2007年9月12日水曜日

つくもノヲ”X="1≠ 207




11日。大阪出張の日。
残念ながら名古屋までの指定席は取れず。
考えもせずに3号車自由席に座る。唯一の喫煙車。そしておそらく
その意味で最後の「夢の超特急」。そして全車禁煙となるだろう。
海側の車窓を眺めると、東海道線が草薙のホームを離れようと
しているところだった。
9:35。あっという間に草薙の次の東静岡が後ろに流れていく。

大阪の会議。今回はちょうど1時間で終了。
同僚達とは大阪駅で別れる。

今回のプチ観光は京都。乗車券のついでに新幹線の指定席券も
購入。新快速なら30分で京都まで飛ばしてくれる。
最高時速130km。カーブでもほとんど減速はない。
あっても100kmを維持して爆走する。

京都駅で気が変わった。そうだ、前々から気になっていた
寝台急行「銀河」でゆっくりと帰ってみようと思ったのだ。
みどりの窓口で新幹線の指定席券の払い戻しをしてもらい、
「銀河」の急行券・B寝台券を購入。
京都からでも良かったが、交通費は会社持ちなので新大阪から
小田原とした。新大阪22:28発で小田原には5:31着。

京都駅を出ると、目の前に京都タワーがお出迎え。
さっそく高さ100mの展望台へ行ってみた(大人770円)

受付で半券を切ってもらい、パンフレットをもらう。
そばのエレベータに乗り込むと、横浜のランドマークタワーの
ごとく、エレベータガールが案内を告げる。








高さ100mでも、見晴らしは格別である。
ぐるっと360度。無料の望遠鏡があるのがポイント。覗いてみると
人の顔の表情までよくわかる。デジカメを望遠鏡で撮ってみる。
意外とうまく撮れる。




おっと、いけない癖が。関係者以外立ち入り禁止のこうした雰囲気が
ある所へつい、冒険してみたくなる。
地下3階、地上10階まで従業員用の階段が続く。

地下3階はゲームコーナーを横切ると、奥に大浴場がある。
その名も「タワー浴場」。(大人750円)
展望台券に割引券があったのに気づいたのは後のあと(笑)

引き戸を開けると、目の前に湯船がある。
カランだけのシンプルな給湯。赤いのを押せば熱すぎる湯が
青いのを押せば水が出る。

ちなみにこの京都タワーは宿泊施設(京都タワーホテル)にも
なっていて宿泊者なら200円で利用できる。ご参考まで。



たまたま案内板にあった三十三間堂へ歩いてみる。
七条通りをまっすぐ、東京方面へしばらく歩く。
だが残念ながら、すでに拝観時間は終わっていた・・・

そのまま来た道を帰るのも、面白くないので五条通りを経由して
ゆっくりと京都駅へ引き返す。すでに夜になっている。
京都駅は吹き抜けのある、黒を貴重にしたデザイン。
洒落た黒は、京都の町並みをイメージしたのだろう。

新大阪方面の新快速は通勤帰りの時間帯に重なっているためか、
混んでいた。30分が長く感じる。



20時過ぎの新大阪は雨が降っていた。道頓堀でいか焼きを食べようと
地下鉄御堂筋線でなんば駅で降りる。
アメリカ村までは良かったが、道を間違えたようで道頓堀への行き方が
わからなくなり、この雨の中をいい加減歩きたくないというのもあり、
1軒の店に入る。

お好み焼き屋「遊人里」(ゆとり)。お好み焼きとお酒が飲めるちょっと
洒落た感じの店内。カウンターに座る。
話が好きそうな気の良いおばさんが、仕事帰りですかと聞いてきた。
出張帰りですと答える。

お好み焼きはミックス(880円)、アスパラ豚巻(380円)、
そして生ビール(中)(480円)。
以前、道頓堀で食べたけれどお好み焼きはけっこう量がある。
アスパラ豚巻はなかなかいける。ビールのおつまみには最高だ。

