2012年1月3日火曜日

つくもノヲ”X="1≠ 616































去年の8月に5年ばかり務めた監視の仕事を辞めた。
アラーム監視用の端末がずらっと机に並んで、年中無休で座ったまま
画面を睨んでいた。シフト交代だからもちろん夜勤もあった。

当初は気にならなかった体力も、夜勤が少しずつ辛く感じてきた。
一晩寝なくても大丈夫だったのが、少し眠らないとダメになった。
ウォーキングで体力の自信はあったつもりだったが、
体力は気づかぬうちに衰えてきていたようだ。

7月末、仕事を無断欠勤してそのまま列車で仙台へ。
北海道まで行って、とある秘境駅で自殺するつもりだったのだ。

仙台へ向かう途中、見るのは最初で最後のつもりで久ノ浜へ向かった。
震災で人が少ないだろうから、死に場所となる空き家に潜もうと
駅前周辺を歩いたが、人の気配があった。考えが甘かった。
ここでは死ぬのはよそうと思った。

でも自宅に引き返すつもりはなく、仙台で一泊。
ホテルで死のうと首を吊ってみたが、死ねずに翌朝を迎えた。

列車で北海道へ向かう。乗るのも最初で最後のつもりで八戸から
開業したばかりの新幹線で新青森へ。函館で一泊。
ホテルで死のうと首を吊ってみたが、死ねずに翌朝を迎えた。

小幌へ向かう。死に場所と決めていた秘境駅だ。
函館から上手い具合に普通列車がない。特急列車で洞爺まで。
洞爺から引き返す形で普通列車で小幌へ向かう。

洞爺で小幌へ向かう普通列車が来るまで少々待ちぼうけ。
駅前から歩いて海へ出る。青い空、強い日差し、そして広い海。
砂浜のベンチで横になると、少し居眠りをしてしまった。

普通列車が来る頃を見計らって駅へ戻る。
すでにホームに待っていた。この列車でようやく小幌に降りたつ。
案の定、誰もいない。死ぬなら絶好の場所である。

海へ向かっているはずの小径は生えている草の丈が高くなって
知らなければその先に行けるとは思えないだろう。
何とかかき分けて海の見える途中のベンチまで来た。
海へ降りようと前回と同じように試みたが、やはり無理である。
どうやら岩屋観音堂へ続くもう一つの道でないと海にいけないらしい。

途中のベンチでそばの木の枝にスボンのベルトを輪にして掛ける。
そこへ首を吊って徐々に体重をかける。しばらくそのままで居ると
急に立ち上がった時に感じる眩暈の感覚が妙に気持ちいいが、
その気持ち良さも束の間、息苦しいのが勝って吊るのをやめてしまう。

以前のニッキで書いた通り、何度も試みて死ぬ事はできなかった。
そのまま小幌から長万部へ。長万部から小樽経由の最終である札幌行き
に乗り込むと、途中の小幌から急に混み始めた。
小樽あたりで祭りがあったのだろう、ボックス席は浴衣姿のカップルが
相席となり、楽しそうな雰囲気が神経に触る。

終点札幌まで非常に長く感じたが、札幌で一泊。
ホテルで死のうと首を吊ってみたが、死ねずに翌朝を迎えた。
そしてもう死ぬのは諦めて、札幌駅の鉄道警察隊から家族に連絡を
いれてもらい、迎えに来た父とともに飛行機で帰った。

強引に退職し、今は小田急沿線の大手メーカーの工場で
派遣社員として働いている。前職よりも通勤時間が短く、
夜勤のない福利厚生がある条件で見つけたのが今の仕事だ。
手取りは前職よりも5万ばかり下がったが、夜は7時や8時くらいには
自然と眠くなり、健康的な生活になった。

土曜日の休日出勤がない限りは土日が必ず休みなので、
毎週末は可能な限り、近場をウォーキングすることにしている。
前職は相模大野方面だったので、自然と新宿方面へウォーキング
する事が多かったが、その方面への小田急線の定期はないので、
これも自然と箱根方面へとウォーキングすることにしたのだ。

小田原方面へ歩くと、国道255号線は途中で県道72号線が分岐し、
72号線を南下すると国府津へたどり着く。
秦野方面へ歩くと、国道246号線から分岐する県道71号線を南下すると
二宮駅へたどり着く。

今の職場へ向かう道も歩いてみると、歩いた事のある小田原方面や
秦野方面でも、気づかなかった風景に出会う事がある。

国府津へ合流する直前で御殿場線は高架になっている事や、
富士山のイメージが強いためか、山あいの路線を走るのだと思ったら
国府津付近では東急のこどもの国線のような田んぼをひた走るのだと
発見したりする。思えば、御殿場線を国府津から昼間に乗った事が
なかったのだ。

小田急沿線でもベルトコンベヤーが幾つもむき出しの工場で
その大きな水溜りの水面が反射して逆さ富士ならぬ、逆さ小田急が
撮影出来る場所があったり、川崎の京浜工業地帯まで行かなくても
身近な場所でプチ工場萌えのスポットがあったりもする。

足柄大橋には足柄の昔のマスコット的なキャラである金太郎が欄干に
どっしりと鎮座し、手前を走る小田急線と奥の富士山が良い絵だ。
橋から見下ろすと川沿いを固めるコンクリート面には水玉模様に
円柱形が幾つも並んでいる。真横から眺めると不思議な絵。

職場の最寄り駅前の駐輪場も夜に訪れると、蛍光灯が横に並ぶ
光景が何ともフォトジェニックに感じた。

ウォーキングで折角小田原方面に歩いているので、近くを走る
大雄山線にも乗り潰しを兼ねて乗って見た。
和田河原から終点の小田原まで270円。小田急線より運賃は高い。
それでも車内は程々に乗客がおり、重要な生活の足になっている。
東急から譲り受けた3両編成が10分感覚で行ったり来たりしている。
面白いのは和田河原駅と五百羅漢駅の駅舎が一見するとマンションと
一体になっている事。調べるとこの2駅だけのようだ。

0 件のコメント: