそりと文庫本を開いていた。いろんな列車が走っている中で
夜通し朝まで運転するこのながらは激務なんだろうとは、これもこっそりと
あくびしていることが物語っている。(笑)
そして最後が豊橋駅。ここが一番長い45分停車。
浜松のようにかなりの本数が通過するかと思いきや、4:18に通過したきり
まったく貨物列車は通過しなかった。いったい何のためにこれだけ長く停車
しているのか?、それは謎だ。
東海道本線に沿うように作られたので、普段はなかなか見られない新幹線の
保守作業を間近に見ることができる。もちろん、走りながらだけれども。
豊橋を出ると、全車自由席に切り替わる。通勤通学用の普通列車としても
兼ねているためだ。だから私のような旅行者とスーツを着たサラリーマンが
並んで席に座るという特異な光景が見られることになる。
この時間帯に利用している地元からすれば、座れないストレスを少なからず
持っているだろう。
豊橋から名古屋の間で、ようやく空が明るくなり始める。
しかし、残念なことに今日も昨日と同じように天気は良くないようだ。
なんとか眠ろうと、指定席区間にいろいろと体勢を変えてみたが
あまり眠れなかった。少し興奮しているのもあったのかもしれない。
座っていると、足を前に投げ出したくなる。いや、布団に横になりたい気分だ。
ずっと座っていてもたいしたことない、と軽く見ていたが、想像以上に辛い。
隣にだれも座っていなければ気を遣うこともないが、自由席になったとたんに
私の隣に座る者が現れ、大垣終点までのこの間が、窮屈で一番疲れた。
739T 普通電車。
大垣から米原方面の電車に乗り換える。京都、大阪方面に直通電車が走っている
だけに旅行者だけでなく、通学通勤者も多数おり、ホームはにぎやかだ。
3423M 新快速。
列車は大垣から米原、米原からの新快速もクロスシート車両だった。
混んではいるが、少し探せば座れるくらいだ。新快速は京急張りにがんがん
飛ばしている。あまりのスピードでスリップしないかとちょっと心配になる。
かなりのスピードでときおり、左右に揺れる。
しかし、これだけのスピードでも次の駅までの距離が長い。
座れないと通勤通学者はかなり、辛いだろうと思われる。
新大阪に09:09。9時間近くを電車に乗り続けたことになる。
新幹線がいかに早いかを体で実感できた。
土産物を探すため、地下鉄への乗り換えなどを考えて
大阪で降りた。
まず、風呂に入りたい。カプセルホテルを駅前を
探してみようとインターネットカフェにいく。
駅から歩いて5分ばかり、とあるインターネットカフェを
見つけた。会員カードを作って席につく。
偶然にもシャワー室完備の店であり、無料で利用できると
あり、さっそく予約する。
先約がいるようで、約1時間後にスタッフがバスタオルや
ドライヤーなどの一式が入ったかごを手渡す。
シャワー室へ入る。シャワーだけかと思ったが、手で押すタイプの
ボディーソープとシャンプーも設置されていた。
かみそり、歯ブラシまで完備されていたが、体を洗うタオルまで
貸し出してくれるとありがたかった。
カプセルホテルを探す手間が思わぬ形で省けたところで、
道頓堀に行って、昼飯と土産物をさがしに行くため大阪駅に戻る。
最寄のJR難波駅へ行くため、大阪環状線を新今宮まで乗る。
新今宮のホームで待っていると、新快速が出たあとに鶯色の電車が
ホームにやってきた。
ここから一駅。終点のJR難波駅は地下ホーム。
なんばウォークを横切り、道頓堀を目指す。
出張の帰りで一度行ったことがあるが、シーズンもあってか
若い人たちも多い。食い倒れ人形も装いを新たにして、写真に収めようと
ちょっとした人だかりができていた。
またおこしとグリコの看板を象ったキーホルダをいくつか買う。
