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「雲のむこう、約束の場所」
新海 誠 監督の長編アニメ第1作であり、処女作「ほしのこえ」
については森川嘉一郎著 「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」
で取り上げられています。その著書によれば、監督から、脚本に至るまで
すべてひとりで商業アニメと変わらないクオリティーを完成させたと
なっていますが、正確には音楽関係については他の方も担当しています。
「ほしのこえ」については、webで流されている予告編しか見ていませんが、
それは森川氏が述べている通り、やはり少人数であれだけのクオリティーを
完成させたのは、やはり驚くしかないでしょう。素人目の私からすれば
商業アニメとしても、十分通用するのではないかと思います。
最近夜勤が多い今日この頃ですが、仕事もせずにネットサーフィンを
していると、yahooでは同監督の最新作として「秒速5センチメートル」
という全3話の短編アニメーションを3月上旬に渋谷シネマライズにて
先行公開されると告知されています。yahooでは第1話の無料公開について
はすでに終了してしまいましたが、webの情報では離れ離れになった恋人に
電車に乗って、はるばる栃木まで会いにやって来るという展開で、電車内での
主人公はその描写だけがあるようで、特にストーリー性についてはいい評判
はないようです。といっても他人の評価なので、自分が見るまではなんとも
言えません。でもこれからお話しする「雲のむこう、約束の場所」についても
DVDをレンタルして観る前に予告編を見て、その独特の映像表現、その美しさ
については期待を裏切らなかったので、最新作についても同様の期待を持って
いいのではと思っています。予告編では地元の小田急線が新宿方面に走り去る
部分が再現されているので、その親近感もあるのかもしれません。
現実からアニメに切り取る試みとして、一切SFやファンタジーの要素はなく、
日常風景をそのまま再現しています。この表現方法はやはり、スタジオジブリの
「耳をすませば」の京王線 聖蹟桜ヶ丘駅とその周辺をモデルにして描写して
いる部分に通じているなと思います。だから「第2の宮崎 駿」と評価されて
いるのかもしれません。
さて、またしても前置きが長くなってしまいましたが
新海 誠監督についてはこんな感じです。
今回紹介したい「雲の~」ですが、その独特のストーリーもそうですが
写真のような絵のような、とにかく今までに観てきたアニメになかった描写が
気に入りました。幾多のシーンでこの話の象徴的な建造物である天に聳える
白い塔が出てきますが、そのシーンはこのようにスクリーンショットに
してしまったぐらいです。大げさに言えば、これを印刷して額縁に収めて
飾ってもいいのではと思います。そうしてもなお、見て飽きないし、
この記事を書いている時点でも頭の中にその印象は強くアニメではなくて、
絵として残っています。これまでもいろんなアニメをレンタルしては観て
来ましたが、大体が1回観たらそれで満足してしまうのですが、この作品
については3回観ました。1回目は通して観て、2回目と3回目は印象的なシーンを
中心に早送りしたり、巻戻したりしながら観ました。
そんなわけで、この作品はただ観るというのではなくて、表現はおかしいですが
まるで「愛撫するように」観る感じに似ています。
おそらく1回観ただけでは満足できないし、特にエンディングとともに流される
テーマを聴いてもすぐには「そういうことか」と気づくことは難しいのではと
思います。私はwebで個人の関連ブログを見て、エンディングの意味がようやく
わかりましたが、その意味もやはりその他人の捕らえ方だと思っているので、
それは一つの捕らえ方として、いろんな捕らえ方ができるのではと感じています。
流されるエンディングは一つですが、見方によっては異なったエンディングと
なるので、何度でも楽しんで見ることができる作品です。
私としては、エンディング付近のシーンがかなり好きです。
これだけ長いこと書きましたが、一言で言えば「騙されたと思って観て欲しい」
ということです。(なんか、ここまで来ると、キャッチセールスみたいですね)
同人誌に書かれているキャラクターがそのままアニメとして出ている感じなので、
人によってはそういうところが嫌いとかあるのかもしれませんが、それを抜きに
しても観て欲しい作品です。
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