2011年11月5日土曜日

つくもノヲ”X="1≠ 604












秩父鉄道に乗りに行ってみた。
これでまた、乗りつぶしノートにまた一本線が引ける。

一本引く線を増やす度にますます、人を避けてしまっている。
ひとり旅は旅程を自由に決められるメリットはあるけれど、旅先で知らない人に出会い、
少しでも長く一緒に過ごすような人との関わりが無ければ、単に孤独感に襲われるだけだ。

これでは日頃仕事で我慢している気持ちを晴らせてはいない。
単にたまたま鉄道を使った旅行に金を使っている「買い物依存性」と同じだ。
初めて北海道まで鉄道を使って旅行しようと考えた当時は自分で稼いだお金で一人旅が
出来る嬉しさに浮かれて、「買い物依存性」の始まりとは考える由もなかった。

鉄道オタクは孤独、という世間が持っている偏見を鵜呑みにしてしまい
鉄道趣味は一人で黙々と楽しむものだと思い込んでいた。

普段の仕事での人付き合いから解放されるために、趣味は誰に干渉されずに
一人で楽しみたいと公私にメリハリを付けているなら、構わないと思う。

でも私の場合、今までを振り返るとそうではない。
小学校、中学校はこちらが黙っていても向こうから友達になってくれる子がいたから、
友達づくりで悩む、ということはなかった。

しかし、高校生になるとそれまで一緒だった子も散り散りになり、一部の人を除いたら
自分の机の周りは知らない人たちばかり。周りは徐々にグループが出来ていくが、
それまで自分から話しかけるという事はしなかったから、日に日に友達が出来ない事に
焦ってくる。母親に相談するも、自分から積極的に声をかければいいのよ、と返されだけ。
その答えは当然といえば当然だが、人に話しかけるのも今以上に勇気のいるイベントだった。

結果的に2人ほど友達が出来たのだが、もう少し遅かったら登校拒否をしていたかもしれない。

高校を出てから何かしらの職業について早いうちから社会性を身につけた方が良かったのかなと
結果論で今更気づいても遅いのだが、母親の勧めるままに大学生になる。
両親としては、自分が満足に大学に行けなかったから、子供には大学まで進学させて十分な
教育を受けさせてあげたいという親心、その好意は理解しているつもりだ。
おかげで何とか今はまともな職業に就き、安定的な収入を得てクレジットカードを持てる
身分になった。ほんの少しばかりだが、家にもお金を入れる事も出来ている。

21世紀にタイムマシンはないから、昔に戻って過去の自分をやり直すという某映画のような
真似は出来ない。出来ない以上は前を向いて進むしかない。

今の仕事に就く前は、誰でも出来る単純作業の仕事を転々としていた。
大学の合格が誰よりも早く決まった高校3年生の時から、大学を卒業するまで4年ばかりは
マクドナルドのバーガー類を作る調理担当に従事していた。マニュアルにさえ従っていれば
余程ノロマでなければ、問題なく続けられた。もちろん、一緒の人たちが誰しも優しい人たち
ばかりではなかった。人よりは動きの遅い私に対して怒る人もいた。見下す人もいた。
一時は辞めようと心に思ったけれど、それでもずっと続けてこれた。

何でだろう、と自宅の自分の部屋を改めて見渡すと、目の前に鎮座しているデスクトップ。
ヒューレット・パッカードのその角が丸い特徴的なデザインに惹かれて、大学生だったときに
購入したものだ。ディスプレイは今は中古でしか見かけない、テレビでいえばブラウン管の
ように背中が出っ張っている奴で、持ち上げるのも一苦労する。
プリンターを含めた一式で20万円。今ならその半額くらいで買えるスペックだろう。
今なら貯めるのにそれほど時間はかからないけれど、時給700円ちょっとのバイトの身では
貯めるのも私の中では一大プロジェクトだった。

もう一つ理由がある。親に言われる前に理由もなく働きたいという気持ちがあった。
もしかしたら親に言われたから、かもしれないけれど、働けるなら稼いだ金を学費に充てて
少しでも親に還元したいという気持ちがあったように思う。学費の3分の1位しか出す事は
できなかったけれども。

大学卒業が日に日に近づくにつれ、やはりこのままバイトを続ける訳には行かない。
そう頭では理解していても、中々行動に移せずにズルズルと卒業式を迎えてしまう。
卒業後の進路が決まっていないから、親は当然心配する。親にケツを叩かれてようやく
ノロノロと就職活動を始める始末。その頃には少ない友達の一人は地元で就職先が決まったと
返ってきた年賀状には書いてあったが、気持ちは焦るばかりでやる気が起きない。

卒業する直前まで同じところでバイトは続けていたが、大学の単位取得を優先するために、
当初よりはバイトに入る時間も減らしていたから、貯金もほとんどない。
そんな状況だから、活動中の交通費にもほとほと困ってしまった。困ったならいつもそばにいる
親に相談すれば良かったのだが、親に迷惑をかけたくないという気持ちがあったのかもしれない。
一人でどうにかしようと変に頑張ってしまう性格故かもしれない。

