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【青春18きっぷの旅 1日目】 妖怪列車に妖怪は乗らない
小田原
0:31発
↓ 9391M 東海道本線
快速 ムーンライトながら
5:55着
大垣
6:00発
↓ 203F 東海道本線
6:33着
米原
6:54発
↓ 3415M 東海道本線
新快速
7:53着
京都
8:05発
↓ 2203M 山陰本線
(園部から1125M)
快速
9:59着
福知山
10:10発
↓ 429M 山陰本線
リレー号
11:31着
城崎温泉
11:51発
↓ 171D 山陰本線
12:59着
浜坂
13:12発
↓ 533D 山陰本線
13:57着
鳥取
14:42発
↓ 249D 山陰本線
17:32着
米子
18:02発
↓ 1661D 境線
18:46着
境港
19:50発
↓ 1666D 境線
20:37着
米子
20:48発
↓ 149D 山陰本線
21:20着
松江 ※宿泊
ひさしぶりの快速「ムーンライトながら」はJR東日本車両という189系。
国鉄色だが、一見すると「ムーンライトえちご」に見える。
「えちご」の方は臨時急行に格下げになった「能登」との車両運用で必ずしも国鉄色が
見られるとは限らない。その代わりに今まで見る機会はそれほど多くなかっただろう
車体色で登場している時があるので、乗車時の楽しみが少しだけ増えたといえなくもない。
もちろん側面の方向幕は「ムーンライトながら」。JR東海の車両だった時に比べると
こちらの見栄えがいいような気がする。車両形式のことが良くわからないが、通路と座席
には眺望をよくする為か段差が付いている。なので足を伸ばせるから通路側という小技の
意味はない。その代わりに東海車両に比べるとシートピッチが広いので、快適度は
こちらの車両が上だろう。元々特急車両として使われた事もあって、座り心地は良い。
発車まで少々時間がある。夕ご飯の時間を摂る為に早めに出発したのだ。
小田原駅前の商店街方面を歩き回って、営業しているラーメン屋へ。
注文したラーメンは麺と野菜の量が半端ないので、45分かけてようやっと食べ終えた。
寒い中ホームでじっと待つよりはこの方が良い。2分前に東京方面から国鉄色が入線。
構内のアナウンスでは指定席は満席と告げていたが、空席がところどころに見られる。
途中駅から乗り込んでくるのだろうか。
運転停車中に洗面所で歯磨きをしていると、ゆっくりと列車は動き出した。
記憶違いでなければ、東海車両時はなかったと思う石鹸が配備されている。洗顔や髭剃りが
気になる私としては大変ありがたい。
沼津。4分程の停車中にはこの車両に3,4人ばかりの野郎が乗ってきた。
明日のためにそろそろ寝ておこうと目を閉じる。うつらうつらとしてふと目を覚ますと、
ゆっくりと金谷の駅名標の灯が過ぎ去るところだった。そこからしばらく眠るが
また目を覚ます。久しぶりに乗る列車に、初めて乗ったときの近いような気持ちで
興奮しているのかもしれない。窓側の隣人はよく眠っている。何度かの乗車経験から
夜行列車は通路側に限る。隣人のようによく眠る人なら、座席を立つ際に気を遣わないと
いけないからだ。
静岡の区間は長い。快速なのでかなりの駅を通過するのだが、それでもようやく浜松だ。
時刻表によれば豊橋には停車しない。少し前は貨物列車運用との兼ね合いもあったのか、
豊橋でも長時間停車をしていたが、臨時列車になってから停車駅がところどころ変更されている。
浜松もそうだが、朝一の新幹線や格安の深夜バス済んでしまう時代にわざわざ指定席を入手
してまで深夜に乗り込む客はいないのだろう。となると客はすでに乗っているような私を
含めた旅行客だけになる。車内を見渡す限り、出張風のサラリーマンは皆無と思われる。
浜松では少し昔に私も同じ事をしていたが、23分の停車時間を使って数人の野郎度が駅と
列車の撮影業務に忙しいそうにしていた。
列車が動き出すと自然に意識がなくなるのを待つのだが、なぜか眠れない。
時折よく揺れるからだ。「はまなす」はもっと揺れるが、何度か乗っているうちに最近の
北海道旅行では函館に到着したのも気づかないほどよく眠れる体になっていたらしい。
乗りなれる、ということが私にとっては重要らしい。時折ホームの灯が通り過ぎていく。
