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【北海道&東日本パスの旅 4日目】 6時間半の臨時列車の旅
水上
15:20発
↓ 9736 上越線〜高崎線〜武蔵野線〜中央本線
快速 EL&SLみなかみ
21:52着
甲府
JR東日本はまたとんでもない臨時列車を設定してくれた。
てっきり「ムーミン」の愛称で親しまれた今は亡き、EF55形が最終日に牽引して走行した
同じルート(正確には高崎〜上野はEF64形 1001、つまり茶色い電気機関車が牽引)である
上野〜横川だと思っていたが、 プレスリリースを良くみると・・・・・
◉夏の増発列車のお知らせ
http://www.jreast.co.jp/press/2011/20110609.pdf
!?
「甲府」 の文字が見える。誤植かと思ったが、いやはやJR時刻表にもきちんと掲載されていた。
出来れば明るい内に車窓からの景色を楽しみながら(本音は無駄に撮り鉄しながら)と思って、
甲府発は朝6時という、前夜に甲府に宿泊する積りで狙ったのだが、指定席券は入手出来ず。
同業諸氏は皆、考えている事は一緒ということだろう。馬鹿らしい。(私もだが)
そこで考えを変えて水上発を狙うと、当初は武蔵野線区間だけが満席だったが、
何度かMV(指定席券売機、みどりの窓口の歴史が長いのでこちらの行列が未だに長い)で頑張ると
奇跡的に空席わずかを示す「△」の表示。最初で最後のチャンスを逃すまいと無事に入手。
その後、試しに甲府発を狙ってみたが、状況は変わらず。水上発も満席となった。
私は博識数多の先輩諸氏の遠くに及ばない、ライトな鉄道好きだと思っている。
旅行先では乗る列車が早朝の発車という事がない限り、 起きるという事はないのだが、
列車の音がしたと思ったら、条件反射的に体が列車の見える窓に向かい、
上野へ戻る寝台特急「あけぼの」の通過に寝ぼけ眼で手を振っていた。
昨夜寝る前に時刻表で確認したのだが、だいたい早朝の4時過ぎのはずだ。
目覚まし時計では目が覚めなくても、本当に好きな列車の音なら目が覚めそうな体らしい。
発車メロディーが鳴る目覚まし時計は売っているが、列車の音がする目覚まし時計はないものか。
起きてその後の記憶が定かではないが、二度寝をして再び起きたのが9時過ぎだったと思う。
チェックアウト時間近くまで粘ったのは、外を出歩く事にしているからだ。
この暑さでは歩いている間にも日焼けしてしまいそうだ。
高崎までの間でこれからやって来る、 快速 EL&SLみなかみの走行風景と撮影を楽しもうと思い、
乗り込んだ高崎行の普通列車には明らかに普段は乗らない客をちらほらと見かける。
車窓から撮影地に良さそうな場所を探していたが、素人目で判断して敷島で下車。
ここへ来る途中に線路を跨ぐ橋が見えたので、そこから撮影出来れば良いかと思ったのだ。
敷島から水上方面へ歩くと登り坂になっている。途中の民家と民家の間に畑があったりして
開けた場所もあったが、土地に侵入していなくても立っているだけで不審者になってしまう。
もう少し歩いてみると、さっき列車から見かけた橋よりも低い車幅ギリギリの橋を発見。
水上方面に広がる入道雲を入れたアングルを考えたが、橋のすぐそばは残念ながらトンネル。
対して高崎方面は逆光でその上に車の通る高い橋が正直邪魔だと思ったが、臨時列車の先頭を
走ってくるはずのSLがその橋に差し掛かる前に撮影をすれば、何とか橋の影に邪魔されずに
撮影出来そうだ。 幸い同業者はおらず、来る気配もなさそうだ。
JR時刻表から推測した時刻ではもうすぐ通過するだろうという頃に一台の車が右側に見えた。
それまでしばらく橋の真ん中で待っていたが、車は一台も通る事は無かった。
人がいると通れない幅の橋をわざわざ地元の人間が車でやって来る事は余程の事が無ければ
なかろうと思う。おそらく同業者だろうが、幸い車はそのまま橋を通り過ぎて走り去った。
まだかまだかと思っていると、ようやく遠くからSLの汽笛が断続的に聞こえて来た。
これから通り過ぎます、という事をアピールするように。
汽笛は聞こえてくるが、中々姿が見えない。臨時の快速列車なのだが、普通列車よりも
ゆっくりしたスピードで 走って来ているのだろう。
汽笛の音が少しはっきりして来た。奥の左カーブからゆっくりと黒い姿が近づいて来た。
無事にシャッターを切る。ホッとする。そして手を振る。機関士も気づいて手を振ってくれた。
橋をくぐり、その後に続く6両の青い客車がトンネルに吸い込まれて行った。
敷島に戻る。次の普通列車が来るまで、向かいの商店でアイスクリームを購入して食べる。
敷島駅前と書かれた信号を見上げると、白く鮮やかに入道雲。私はここでナニシテイルノダロウ。
再び普通列車で水上へ戻る。
普段の利用客とは明らかに雰囲気の異なる客が多い。私もその一人だけれども。
水上に到着するとすでにSLは青い客車から切り離されて、奥の留置線に停車していた。
しばらくするとゆっくりと黒い体を転車台へと走り出した。水上ではすでに名物となり、
観光資源としての貫禄を感じる。
