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【青春18きっぷの旅 4日目】 日南線、そして高難度の普通列車
宮崎
6:51発
↓ 1927D 日豊本線~日南線
8:12着
油津
8:48発
↓ 1931D 日南線
10:06着
志布志
11:45発
↓ 1940D 日南線
14:12着
南宮崎
14:20発
↓ 739M 日南線~宮崎空港線
14:27着
宮崎空港
14:33発
↓ 738M 宮崎空港線~日南線~日豊本線
16:29着
延岡
16:47発
↓ 2762D 日豊本線
17:58着
佐伯
17:59発
↓ 4654M 日豊本線
19:24着
大分
19:43発
↓ 3056M 日豊本線
特急 ソニック56号
21:10着
小倉 ※宿泊
今回の行程では、乗車する難易度の高い乗車区間が存在する。
日豊本線の佐伯~延岡は普通列車が上り下りともに一日たったの3本しかない。
上越線の水上~越後中里の5本よりも少ない。ただ上越線は冬季にスキー客輸送のために
臨時列車が追加で運転されるので、冬であればそれほど難易度は高くない。
裏を返せば、この難易度の高い区間が無ければ、日南線という長い盲腸線を乗り潰そう
とは計画しなかったに違いない。ダイヤはこれを意図して組まれたわけではないはずだが、
宮崎を早朝に出る列車に乗れば、日南線を往復してさらにもうひとつの短い盲腸線である
宮崎空港線を往復し、延岡からは一日3本の中では最終の普通列車に乗り継ぐ事が出来る。
昨夜の卑猥な街の賑わいは嘘のように静まり返った早朝のスナックやクラブが並ぶ通りを
20分ばかり駅に向かって歩く。やがて商店街の屋根を抜ければ駅は近い。
普段の通勤ならただ寒いだけの朝のはじまりだが、旅行の時は何だかワクワクする。
2両編成の気動車は始発からすでにボックスシートが埋まっているが、学生の姿はない。
よく見れば混じっているかもしれないが、通勤客が多くを占めているようだ。
宮崎を出て高架を走って南宮崎を出ると、住宅の裏庭を走るような風景になる。
日南線に入ると、左手から朝日がもうすぐ顔を出しそうである。
田吉で「NICHINAN LINE」と大きくペイントされた黄色い列車とすれ違い。
すれ違いの列車には学生さんが何人か乗り込んでいるのが見えたので、この沿線から
宮崎へ向かう学生さんが大半を占めているのかもしれない。
それまでの住宅の密度はぐっと低くなり、畑やビニールハウスが主役になるが
駅周辺だけはマンションや家が並ぶ。
運動公園。左手はヤシの木が夜明けの逆光で黒い影ように何本か立っている。
乗客に増減はない。子供の国。某電鉄だけでなく、こちらにもありました。
青島で朝日が顔をだし、早速今日一日の始まりを告げて来た。今日は晴れるようだ。
内海で列車交換を済ますと、日の出と南国の海が左手から眩しくなる。
日南線は早朝に乗るに限るか。海が広がると何となく車内の空気も緩む気がしてくる。
伊比井でも列車交換。保守作業員と思われる中年男性2人がおりていった。
お互いの列車は同じ乗車率と見えた。長いトンネル区間で早朝故に睡魔が襲って来る。
北郷でようやく学生さんが数人乗り込んで来た。
飫肥。おび、とはそうそう読めない駅名。降りたのも学生さんだけだった。
学生さんを除いて大半の客は日南だったようで、日南で急激に客が減っていった。
丁度通勤時間帯だが、油津のホームに停車したら車内は私のような観光客を数人だけになる。
降りていく客の中に作業着姿の女の子がいたが、どうやら日南農業高校の子らしい。
構内踏切を渡ったところにあったプランターに写真が添えられていた。
次の列車まで20分あるが、じっとしていると寒いので駅舎の待合室に退避する。
志布志行きの列車が動き出すと、しばらくは左手の海が目を楽しませてくれる。