しばらくして例のおばさんが話しかけてきた。
地元の人らしい。話によれば夜10時過ぎのアメリカ村は地元の人でも
近寄らないほど恐いそうだ。夜の渋谷と同じようにこの大阪でも
同じ情況なのだろう。

だから帰りはアメリカ村へは行かずに、地下街を経て御堂筋線で
新大阪まで乗っていく。




「遊人里」で呈よく時間をつぶせて、22時少し前に新大阪駅へ。
お菓子と翌朝食べるチョコパンを買って、12番ホームへ降りる。
まだ電車の姿はない。
ホーム端に行くと、誰かの置き忘れなのか三脚が立っている。
ただし、カメラはない。
周りに使っていそうな人がまったくいないので、こっそりと
使わせてもらった。





22:28。「銀河」入線。雨で少し遅れ気味の模様。
まずは車内の確認。

先頭から6号車。喫煙できるB寝台。
行きの新幹線同様にこちらもその意味では「夢の超特急」。
寝台急行・寝台特急が無くなれば、移動しながら喫煙できるのは
新幹線だけとなるだろう。

5号車~2号車は禁煙B寝台。
そして1号車が上下2段式のA寝台。
その後ろに電源設備等がある車両の構成になっている。

洗面台。飲料水ではありませんと書かれているのに、コップが
備え付けれらているのはなぜだろう?


車掌に尋ねたところ、
1号車にあるこのボックス席はA寝台専用の喫煙席。
コップのことも聞いておけばよかった・・・

食堂車、自動販売機、車内販売なし。だから事前に飲食物は
買っておく必要がある。ただ、飲み物に関しては裏技が(笑)
それは後ほど。


荷物の置き場を犠牲にしてでも寝台は下段を選ぶべきだ。
まず梯子の昇り降りの面倒がない。これはけっこう大きい。
そして通路側のみならず、寝台側の窓も簡単に覗ける。
しかも今回乗る「銀河」は前回の「北斗星」のような
寝台特急よりも幅が広いので、寝台に寝転びながら
外の景色が見えるという贅沢なつくりなのだ。

新大阪を出て、しばらくすると車内検札。
キップに日付の判子を押していく。
5時くらいに起こして欲しい、と頼んでみると
順に降りる客に声をかけていくので、5時20分頃になります
とのこと。

23:10。翌6:00着の大船まで、車内放送はしないこと、
まもなく明りを暗くすると車掌が車内放送で告げる。

23:17。減灯。

23:55。米原に到着。
米原のホームの明りが無くなり、また闇の中を走る。
そばに明りがないため、線路も見えない。

しばらく走っていると、右側の少し離れたところに
自動車の灯りが並行に流れているのが見えてくる。

夜行バスが見えた。カーテンはすべて閉じられている。
夜行バスなら、4000円ほどで東京まで行ける。
その代わり、トイレもしばらくいけない上に
「ながら」を経験した今なら判るが、
きっと寝られないだろう。

雨は大阪を離れても、降り続けている。
時折、EF65が汽笛を鳴らす。

そして、思い出したように貨物列車とすれ違う。

0:15。下りの銀河が大阪に向けて、小田原を発車する頃だ。
その後を追うように「ムーンライトながら」も発車する。

どの辺で、彼らとすれ違うだろう。
米原を出て、車掌の往来も無くなった静かな車内で、
リズミカルな走行音を聞きながら、考えてみたりする。

ここら辺で少し眠くなってきたので、寝台にもぐる。
窓側に頭を向ければ、横になりながら外の景色が見れる。
やっぱり下段がいい。

しばらくはうつらうつらとしていたが、スピードを
落としてやがて停車した。ホームの明かりが窓から漏れてる。

0:52。名古屋停車。


2:22。浜松で運転停車。
2:29。貨物列車が向かいのホームを通過。
しばらくして「銀河」は動き出した。

また寝台に横になる。約1時間くらいして再び停車する。

3:30。静岡駅の明りが煌々と点いている。
ここでも貨物列車を通過させるためだ。





03:36、03:45、03:51と3本の貨物列車が通過していった。

この「銀河」には車内販売や自動販売機がない。
乗車する前に食べ物、飲み物を買っておく必要があるが、
うっかりして、ペットボトル1本しか買っていなかった。
しかも甘いミルクコーヒーだったので、飲んでもすぐに
喉で乾いてしまい、お茶が欲しくなってしまった。