右手の窓を通り過ぎたのは寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に違いない。
豊橋。こちらも運転停車をするものの、そっけなく数分で発車する。
しばらく走ったところで再び運転停車。どこの駅かとIphoneのGPSに教えてもらったところ
共和という駅だそうだ。夜なので実感がなかったが、もうすぐ名古屋だ。
再びうつらうつらとしているうちに夜行列車は夜明け前の名古屋に到着。
この駅ではまとまった人数が降りていく。大垣に着くころにはようやく夜明けだろうか。
しかしこの189系はよく揺れる。揺りかごにしては揺れすぎだ。地震かと思うくらい。
大垣には定刻着。以前より到着時間が早くなったが、京都までの所要時間は変わらない。
4両編成の姫路行きはもちろん座れなかった。眠いことは眠いが、久々に乗ったためか
それほど苦痛ではない。でも慣れてくると立っているのは辛くなってくる。
だから乗りなれた路線は少しでも座れる工夫が必要になる。車内は立ち客もいる混雑だが
久しぶりでなかったら、列車を一本見送っていたかもしれない。
立っているそばのボックスシートに座る若い野郎は何やらイライラしている。
待ち合わせしている他のメンバーが来ない事に腹を立てている様子だ。
あとから乗り込んできた野郎3人はこのリーダー格と思しき野郎が感情的になっても
飄々としてそれほど気にしていない様子だ。聞かずとも聞こえてくる会話からは
このリーダーと他の3人との連絡がうまく取れていないのが原因らしい。
リーダーも気分屋らしく、その気分をテレパシーのごとく察知しろとは無理な注文だ。
何だか青春18きっぷの青春らしい旅の場面だが、次第にリーダーの怒りも収まってきて
元の雰囲気に戻ってしまった。第三者としてもう少しやり取りを楽しみたかった(笑)
車内は旅行客と通勤客が混じっている。近江長岡。なかなか発車せずにしばらく停車。
車内アナウンスで車両不具合が発生した模様。一度ドアが閉まり、電源が落とされたために
車内の灯がデットセクションのように消える。9分遅れで発車した。
外はゆっくりと明るくなってくる。そしてホームに白い雪。山陰本線に入ればもっとすごい
量の白い雪を見ることになるだろう。米原。接続するかと思われた新快速 6:38発はすでに
発車してしまっていた。行程に余裕を設けて正解だったと改めて実感する瞬間だ。
今年は山陰本線や周辺の路線は大雪で運休だったり、大幅なダイヤ乱れを想定していたが、
東海道本線は別の要因で遅れることは時折ある。JR西日本の路線で旅をしていると何故か
遭遇率は高いようだ。だから1時間くらいの余裕を持たせていたが、西日本路線に入る前に
遭遇するとは予想していなかった。
当面の心配は京都から先の山陰本線である。JRの公式サイトで運行情報を確認したところ
山陰本線と境線についてはようやく運転見合わせや運休といった情報は無くなっていたが、
それでも不安だ。出来れば境線には乗っていきたい。心配をよそに外は明るくなってくる。
本日は天気に恵まれるようだ。乗った新快速の車窓からは白い絨毯が所々に敷かれている。
能登川。近江八幡。ホームで待つ通勤客を拾っていく。近江八幡を出たところで年明けて
4日目の日の出が左手に顔を覗かせる。ボックスシートで相席しているのは大学生なのか
女の子2人組。世間では今日から平日になるが、正月休みの余韻を引きずっているのか
聞こえてくる会話は、紅白歌合戦やお年玉について盛り上がっている。
さらに朝日の光は強さを増してくる。京都に近づくにつれて車内は混んでくる。
相席の女の子達も京都で降りるのかと思ったが、降りることはなかった。
盗聴しているつもりはないが、「せやなぁ」「ほんまに」とその独特のイントネーション
からは大阪周辺の子かもしれない。ようやく関西に来たという実感も出てきた。
京都から山陰本線に乗換え。乗換えに迷うかなと思っていたが、すんなりと行けた。
もうそろそろ発車する快速福知山行きに乗り込む。「電車でGO!」の影響で未だに気動車
というイメージが抜けていないが、始点の京都ではアーバンネットワークで活躍する
新快速や普通で使われているのと同じ車両。停車する各駅も近代的な佇まい。
神戸線や京都線とは違って、下り方面では混雑せずに空席が目立つ。
嵯峨嵐山。そして保津峡。川と谷と山が織り成す景色はトンネルの闇に遮断される。