交通費を浮かすために海老名から横浜まで6時間かけてスーツ姿で歩くなんて
こんな馬鹿な事をした人はそれほど多くないだろう。
非効率でやる気のない就職活動では当然内定など貰えるところはなく、そこで挫折。
親から貰ったお年玉でまだ雪の残る青木ヶ原樹海まで行き、そこで自殺しようと考えたが、
いざ樹海を目の前にして恐れをなして引き返してしまった。死ぬのが怖かった。

だが無収入で過ごす訳にも行かず、重い気持ちのままハローワークで仕事を探す。
人と関わる事が苦手だったから、なるべく人と折衝する事がないような簡単な仕事を選び、
請求書のハガキなどを大量印刷する事を主にに請け負う企業でプリンターオペレーションとして
バイトとして働く事にしたが、マクドナルド時代と違って目標がなかったから、人に怒られた
だけでビクついて、短期間で自分から辞めてしまった。

バイト以上の収入源は欲しいと思い、派遣会社に登録して地元の自動車工場で不良品検査の
スタッフとして8ヶ月ばかり従事した。初めは説明を受けた通りの拘束時間だったが、工場の
生産状況によって拘束時間も最終的に12時間となり、工場内で一緒に働く正社員の人たちは皆
親切で食事に誘ってくれた事もあったのだが、手取りこそは今の仕事よりはよかったものの
毎日同じ作業の繰り返しであり、このままでは心身ともに駄目になってしまうと本能的に感じ
次の就職先が決まったと嘘をついて辞める事にした。

工場スタッフも派遣で手取りは良くてもいつクビになるかわからない。
親に嘘をつく訳には行かないから、働きだしてしばらくしてからその事を伝えていたが、
ずっと続けられないだろうと当然ながら心配されて、ケツを叩かれて再び就職活動を開始。
活動した結果として今就いている仕事を得たのだが、もし決まらなかったらどうしようかと
休憩中も悩んでいた。恐らく今でも昔風にプー太郎、今ならニートに成り下がっていただろう。

今の仕事も選んだ基準は、自分の好きな事をそのまま活かせそうな事に加え、今までも
考えていたようにそれほど人と関わらずに対両親には胸を張って働けそうだと思ったからだ。

今は大した事はないと思える事も初めての事だらけだった。
まずメールと電話対応は戸惑った。専用のICカードで入る狭い部屋には端末がいくつか並んで、
法人向けのメールなり、ショッピングサイトなどのサービスで異常を検知したら手順や指示に
従って誰かに連絡する事と付帯作業、という外から見たら難しくないと思える業務だが、
マクドナルド時代に経験したマニュアル対応は同じでも、負う責任は全く違う。

アルバイトは何か失敗しても次回から気をつけようで終わり。ミスに対する責任はないからだ。
でも契約社員だと話は違う。一定期間だけであっても社員として働く以上は所属する社内規律に
従わなくてはならない。私の属する会社はまだ新参の派遣会社なのだが、契約している委託先が
いくつもある。その人のスキルを会社の判断で、適切な委託先に派遣される。

私を含めて、同じ委託先の現場で働く人たちは会社とは契約社員として契約しているが、
委託先に派遣される際の契約として「派遣」、「請負」の2種類に別れる。
どちらも委託先の指示に従事する点は一緒だが、その指示を直接受ける「派遣」と
所属する会社を通して間接的に指示を受ける「請負」という違いがある。

何か対応ミスをした際、クレームを貰った場合「派遣」なら直接その責任を負う事になり、
「請負」のように会社が間に入っているのとは違って、場合によってはすぐにその現場から
撤退となる場合もあり、「請負」よりは負う責任は重いのである。
「請負」なら何も責任はないかといえばそんなことはなく、すぐに現場を追われることは
そうそうないにしても、原因、再発防止策を考えて報告することは求められる。

それ以外にも業務でわからない事、イレギュラーが発生すれば、相談や報告するという
基本的なビジネススキルは求められる。このスキルは何もビジネススキルという特別な
ものではなくて、どんな仕事でもプライベートでも自分一人で考えて、どうしたら良いか
迷ったなら誰かに周りに助けを求めれば済むだけの話だ。

実は最近家出事件を起こしてしまった。
今回が初めてではない、今の仕事に就いてから母親に言われるまで気づかなかったが、
2年周期で今回で4回目。過去3回ともそれで失職せずに済んだのは、「派遣」ではなく
「請負」として会社に守られている事、自惚れかもしれないけれど一応の戦力として
今後も成長する事を期待されていたのだろうと考えている。

3回目まで大目に見てくれるとかそういう事ではなく、過去3回は都度気を付けます、で
済ませていたが、今回はそうも行かないだろう。

0 件のコメント: