2010年2月15日月曜日

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【ふらり 1泊2日の旅 1日目】 峠の釜めしと峠の湯

新宿
13:18発

↓ 3630E 山手線~東北本線~高崎線
  特別快速 湘南新宿ライン

15:00着
高崎
15:08発

↓ 143M 信越本線

15:41着
横川 ※ウォーキングトレイル、峠の湯
19:50発

↓ 164M 信越本線

20:09着
安中 ※ホテル宿泊







夜勤明け、ふと横川へ行こうと思い立つ。
2月から利用できる再販される「ツーデーパス」まで
待ってもよいのだが、なんとなく今行きたいと思った。

乗り潰しという意味もあったが、
横川にある「碓氷峠鉄道文化むら」が気になっていた。
有楽町のいつもの店で昼ごはんを食べてから
新宿へ出る。湘南新宿ラインで高崎へ。

高崎からここでは活躍している湘南色で、横川に向かう。
ボックスシートとロングシートが混在するセミクロスは
乗っているとどこかほっとする。ちょっとした旅の気分になる。
30分ほどで終点の横川。しかしかつては「碓氷峠」と呼ばれる
難所を越えるために重連の電気機関車が旅客列車のシェルパ
(=補助機関車の意)として、最大勾配66.7パーミルの線路が
軽井沢から先へと続いていたのだ。

まったくその痕跡はなくなったのかと思ったが、
改札を出て、かつて軽井沢方面へと発車した側のホームには
柵が設けられているものの、黄色い展示ブロックと線路が残る。




横川に来たからにはまずは名物の「峠の釜めし」を食べよう。
軽井沢へ走る普通列車が今もあったなら、駅弁ととして買い、
ゆっくりと登っていく列車の中で、釜めしの蓋を開けて
車窓を楽しんだに違いない。だがそれは叶わぬ過去の話。
溝の蓋として人々とクルマに時折踏まれながらも横川駅まで
第二の人生を送っているかつてのラックレールに一瞥してから
店に入る。メニューは「峠の釜めし」を先頭にそばやうどんも
提供している。迷うことなく「峠の釜めし」と瓶ビール。

瓶ビールを傾けている間にも峠の釜めしだけを買いに
クルマで乗り付けてくる客が何人か扉を開ける。

店員である話好きの女性に尋ねてみると、
鉄道文化むらは16時半で閉園するとのこと。
時計は16時過ぎ。今からではもう遅い。
来店客には渡しているらしい鉄道文化むらと峠の湯で
使える割引券に「峠の湯」が簡単な地図に載っている。
ここから廃線になった信越本線に沿ってつくられた遊歩道を
歩いて30分ほどかかるそうだ。ならば、かつての信越本線を
観察しながら、峠の湯で汗を流すのはよさそうだ。

鉄道文化むらを左手に、「ウォーキング・トレイル」の看板が
どうやら遊歩道のようだ。そのまま歩いていくと柵に仕切られて
すぐ隣に線路。架線柱も架線も途中から当時のまま、
その姿を残しているようだ。複線だった片側をコンクリートで
埋め、2本のレールだげが覗く形でずっと続いている。

鉄道文化むらに保存されている当時活躍した電気機関車や
特急列車を左手に見た後、周囲は急に切り通しのようになる。
途中ホームがあるが、これは鉄道文化むらがアトラクションで
運転しているトロッコ列車のために作られた駅らしい。
「まるやま」とひらがなで書かれた白い駅名標があるが、
右手にはその名のとおり、かつての列車が通過する様を
見守ってきた旧丸山変電所の重厚なレンガ造りの建物が
残されている。国の指定重要文化財になっているが、
廃墟然となっていた建物を修復されたものである。

さらに線路は続く。何も知らなければ、遊歩道さえなければ
今にも列車がうなりとともに通過しそうな気がする。

周囲はもうすぐ暗くなりつつある。
そのまましばらく歩いていくと、ずいぶんと高いところを
自動車が走る高架橋の下を潜る。
さらにしばらく歩いていくと左手奥に温泉施設らしい建物が
見えてくる。線路はさらに続いているが、残念ながら
遊歩道はここで温泉施設のほうへ分かれてしまう。
列車が一切走らなくなった線路の片側、上り列車側の線路は
すっかりと高い丈の草で覆われてしまっている。

