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松屋銀座へ続く、銀座駅A13出口にある銀座共同溝。
覗き窓が設けられ、それぞれ走っているケーブルやパイプの
用途を説明したパネルが掲げられている。
共同溝を設けたことで、道路を掘り返すことなく
ケーブル類を安全に管理することが可能になったことが
重要な点だとそばの壁に掲げられた説明プレートに書かれていた。
「地下展」。前回は休館日でやっていなかったけど
今回は雨の中、ゆりかもめに乗って行ってみた。
天気で精度が変わりやすいらしいことを確認するために
朝から雨が降っている今日、大井町線からゆりかもめまで、
GPS情報を取ってみた。晴れの日よりはGPSが取得しにくかったり、
できなかったり、大幅にずれている箇所が散見された。
船の科学館駅から歩くこと4分ほど。駐車場は満車。入り口から
ちょっとした車の待機している行列を横目に入り口へ。
900円(入館料500円込み)は少し割高な感じの気がしなくもないが
とりあえず券売機でチケットを受け取る。
このチケットは各ブースに設けられている自動改札機のような
ゲートにチケットにあるQRコードを読み込ませることで、
入場できる仕組みだ。
「地下展」は一階の1ブースのみであり、上の階にあるのは
常設展という構成になっている。
「地下展」のゲートを通る。
ブースは照明を少なくし、地下のイメージからか暗くしてある。
まず、最初に目につくのはこのオブジェクターで写された
繰り返しの映像だ。
そこを通り過ぎ、すぐ奥には壁をスクリーンにして2つの画面が
煌々と光る。映し出されている片方は都営大江戸線の運転席展望を
早送りにしたものが流れる。最後まで見るとなかなか見ることが
できない車庫まで走行映像というさりげなくレアな映像だ。
そのあと、八重洲地下街などの映像が流されるが、それほど見て
面白いものは流れていない。
もう片方では見学会以外では見る機会もない日比谷共同溝を
こちらも早送りで流している。それ以外にも埼玉にある有名な
「地下神殿」こと首都圏外郭放水路のまさに放水されている
シーン、そして「神殿」に水が流れているシーンとこれまた
貴重な映像が流れている。
振り返ると、映像で流されている日比谷共同溝、他2つの
共同溝を近年webで見かける360°パノラマ画像で見ることが
できる。マウスでドラックしたり、クリックしたりすると
動きにあわせて天井を見たり、反対側を向いたり、まるで
その場にいるような臨場感が味わえる。
最初がこんなだから、もっとこの東京を中心とした地下世界
を詳細に知ることができそうだと期待しながら奥へ進む。
そういう意味では期待はずれではあったが、別の面から地下
について知識を得られたということでは来て損はなかったと思う。
展示物は発泡スチロールでできたブロックを組み合わせた中や
上に展示されている。
最初に見たのが、この「ノアの方舟」。
南極という年中氷点下で環境が変わることがないことを利用して
あらゆる種子を手前に並んでいる(写真ではわかりにくいけど)
瓶につめて(?)氷山に洞窟を掘って、保存するプロジェクト。
その隣、これは携帯電話のモックアップの山。
携帯電話1t(12500台)で金が340g採取可能とのこと。
他の展示物を見てみると分かるが、地下に眠る限りある資源を
有効活用するために不要な携帯電話をただ捨てるだけではなく
そこから採取できる金を含めて、可能な限り資源を再利用しようと
映像やこうした展示で観客の目に訴えているらしい。
さらに奥へ進む。地下深くに生息するバクテリアなど生物や
その先祖を樹形図の形で視覚的に示している。
個人的にここはあまり興味はない。
奥へ進むにつれて、地上から地球の中心部へと地下へ潜るように
知識を深められるように配されているようだ。
ここではおそらくだれも見たことはない、
コンピュータによるマントルの対流シミュレーションの映像が
流されている。
展示物の説明では大陸プレートを動かしている力とされている
マントルの対流は東京から名古屋まで東京タワーを移動させる
のに36万年かかるそうだ。普段の生活では気づかぬ、感じぬ速さだが
確実に大陸の下では動いているのだ。
理解できたのはこの辺りまで。
次に現れた透明の球体。球体下部には原始の海と二酸化炭素に関する
映像が繰り返し流されているようだが、よくは分からなかった。
さらに奥には音響とともに天井にこんな映像が映っている。
歯車である。人の営みのサイクルを100年として、今までの地球が
営んできたさまざまサイクルを大小の歯車で示しているらしい。
映像が映っている真下、写真では見づらいが円形の操作盤がある。
操作盤には大小の歯車とそれが何を示しているかの説明が書かれていて
歯車にポインタを合わせると、映像はその歯車を中心に映し出す。
あまりにも人の営みを表す歯車が小さいので、ポインタを合わせる
ことが難しい(笑)
「地下展」よりも正直面白かったのは、3階から上の常設展だった。
まず、ちょうど「asimo」の実演をやっていて人だかりが出来ていた。
人の頭と頭の間で背伸びするように見ていたが、ロボットの歩行は
あの引きずる感じではなく、人が自然にあるく形に足をあげて動かす
というところまで近づいている。途中、asimoの足が動いているスロー
の映像が流されたが、人が走るときの両足が離れるところも実現して
いる。鉄腕アトムの未来もそう遠くないかもと思わせた。
この階のブースに限らないが、なるべく説明文は省いて
音や映像、また実際に触れられるようにして五感で理解してもらおう
というコンセプトで作られている。
リニアモーターカーが永久磁石を使って本当に浮いて走るところを
間近で見られたり、特に人気がある「インターネット物理モデル」
でインターネットをどのように送ったデータを受け取るかを視覚的に
興味がもてるようになっている。
この「インターネット物理モデル」の仕組みは単純で、送信側から
受信側へ文字を送るというシステムを白と黒の玉を使って行う。
送信側で送りたい文字をセットすると、その文字を表す白と黒の
組み合わせの8つのランプがつく。その通りに玉を並べてどこに送るか
レバーで送信先を指定する。最後にボタンを押すと受信側へ向けて
8つの玉がレールを転がっていく。
送信側と受信側のレールの中継点にある円柱形はサーバを表している。
8つの白黒の玉は実は2進数を表している。
彼らにはそこまで知らなくても、触れて見ることで実際にデータが
どのように送られていくのかを分かるようになるのは斬新ではない
だろうか。教科書や書籍に書かれている内容を読むよりは分かりやすい。
さらに奥にはTCP/IPでは同じみのアプリケーション層、物理層などの
OSI参照モデルを映像で簡単に知ることができるコーナーや、
漢字のクイズなどちょっと遊べるところがあって楽しめる。
さらに上の階では生物や宇宙に関するブースになっており、
宇宙船の中のシャワー室や個室、トイレなどが見られたり、
ゲノム解析をどのように実施しているのかを実際に触れるゲノムパズル
があったりとまさに体験型の未来博物館。
さらに上の階は常設展ではなく、このときはいわば
「新しいインターフェースのコミックマーケット」なるものを開催
していた。先ほどの「asimo」同様に絵空事ではないもう少し先の未来が
ここでも少し感じることができて楽しかった。
「地下展」だけならがっかりしたが、常設展も見たおかげで充実した
時間が過ごせた。外は相変わらずの雨だった。