食い倒れ人形のすぐ奥は飲食店になっている。1階がその大阪名物「くいだおれ」。
ここで頼んでみたのが、その名も「くいだおれオムライス」(890円)
食べてみると結構な量があった。私の胃ではこれで十分だ。
胃が満足したところで、蓮向かいの店で「生八つ橋」とたこ焼きに見立てたお菓子を
一箱ずつ買って、帰途へ急ぐ。
歩いている途中から、JR難波がどこにあるかわからなくなり、
そのまま大阪駅まで四つ橋筋を30分ほど歩くことにした。
当初の炎天下はなくなったが、まだ暑い。
その中の30分はけっこう体に来る。
せっかくシャワー室で流した汗もまったくの意味を成さなくなった(笑)
15時少し前に大阪駅に到着。遅くとも、15:05新大阪着の新快速に乗ろうと
考えていたが、その1本前の快速電車がもうすぐ来るところだった。
もうすこし遅かったら、乗り継ぎで大変なことになるのだ。
(18きっぷで東海道線を旅行した人ならこの意味がわかると思う)
3476M 新快速。
快速電車を見送ったあと、お目当ての新快速には座ることができた。
米原まで1時間20分。やがて一眠りする。
2346F 新快速。
米原から16:44発の新快速に乗る。ここでもなんとか座ることができた。
岐阜まで各駅停車。流れる景色にふと見上げると、夏もそろそろ終わろうと
しているかのような雲が夕焼け空に流れている。
新幹線が横を通り過ぎていく。時折下りの線路が少し離れるとき、
架線と架線柱がシルエットになって、流れていく。
この瞬間、18きっぷで鉄道旅行していると強く感じる瞬間だ。
豊橋に18:48着。ここからは小田原まで各駅停車をずっと乗り継ぐ。
つまり、小田原まですべての駅に停まることになる。
980M 普通電車。
その1本目が浜松までの普通電車。ロングシートかとひやひやしたが、
かなり古い車両だが、全席クロスシート。40分ばかり揺られる。
各駅停車だが、駅間はけっこう長い。
854M 普通電車。
浜松19:30着。向かいのホームから静岡ゆきに乗り換える。
ここまで順調にクロスシートだったのに、なんということだ。
ロングシート・・・・orz。しかも全車。
おまけにトイレがないため、乗る前にトイレは必須だ。
行きにも普通電車を使っていたら、もっと挫けていたかも。
1474M 普通電車。
静岡20:50着。ようやく静岡。向かいのホームで熱海ゆきに
乗り換える。なぜかクロスシートとロングシートの混合タイプ。
熱海まで1時間ちょっとと長い。
954M 普通電車。
熱海22:04着。この辺からは東京から直通とあって、通勤電車として
用途があるので、ロングシート。
小田原にも定刻22:29着。こうしてひどく時間がかかる往復18時間の旅は
終わったのである。
旅を振り返ると失敗点は2つある。
ひとつは行きの「ムーンライトながら」だ。
明けでほとんど眠らずにそのまま旅行したということもあったが、
一眠りはできるだろうと軽く考えていたが、まったく眠れず。
大阪でひと休みでもすればよいが、時間的にゆっくりしているとその日の
うちに帰れなくなってしまう。新幹線を使ってもいいが、
今回の「青春18きっぷ」を使った鈍行列車の旅の意味はなくなる。
次に大阪での行動計画だ。土産物を買って帰ると決めていたが、
どこに行くかを決めていなかった。インターネットカフェでwebを見て、
道頓堀と決めたのだ。それに後で書けばよいこの記事も実はそのカフェで
書いたがために、無駄に時間を過ごしてしまったのだ。
道頓堀の帰りにJR難波の行き方がわからなくなり、大阪駅まで歩くことに
なることは想定外だった。これでよけいに疲れた上に時間がかかってしまった。
そんなわけで、だいぶ疲れる鉄道旅であった。
このあと、家で爆睡は言うまでもなく・・・