2008年3月23日日曜日

つくもノヲ”X="1≠ 321


弟君に留年通知の白い紙が届いた。
大学4年への進級に必要な単位があと少し不足していた。

紙を見せてもらった。
「留年決定のお知らせ」とダイレクトなタイトルで諸手続きについて
簡単に数十行書かれているだけのものだった。

ほぼ毎日、それもマネージャーとして、ファストフードでバイトしていれば
単位取得は難しいだろうなとおぼろげながら思っていた。
しかし就職活動の時期も重なっているだけに、雰囲気でイライラしているのは
感じたから特にこちらから聞くこともしなかった。

大学で忙しいながらもファストフードでバイトしているストレスを
家に帰って、ゲームや外出でうまく発散できている。
部下に恵まれないとたまに愚痴をこぼしてくる事があったけど、
うまくこなしているようだ。彼なら大丈夫だ。私より精神的に強い。
もとより心配はない。

私の家出事件、弟君の留年決定、父の不倫未遂事件。
ここ数年はこれらのイベントを除けば、病気もせず、親戚の誰かが倒れることなく
奇跡的にも息災である。

今まで何も起きなかったのが、むしろおかしいくらいだ。
もちろん何もないに越したことはないが、これは人生における通過儀礼的なものと
して、ノイズみたいなものとしてあまり深く考えないことにした。
考えたところで状況が変わるわけではない。あとは前に進むしかない。

不安なのは、彼の留年よりも私の今後だ。
つまり自分のことで精一杯なのだ。今は契約社員という身で仕事をしている。
いつクビになるともわからない不安定な身分なのだ。
翼が無くなれば自由に旅行することも、これからどんどん年老いてくる両親への
経済的援助も、魔法の絨毯ではないがPASMOライフも満喫することも、
携帯電話も使えなくなる。場合によっては自宅のインターネット環境も棄てないと
いけなくなるだろう。
それまで維持してきた、満喫できた世界をいつ離れてもおかくしくない。

痴漢男に対する羨望は棄てることにしよう。
憧れながら、妄想しながらオナニーすることでもう十分だ。
周りの雑音が聞こえないほどにボリュームを大きめにして、
ウォークマンが流れる音楽を聞いている。この世界から逃げるように。

・・・・

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・・・結婚はあの****なんだ。!!
6月に挙式で今元メンバーでビデオレターを作っているの
お時間あれば是非とも一言お祝いの言葉を頂戴できないかなと思いまして!!
ちなみに4月までに撮りたい。いかがなもんでしょう?
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ついこの間、女性から返信があった。
そんなところだろうとはなんとなく予想できた。
彼が結婚しようが、しまいが実はそれほど関心がないのだけど
空気を読んでここは参加表明をしておこう。

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なんか直感です。彼ならいずれそうなるんだと思っていました。

おめでとう
そしてお幸せに

メールではなくて、****に直接言うべき事ですよね

4月中ならなんとか一言添えてあげられるかと思いますが・・・・
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****、カンすごっ!
4月だといつ頃が良いですかね?
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これがこの女性とのデートの約束だったらと少し妄想しながらも、
余計な一言も沿えて事務的に返信する。
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すいません
格好つけたかっただけ(汗)

でも最初の連絡来たときに誰かの結婚に関してかなというのはありました。

ありがとう
卒店から全くこちらから連絡すらしてないのに、呼んでもらって
お兄さん、義理でもうれ・・・(あ、いやなんでもないです。ひとりごと)

まだ4月の予定がわからんので、来週一杯まで待ってくんろ
わがままばかりで
もうね、あの・・・(汗)すんません・・・
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・・・・

中学のテニス部同窓会のハガキと同様に
まだ覚えてもらえているだけ、ましかもしれない。
珍しい読みの苗字と、デカイ黒子と、そして訳のわからないキャラのおかげか?

だがテニス部同窓会での、彼らの反応が今もトラウマになっている。

「なんで?あいつが来るんだ?」

苦笑交じりの痛い視線に耐えながら、その後はほぼやけ酒になって介抱されるほど
ベロンベロンに酔っ払った。いや、酔っ払ってやった。
ここに私の居場所はないとわかったからだ。

そのとき自宅まで介抱してくれたのが、ここ半年ほど月一ペースで飲んでいる
例の同級生である。
無理に同窓会に出たおかげで、失ったものと得たものがあった。

その後また同窓会のハガキが届いたが
もう義理みたいなものだと分かったから、出席しなかった。
それくらいの学習能力はあるつもりだ。
彼らもほっとしたことだろう。今後幾らハガキが届いても出るつもりはない。
ある意味で社会勉強になった気がした。

同窓会のハガキは元メンバー全員に届くわけだが、
それは年賀状なんかの「近くに寄ったときは遊びに来てください」と同じ類だ。
つまり建前だ。同窓会に出席していいのは、前から連絡を取り合っている
親しい人たちだけなのだ。前もって結論が出ている状態で望む会議のようなものだ。

あそこでいきなり出席した私はタイミング的にも空気的にも最悪だったわけだ。
そして痛い視線が向けられた。

今回の結婚式で使うと思われるビデオレターの件はそんなことはないと思うが、
バイトを離れてから暫くして誰とも連絡をしなくなって現在に至る。
誰かの結婚なんて、この女性からの連絡があるまで終ぞ知りえなかった。
誰も痛い視線は向けてこないと思う。内心思っていても顔には出すまい。
だがそれでも同窓会のトラウマがある。正直出向くのは不安なのだ。

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