並河。しばらくは点々と並ぶ民家。家の門の前ではちいさな雪だるまがこちらを見ていた。
園部まで来ると、さきほどよりも白さが目立つようになって来る。
ここで園部止まりの後方車両を切り離し、快速は身軽になって再び出発していく。
それまで複線だった線路はここから単線になる。山陰本線はようやく園部まで複線電化
するようになったようで、「複線電化記念」の看板を見かけた。
時刻表で列車番号を見る限りは福知山までは電化されているようである。
船岡。気動車が似合うような景色に近郊型車両というミスマッチ。まるで青梅線みたいだ。
日吉を出ると、雪かきをする女の子たちがこちらの列車にちらりと目を向けた。
ニュースでも報じていたが、ここまで来るとさすがに多くの雪が残っている。
鍼灸大学前。明治国際医療大学前に駅名を変えたほうが良い気がする。
山下。特急列車とすれ違い。3分遅れで通過したためにこちらも3分遅れで発車。
大雪によるダイヤ乱れはまだ影響が残っている模様。
立木。心地よい揺れで意識が失いかけるが、地元のおばちゃんの大きな声で目が覚める。
綾部から再び複線になり、遅れを取り戻すかのように速度を上げて飛ばしていく。
だんだんと白い霧が濃くなっていく。山は姿を消した。
石原。「いさ」なんて読めないわよ、と近くのおばちゃんがつぶやく。
難読ではないが、引っ掛け問題に出されそうな駅名なのは同意したい。ここまでは順調。
この先の米子~鳥取間が心配の種。境線は駄目でも何とか松江には到達したい。
福知山。城崎温泉行きは2両編成。乗車率からは3両編成でも良さそうなくらい。
ワンマンカーはゆっくりとホームを離れていく。
夜行列車明けの睡魔が急に襲いかかる。いつのまにか意識を失っており、目が覚めると
柳瀬。ホームには黒い学生服の男子2人がホームで待っていた。
列車内の客の顔ぶれはほとんど変わっていない。
和田山。駅名標は近代的なデザインだが、ホームなど山陰本線らしい雰囲気が漂っている。
ここでまとまった客が乗り込んでくる。こちらはさぞかし天候が悪かろうと思ったが、
幸いにも天候には恵まれている。しかし、米子や鳥取はどうだろうか。
豊岡。雲が空を多く占領している。北近畿タンゴ鉄道の乗換え駅でもある豊岡の賑やかさ
から去ると停車する各駅は静かである。山陰本線は夏より冬の雪が降る季節がいいと思う。
北海道のスケールには及ばないが、雪見列車はなかなか至福の時間。
玄武洞。そして次は城崎温泉。福知山線経由で特急北近畿で、手前の豊岡までは乗ったが、
このホームに降り立つのは生まれて初めてである。
ほとんどの客は鳥取方面への乗換えだろう。浜坂行きは2両編成。何とか席を確保でき、
駅弁を食べる環境は整った。駅弁の蓋を開けて、箸をつけている最中に列車は動き出す。
竹野。上りの普通列車と交換。その後にワインレッドの新型車両の特急列車とも交換。
実車を初めて見たが、なかなか良いデザインだ。香澄。普通列車でも交換して同時に発車。
いつのまにか太陽の光はなくて曇り空。さて、次が今回の旅のひとつめの目玉だ。
鎧を過ぎてトンネルを3つほどぐぐると、私は立ち上がって後方展望を楽しむことにする。
架け替えのために、トンネルを出るとすぐに線路がカーブしているので、かなりの低速。
コンクリート橋になって何度か見栄えが悪くなったような気がする。
足元から見上げたり、道路より真横から見る分には絵になる風景にはなりそうだ。
餘部。旧鉄橋の線路上にホームの位置が変更されている。今後はこの駅から旧鉄橋の途中
まで歩けるように整備していくものと思われる。
浜坂。鳥取行きはいよいよ1両編成のレールバス風味。ボックスシートなのが救いか。
隣のボックスシートではPSPでゲームを、相席の窓側氏はデジカメ業務に忙しい様だ。
発車時間を過ぎても動かない。運転士がバタバタと準備してようやく列車は動き出す。
定刻より6分遅れ。ダイヤ乱れがさらに目立つようになってきた。
大阪行きの新型車両の特急が、城崎温泉行きの普通列車をはさんだ向こう側に見えた。
撮影しようと思えば出来たのだが、きちんと乗車してからが私なりの信条にある。
東浜。ホームの背後に日本海。津軽海峡冬景色の影響なのか、冬の日本海は荒々しい
イメージがあるのだが、山陰の日本海は穏やかに迎えてくれる。天候は不安定で、
晴れていたかと思うと曇っていたりする。
駅弁を食べた後なので、列車の床から響くリズムに身を委ねて気を抜いていると、