まだ時間が余る。それほど歩き回ったわけでなないが、汗をかいている。
温泉に入りたい。衝動的にタクシーに乗って、3月の震災時にお世話になった湯テルメに向かう。
10年前は温泉に浸かる良さなど理解できず、体を清潔する作業みたいなものと思っていたが
今なら分かる。感覚なのだ。心から浸かる気持ち良さが分かる。いつまでも浸かっていたい。
だが、苦労して手に入れた指定席券を無駄にしたくない。 時間ギリギリだったが、呼び出した
タクシーで駅に戻ると、発車の15分前である。
夕ご飯は臨時列車の中で済まそうと考えている。
今夜の宿泊地である甲府には22時前になるので、夕食は駅弁にしようと思ったのだ。
席は所々空いている。こうした臨時列車は毎度そうだが、3種類の人間がいる。
本当に乗りたい人。切符収集が目的の人。オークション等で転売目的の人。
なので実際も満席になるのは一般の観光客のニーズに合致した季節列車に限られる。
最初は渋川での出会い。
JRが発表するプレスリリースだけだと分からないが、JR時刻表を見ると良く分かる。
興味が無ければ別に面白くもない事だが、車両最後尾に乗務していた車掌に訊ねると、
吾妻線からやって来る観光向けに最近導入されたリゾートやまどりが同じホームで
並ぶという。水上を出てからしばらくしてこの地域特有の一時的なにわか雨がすでに降っている。
SLが最新のリゾート車両と並ぶ。そうそうある機会ではない。
車両展示会とは違い、営業運転で並ぶ光景は珍しいだろう。雨は強く降っている。
そして予想もしないところでシャッターチャンスは訪れた。
SLとリゾートやまどりが並んだ瞬間を狙ったように横殴りの強い雨が突然襲って来たのだ。
当然濡れまいと皆、列車を盾にするようにホームの中程へ避難するが、お陰で両方の車両が
撮影しやすくなった。当然私もびしょ濡れになったが、秘策はある。
先ほどの車両最後尾のデッキにしばらく居れば良い。客室内に比べると機器類の熱が発生するのか
少々暑いのだ。これならしばらくすれば乾いてくるだろう。
すっかりと衣服が乾いた所で、次は高崎でのイベント。
SLが切り離されて、ここから甲府まではEF64形のトップナンバーである、茶色いの電気機関車に
バトンタッチ。 「レトロ横濱」号の乗車以来、久しぶりである。
そして神保原。
ここで後続の特急列車を先に通すためにしばらく停車。撮影しようと先頭のEF64形に向かうと
何と湘南色の185系が並んで停車するという予想外。(調べれば分かる事だろうが)
このニッキを書くためにJR時刻表を確認してみたが、甲府発の臨時列車では湘南色の185系との
渋川での出会いを撮影出来る可能性があったが、リゾートやまどりは時間的は無理だったのだ。
結果オーライだが、明るい内の乗車を取るか、普段見れない車両の並びを取るか、
旅の計画でそれを選ぶ楽しみ(悩みか?)を提供してくれるのも時刻表ならではかもしれない。
ここから先は時刻表上では長時間停車する駅はない。
武蔵野線ではどこかの駅で長時間停車してほしい気持ちはあるが、線路の配線上無理な話だ。
武蔵野線でも究極の選択を迫られる。
2日間をフルに活用するなら、1日は全線乗車、もう1日には武蔵野線などのホームに待機して
撮影する事は可能だが、 他の路線乗り潰しも兼ねた旅なので、乗車しながらの撮影である。
新秋津の短い停車では、青い客車と駅名を一緒に撮影するなど無理だった。
北朝霞に停車すると、あとは地下トンネルを通って中央本線に合流。
すっかり夜の立川に停車する。武蔵野線の客車旅が目的の人が大半と思われ、八王子を出ると
車内はすっかりとまばらになってくる。一昔前の夜行列車を彷彿とさせる。
八王子では折戸のドア越しに停車中の横浜線の205系。
八王子から大月まで通過するが、実際は途中の相模湖で運転停車。
新宿行の特急スーパーあずさ号がものすごいスピードで通過していった。
甲府発ではそのイベントはない。おそらくそのまま通過したのだろう。
場所と夜とあって、ホームには同業者は見当たらず、お陰で車内はからじっくりと停車中の
青い客車を撮影する事が出来た。 大月の前に上野原(と思われるが、忘れた)のホームを出て
少し離れた場所で待機。本線から分岐した支線上で、後続の特急かいじ号を先行させる。
大月を出たら、あと40分ほどで長くて短い臨時列車の旅は終わってしまう。
八王子を出た辺りから、やたらに同じ顔ぶれが隣の車両からまた別の車両へ行ったり来たりで
忙しい。駅に停車中なら撮影に忙しいのはわかるのだが、走行中だったので妙に不自然である。
後々、某巨大掲示板の書込みなどからキセルが見つからないように検札から逃げていたようだ。
甲府では大勢の同業者が待っているかと思ったが、予想に反して数える程であった。
明るい内に済ませて、露出の厳しい夜は避けているのだろう。
115系の長野色が線路を挟んだ隣のホームには停車して茶色い電気機関車と並んだ。
明日は体力を一番使う行程なので、宿に入ったらすぐ眠る事にしよう。
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