しかし、駅に停車している停車時分は短く
ホームの自動販売機でお茶を買って、戻る余裕はない。

運転停車は違う。通過させる貨物列車のダイヤによるからだ。
だから、市販の時刻表に載っていないこの静岡駅には
3本の列車を通過させるために20分ほど停車するのだ。

そこで、ダメもとで車掌室へ向かってみる。
車掌室では車掌さんが待機し、窓を開けて(唯一窓が開くのだ)
ホームの様子を伺っている。

車掌さんに停車時間を聞いてみる。手元の運転停車用の時刻表を
見ながら3:52まで停車するとの返事。

「うっかりしていて、飲み物を買ってなかったんですが、
 この静岡駅では降りれないですよね?」

「お客様を乗り降りはできないですね」

「無茶は承知なんですが、ホームの自動販売機でお茶を
 買うことはできませんかね」

「でしたら、ドアを開けますのでお客様がお買いになられますか
 、それとも私(車掌さん)が買ってきてあげましょうか」

と職務中にもかかわらず、この迷惑千万な頼みを快く聞いてくれた。

備え付けのスリッパで来てしまったので、ホームに出るわけに
もいかず、その場で150円を渡して買ってきて頂くことにしたのだ。

車掌さんは車掌室にあるレバーを操作して、手動でドアを開けて
ホームへ降りていった。
2分ほどで、お茶のペットボトルを持って戻ってきた。

「本当に申し訳ないです。どうもありがとうございます」

「いえいえ、構いません」

もちろん、職務中なので本当はこういった頼みはしてはいけないが
気分が悪くなって、外の空気が吸いたくなったなどの緊急の時は
頼めば運転停車でもドアを開けてくれると思うので、覚えておくと
いいかもしれない。

これであの十津川警部が名探偵のごとく、事件を推理して解決する
西村京太郎のトラベルミステリー作品にこの運転停車を利用した
アリバイトリックがあるが、可能であることはわかった。

しかし、この方法は車掌さんに顔をおぼられてしまう。
運転停車でドアを開けてほしいと頼む客はめったにいないからだ。
それに深夜とはいえ、たまたま起きた他の乗客にも見られる可能性も
あり、現実として実行する犯人もいないだろう。
(もしかしたら、いたかも??)

だからこそトラベルミステリーなのだが、何だが十津川警部の気分に
なった感じで車掌さんには申し訳なかったが、楽しかった。



5号車9下段。もれなくこの寝台に乗ると、こんなものがこっそりと
観察できる。ふたを開けると、どうやらドア開閉灯の内部らしい。
ドアが開いていると点灯し、閉まると消える。通勤電車に乗っていると
何気なく見ていると思う。

そこでトラベルミステリーのネタをひとつ。
ドアが開くと点灯する、つまりこの2本の電線に電気が流れるわけだ。
ドアが開くと同時に電気が流れて爆発するような、小型の爆弾を取り付ける。
そして犯人は乗客を人質に列車のドアを開けるな、爆発するぞと脅迫。

実は西村京太郎の作品にも同じような場面がある。
犯人は列車の外から、爆発物を取り付ける。しかも運転停車中のホームに
ドアが開くとピアノ線が引っ張られるか、時間が来ても爆発するような
爆発物をダミーもあわせて取り付けるのである。