峠の湯で汗を流し、冷えた身体を暖める。
今日は近くに泊まることにしよう。
明日改めて鉄道文化むらとこの旧信越本線を散策したいからだ。

フロントに聞くと、横川駅前にあるという「東京館」を教えてもらう。

再び、先ほど歩いてきた旧信越本線を歩いていく。
あたりは暗いので、木々の中で何か物音がすると少し怖い。
無事に横川駅まで戻り、「東京館」の看板の明かりを見つけ
入り口の引き戸から中を覗くが、帳場はもうやっていないようだ。

携帯電話も横川駅に着いてから、電池切れになってしまい
うっかりと予備の電池を持ってきていなかったため、
駅前の公衆電話から峠の湯でもらったパンフレットに書かれた
これはと思うホテルの電話番号にかけてみた。
1件目はクレジットカード払いは受け付けていないとのことでパス。
2件目は安中から少々離れているが、クレジットカードOKという
ことで予約をする。安中からタクシーでワンメーターほどらしい。

ホームで列車が来るのをしばし待つ。
横川へ向かうときに乗った湘南色を期待したが、残念ながら
白い107系。嫌いなデザインではないが、少しがっかりする。
安中で下車。駅前にあった地図では、予約したホテルの場所は
わからなかった。迷って歩き回るよりは経済発展に貢献するべく
待っているタクシーに乗り込む。

タクシーの運転士曰く、同じ群馬県でも山を隔てて水上方面とは
違って、雪はそれほど降らないという。降っても3cmとかで路面が
凍結し、クルマの運転には神経を使うそうだ。
雪が降らないという話は、先ほど食べた峠の釜めしの店員の
おばさんからも聞いた。山の向こう、軽井沢と違って横川は
降らないと。どうやら聳える山が気候の壁になっているらしい。

タクシーは途中から大きな道路を少々走る。7~8分ほどで到着。
電話で伝えられたとおり、帳場には部屋の鍵が置いてある。
宿泊者名簿に書いている間にも奥から人の話し声が聞こえる。
邪魔するようで声をかけるのが少々申し訳ない気がしたが
何とか声をかけ、奥からおばさんが出てきた。
カードで宿泊料金を前払いを済ませ、部屋に荷物を置いてから
再びホテルの外に出る。
さきほどのおばさん曰く、この時間ではやっている店はなさそう。
備え付けの地図にはラーメンの文字があるが、やっているだろうか。

淡い期待を持ちながらも大きな道路沿いを安中駅に向かって歩く。
左手に信越本線の線路が見える。今は運転されていないが、
かつてはここにも軽井沢やその先の長野、直江津方面に
特急列車が走っていたことを想像する。今は時折、2両編成の
普通列車が往復するだけの寂しい路線になってしまったが、
長野新幹線が開通してからも、細々とローカル輸送として
残っているだけでもよい方だろうか。JR時刻表の索引地図では
同じように大前までの盲腸線になっている吾妻線は地方交通線を
示す青い太線だが、信越本線は横川まで運転する需要がある、
ということだろう。それなら横川~軽井沢も廃線にすることは
ないだろうにとは思うが、急勾配を乗り越えるための特別な設備
車両のコストを考えると、どうしても維持は難しいのかもしれない。

どうも鉄道関連のニッキを書いていると、推測(あるいは妄想)
ばかりを述べる癖があるようで、文章が「かもしれない」「だろう」で
終わることが多い。これは「かもしれない」症候群と名づけたい。

淡い期待は裏切られた。すでに店仕舞いをしていた。
そのまま通り過ぎ、周辺をぐるっと歩いてみたが、ラーメン屋は
見つからなかった。結局牛丼「すき家」で夕御飯。
数人客がいるだけか、広々とした店内は少々寂しい気分だ。
瓶ビールで酔いながら、自分の今宵の宿へ歩いていく。

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