南郷からは少し内陸に入るために海が見えなくなり、ここであえて眠っておく。
眠かったのはもちろんだが、帰りの列車でも十分景色を楽しめると思ったからだ。
一筆書きのような乗りつぶしを計画する場合、盲腸線なら必ず往復する事になるので
今回のように早朝からの行程ならこの居眠り作戦が有効だ。乗り鉄なら居眠りするな、と
怒られそうだが、どうしても寝てしまった時の救済策でもあるのだ。
次に目が覚めた時は終点、志布志だった。
かつては志布志から先を都城を結ぶ志布志線と隼人のひとつ都城寄りである国分まで
結んでいた大隈線が今はなく、改札からそのまま真っ直ぐ伸びた道路がかつて伸びていた
線路だったかもしれない。地図で見ると道になり進んで途中の川を渡る橋があり、
さらに進むと途切れてしまっているような箇所もある。
肥薩線からそのまま大隈線経由で志布志線へという楽しみ方は出来なくなってしまい
趣味から見たら寂しい限りだが、駅前も寂しい。折り返しの列車はそれほど時間を
おかずに発車する事が多いが、たまに時間が空く時もある。
駅舎には小さいながらも観光案内所が設けられていて、若い女性が常駐している。
目を覚ますために近くに温泉はないかと尋ねると、自転車で10分ぐらいのところに
安楽温泉があるという。無料でレンタサイクルをやっていたのでこれを有効活用しよう。
タクシー運転手は暇そうだ。レンタルサイクルが無ければ使うところだが、
この時期だけでなく、利用する客はいるのだろうか。
駅前の道を右へ曲がり、すぐの交差点から国道229号線をひたすら走るだけなのだが、
地図で確認したつもりなのだが、何時の間にか目的の銭湯を通り過ぎてしまったようだ。
タオル、石鹸、シャンプー込みで700円ほど。
地元の人たちが和気あいあいとおしゃべりをしている。コミュニケーションスペースという
役目を担っていたという銭湯に旅行以外では行く機会が全くない。家にも風呂があるだろうが
やはり親しい誰かとそばにいる銭湯の方が日常にメリハリが出るに違いない。
湯上がりのコーヒー牛乳、瓶で飲むスタイルはまだ健在だ。
数は減っているかもしれないが、昔からの銭湯であれば売っていることが多い。
駅弁代わりに途中のコンビニで弁当を購入し、駅に戻ると発車5分前だった。
乗り込んだのは私で最後かと思ったが、もう一人女の子が乗って来た。
渋谷などで多く見かけそうなお嬢様タイプだが、お嬢様、これはかぼちゃの馬車では
ありません。私のような不細工な野郎も乗っております。と何故か心の中で呟いた。
福島高松。何だか面白い駅名だが、誰も乗ってはこない。
福島今町と串間では学生さんが少々乗って来た。油津あたりで一気に乗って来るのだろうか。
地図では海沿いを走っている日南線だが、海の見える区間はそれほど多くない。
南郷ではおばあちゃん3人が降りる代わりに学生さんが3人乗り込んで来る。
日南線は指宿枕崎線同様に生活路線の色が濃く、秘境駅はない。
一番の景勝区間は油津~大堂津の海沿いだろう。
油津で客が総入れ替えとなり、地元の空気がより濃く充満してくる。
飫肥でも幾人からの地元民。北郷で再びまとまった乗降があり、おじいさんやおばあさん方の
おしゃべりで賑やかだった車内は急に静かになった。
ここで普通列車との交換で3分停車。そこまでは覚えていたが、いつまにか落ちていた・・・。
田吉では宮崎空港行きに乗り換えるつもりで降りてしまった様子の中年男性が2人。
尋ねられた車掌が何処かに連絡するところを見ると、これから乗る列車に乗ってくるだろう。
終点の南宮崎から宮崎空港行きに乗る。宮崎空港には用はない。せっかくだから降りて
新千歳空港の時のように散策したいところだが、そんな時間はない。
やはり田吉で先ほどの男性達が乗って来た。
今乗って来た太陽が派手なデザインの赤い気動車で、延岡を目指す事にになる。