犯人がターゲットを殺害しようと、乗車する列車に爆発物を取り付ける、
犯人からの爆発するという脅迫はこの目的をカモフラージュするためと
推理して、ターゲットの乗る寝台特急に乗ることになったのだ。

作品をよく覚えていないが、夜中の3:00に爆発するようになっているだろう
と推理するのだ。福知山を3:00少し前に出発するとしばらく停車しない、
このことに注目して推理したような気がする。(記憶があやふや・・・)

ホームのかなり遠く離れたところから、駅員が犯人らしき人を見かけた
と証言するあたりから、この犯行計画はかなり杜撰だ。
怪しいと駅員が近づいてきたら、終わりだからだ。

犯人に近づかなくても、列車に何かあるんだろうと見て、不振物があると
列車内の車掌に連絡が行く可能性もあるのだ。

この場合は発車した後に気づいてもドアは開けない。
開こうとすると爆発してしまうからだ。そこで、先ほど静岡の運転停車でも
書いた唯一開く車掌室の窓を開けて、脱出することを十津川警部が提案する。

爆発する前に福知山に停車させ、爆発物を除去するのだが
時限装置を止めるために、時計の蓋の隙間からシェービングクリームを
流し込むという場面があった。実際にこんな場面があるのだろうか??

それよりもドア開閉灯の内側に小型の爆弾を取り付けるという方法が
よほど現実的に思える。しばらく停車しない区間なら車掌の往来もないので
カーテンさえ締め切れば、誰にも見られず作業ができる。
さらにシーズンをはずして、隣同士に乗客がいなければなお良いだろう・・・

って、もちろん犯行を奨めているわけではないので誤解の無いように!!

隠されたところにコンセントがないかと、周りを探してみたが
その代わりに見つかったのが、この踏み台。車内点検かなにかで作業員が
使うのだろうか?下段の私の使っている側、東京側にそれぞれひとつずつ
収納されているようだ。

4:23。富士停車。ここでは甲府へいく身延線に乗り換えられる。
いつぞやの家出事件でお世話になった思い出深い電車だ(笑)

4:50。沼津に停車する頃には空も夜の帳がなくなって、まわりの景色が
はっきりと見えるようになってきた。相変わらず雨は降っている。

始発だろう、向かいのホームで発車を待っている熱海行きの普通電車
には、すでに座先に座って眠っている客が見えた。


長い長いトンネルを抜けて・・・・
5:07に熱海停車。小田原はこの次だ。
電光案内板が見える。このあとに5:45に寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」
が発車するようだ。

「北斗星」で旅行して以来、寝台列車から眺める早朝の景色が好きだ。

自宅で迎えるいつもの朝は憂鬱でしかないが、寝台車で向かえる朝は
なぜか、わくわくする。格別な朝という感じなのだ。

だから、特に「北斗星」の食堂車で食べる朝食も格別だ。
ゆっくりと流れる北海道の海を眺めながらの優雅に食事ができるのだ。
これほど、贅沢な朝食は日常では体験できないものだ。

05:20。前夜車掌さんが言った時間通りに声をかけてくれた。
腕時計を見ながら、定刻どおりに小田原に到着しますと教えてくれる。


05:31。始発が動き出したばかりの小田原駅。相変わらず雨は降っている。
青い車体はゆっくりと東京へ向かって、早朝の東海道線を走っていく。
そうして、昼間は家でぐっすり寝て夜勤に向かうのである。

今日の歩行ルートは「京都駅」、「御堂筋線 なんば駅」の吹き出しから
僕の地下探検&ウォーキング記録

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

興味の対象が似ているので、楽しく読ませてもらってます。
ただ、この運転停車で飲料を・・の話は、列車・日時が特定されていますので、あまり公に書かないほうがよかったのではないでしょうか。
規則からは反していると思うので、善意でした車掌さんが、場合によっては処分されてしまうかもしれない可能性もあると思いますので・・・
これからも、ちょくちょく読みに来ますので、続けてくれると嬉しいです。
では。