同じ日豊本線でもこちらはクロスシート車両。しばらくは無粋な銀色車両のロングシートから
開放されるので、旅気分が盛り上がって来る。
車内アナウンスで宮崎空港~宮崎は特急列車でも普通運賃だけで乗車でき旨が流れ、
青春18きっぷでも乗れる事を忘れていた。宮崎まで特急列車で先行しても、宮崎で
銀色の列車に乗り換えることになり、それなら延岡まで乗り換えなしでクロスシートの方が
一番最適な選択だろう。
予想した通り、宮崎でかなりの客が乗り込み、昨夜の銀色列車と同様の混雑となる。
派手な赤い気動車は沿線を歩く保母さんや子供達、散歩中の人の目を引いている。
高校生や中学生が多い所は学校帰りのピークなのだろう。
宮崎神宮。神社をイメージしてか、駅の柱が派手に赤い。特急列車に「にちりん」の全身赤い
塗装と合わせたかのようで、この列車専用のホームに見えなくもない。
佐土原。九州の北海道的な罠を誘う読みの駅名であろう。原を「ばる」とは読まない。
北海道なら知内の「内」を「ない」とは読まないのと同じように。
ホームにヤシの木。思い切って柱をすべてヤシの木にするとどうだろう。
もっと南国の感じとインパクトが出るかもしれない。
列車の待ち合わせには何となく長いと思ったら、すれ違う特急列車が遅れているとのこと。
派手なビビットカラーの特急列車が入線して来てホームに停車。ドアが開くのを見送ると
こちらが先に発車する。次の日向新富まで遅れを取り戻すように飛ばしている。
高鍋。6分休憩。ドアが開くと先ほどの停車時間で吸おうと思ったのだろうか、金髪のスーツな
お兄さんがホームの喫煙スペースに駆けていき、旨そうにタバコを咥えている。
寝台特急なら喫煙ブースで一晩中吸っているのかもしれない。
高鍋を出ると右手に海が視界に広がってくる。昨日これだけ晴れていれば、桜島も開聞岳も
よく見えたことだろう。仕方ないが、何とも悔やまれる。
さてここから記憶だけを頼りに書くことになる。明日岩国駅でメモ帳と突然のお別れを
告げることになったからだ。つまり、徳山止まりの列車を降りる際に座席に起き忘れたのだ。
都農を出てしばらくすると奇妙な光景が見えてくる。
廃線となったのか、コンクリートの高架橋上に一定の角度に傾いた板がいくつも規則的に
並んでいる。おそらくソーラーパネルだろう。JRは太陽光発電を始めているのか。
後で調べたら廃線となったのはリニア実験線で、今後の実験で必要な環境が伴わないとして
他の実験線に座を譲り、廃線となった高架橋を国際航業グループという聞き慣れないところが
宮崎との協定で一般電気事業者以外のメガソーラーパネルを目指す第一歩として、
都農第一発電所として2010年4月から稼働開始したものらしい。つまり、まだ稼働してから
半年ばかり経ったところだったようだ。
東都農まで元リニア実験線の高架橋は続いていたが、ソーラーパネルは途中で途切れていた。
また関連サイトではパネルではなく、専門用語なのか「アレイ」と呼ぶらしい。
赤い列車に揺られると、土々呂。某アニメのキャラクターは残念ながら見かけなかった(笑)
延岡には定刻着。ここから今日最後のハイライト。一日3本の最終気動車に乗り換えとなる。
ホームの洗面台はかつて蒸気機関車の頃に活躍していたが、今は観光客の目を楽しませる
プランターになり、3つ並んだ洗面台には小さな花が咲き、赤い列車が映える。
九州は列車もホームにも遊び心があるのに感心する。
延岡では改札を出て、駅舎を撮影するぐらいの時間しかない。
やって来た列車は赤い列車だが、先ほどの乗って来た列車から見えた車庫にあった列車だ。
延岡~佐伯と短区間の往復3本のためだけに製造されたものではないだろうが、
先ほどの赤い列車には比べると内装にも気合いが入っているこの気動車にはずっと乗っていたい。
せめて大分まで走って欲しい気分である。
気合いの赤い気動車は1両、ちょこんと長すぎるホームに入線して来た。
かなり混むのかと思ったが、私を入れてもほとんど客がいないままホームを離れて行く。
この列車の終点、佐伯に着く頃には車窓からの写真を取ることもままならないだろう。
短区間といっても乗り鉄という趣味からの視点であって、普段利用する者にとっては
60kmに及ぶ距離はうんざりするに違いない。私が毎日小田急乗るのと同じように。
客がほとんどいないので、撮影にはほとんど気を遣わなくてありがたい限りだ。
市棚で赤い特急列車とすれ違い。
後方展望をしばらく楽しんでいたら、宗太郎のホーム端にカメラマンが立っている。
延岡寄りからこちらに三脚を立ててデジカメのレンズを向けていた。10代の男の子だろうか。
発車してから手を降ると、向こうも振り返してくれた。
佐伯。定刻着。赤い気動車はもちろん大分までは走ることはなかった。
先ほどの赤い気動車の運転士に尋ねた通り、向かいには例の銀色列車が待っていた。
デザインは良いのだが、長くは乗りたくない車両である。
発車してからしばらく手近の空いている席に座る。
リュックを膝に載せると痺れて来るので足元に置いていたのがいけないのか、ヒーターの
熱が当たって火傷するのでは思うくらいに熱くなってくる。試しにリュックを膝に載せて
しばらく座っていたが、どうにも改善しない。
途中の駅から向かいの席に某掲示板の呼ぶところの若いDQN男性達が座って来た。
が、真ん中の彼は彼らの弄られキャラらしく、視線に困るのは必至なのは分かったので
席を立って近くの窓際に移動することにした。席に座っても本当に火傷するかもしれないので
終点大分まで座るのは諦めることにした。
経験上、予想した通りにDQN達は周りの反応を求めるように騒ぐわけだが、
誰も相手にはしない。それが一番の対処だと皆が暗黙の了解としているからだ。
そしてすぐの駅には降りない。暇つぶしの一部として列車には乗っていることが多いからだ。
バイクや車の燃料が無ければ、列車に乗るだけのことだ。おそらく大分まで一緒だろう。
旅を通して多くの人を通りすがりに見てはきたが、こうした人種にはまだ慣れない。
若い人たちほど今でもちょっと緊張してしまう。
この銀色列車に乗り換える前にはすっかりと夜になっており、窓から覗いても闇を睨むだけ。
先ほどの赤い気動車だったら、どれだけ乗っても苦には感じない距離に違いない。
そして大分。予定通りに普通列車で行くなら今回の宿泊地、小倉には到着が23時前。
明日の行程を考えると、寝る時間がもう少し欲しい。特急列車に乗ることに変更した。
19:43発の特急「ソニック56号」は白いソニックと呼ばれる車両である。
写真や某シミュレーションゲームでは見たことがあるのだが、実車に初めて乗ることになった。
内装も特急列車にはしては奇抜な内装で少々驚く。写真などで知っているつもりではあったが
実車を見ると違う。乗って見ないと分からないことはやはりあるものだ。
ついつい、iPhoneのカメラを向けてしまうのだ。
乗車前に夕ご飯とするために買った駅弁の蓋を開ける。
特急列車で食べる駅弁はやはり旨い。内装がゆったしているのも手伝って、何だかグリーン車に
乗っているような優雅な気分でもある。かなり前に普通列車で乗り通した時も同じく夜だったが
ボックスシートのある白地に青帯の列車だったが、結構長い時間を乗っていると感じた。
特急列車だと1時間半だから実際かなり早い。だから寝ているとうっかり博多まで行きそうだ。
当然だが、普通列車に比べたらあまり揺れない。
小倉に着いたら、後は明日に備えて寝ることにしよう。
ホテルから見えたスペースワールドの観覧車のネオンは22:45には消えたのを見送って。
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