意識がなくなりそうになる。鳥取~米子は未乗区間なので特に油断はできない。
車窓からの白い光が眩しい。松江にいけば、もっともっと白いだろう。
福部。反対列車との交換待ちのためにしばらく停車。鳥取から先にいけるのだろうか。
ちょっと不安になる。
反対列車が遅れているため、定刻より8分遅れで発車見込みと運転士からのアナウンス。
福部。紺のブレザーと長いプリーツスカートの高校生らしき女の子が2人乗り込む。
都会の毒に犯されていないというのか、洗練されていない感じが良い。
ホームには厚く白い布団のように雪が残っている。向かいのホームにオレンジの
キハ40系2両編成、浜坂行きが停車するとともにこちらが発車する。
鳥取。運転見合わせではないものの、一部の列車が運休になっていた。
14:02発の快速列車が運休になっているため、次の42発まで駅中にある喫茶店で
時間を潰すことになる。発車時刻の直前に再びホームへ向かってみるが、
発車時刻になっても列車がやって来ない。20分遅れと構内のアナウンスが告げる。
何とか境線は乗れるだろう。ただ、松江に着いたらすぐ夕食にして寝る事になりそう。
鳥取からは先ほどすれ違いで見かけたオレンジのキハ40系に乗り込んだが、なかなか
発車しない。ダイヤはかなり乱れている。時刻表が当てにならない状況だ。
15:10。定刻から30分してようやく動き出す。ようやく未乗区間に踏み出せる。
湖山。雪が多く残っているが、北海道の雪を何度か見ている者からすると大した
事はないように思える。けれども実際の生活者ではないからそう感じるだけだ。
北海道民からすると、山陰本線沿いの突然の豪雪で交通麻痺はともかく、東京の
2cm雪が積もるだけで騒ぎ出すニュースは滑稽に見えることだろう。
先頭車両付近に固まっていた若き男性諸君はこの湖山と次の鳥取大学前でそれぞれ
降りていった。大学生かもしれない。しばらくすると左手に湖が広がってくる。
何という名前かとIphoneのGPSマップで調べてみるとと「湖山池」らしい。
こやまいけ。湖なのに池?。とツッコミを入れたくなる名称だ。
末恒でも大学生と思しき学生さんを主とした客が纏まって降りていく。
宝木、浜村と地元客がパラパラと降りては入れ替わりに何人か乗ってくる。
線路に寄り添うように家々が並び、生活臭を感じられる景色が見て取れる。
長大なローカル線でありながら、各駅にはそこそこの利用者がいる。
ふと油断すると意識が飛びそうになる。メモ書き作戦を敢行する。
泊の直前で信号によってとま・・、いや、何でもない。
泊。特急列車に道を譲り、上りの普通列車はひっそりと先に発車していく。
こちらでは窓に水滴が斜めに描かれていく。予報通り、地面にはまた白い布団が
そこら中に敷かれる事になるかもしれない。
松崎でまとまった人数が降りていき、倉吉で客が一斉に入れ替わる。
特急停車駅らしく、それまでの駅に比べるとホームの規模が大きい。
下北条。普通列車との交換。向かいのホームからの先に反対列車が動き出すと
こちらのドアが閉まり・・と思ったが、そのドア付近でひと悶着。
鉄道で旅をするとまれに遭遇するタイプだが、小さな子供や若い女性を主に
話かけてくるおじいさん。特にこれという用はなさそう列車に乗っているのは
共通していて、運転士からすれば乗るのか乗らないのか、紛らわしいので
注意した一場面だが、運転士も長年の経験からか、こうしたタイプには
毅然とした態度で接するのが最適であることを心得ている。
暴言を吐いて食ってかかるが、手を出すことはないと判断したのだ。
発車してから少ししてすぐにおとなしくなった様子だ。
こうしたタイプの人と乗り合わせると、列車はなかなか発車しないかなと
少々不安になるのだが、幸か不幸か、これによって列車の発着が遅れるという
事態に遭遇したことはない。乗務員側のプロとして対応のおかげだろう。
鳥取でも喫茶店の中で似たタイプのおじいさんが誰かに話しかけていた。
寂しさを紛らわさそうとしているのは間違いない。
由良。下北条からしばらく聞き役をさせられていた小学生と思しき子供たちが
逃げるように降りていく。今日の日記には変なおじいさんに話しかけられた
と書かれるのだろう。年を取るたびに若い子を話相手に欲しくなるという欲求が
次第に抑えられなくなる人もいるのだろう。
浦安。もちろんディズニーランドは見えなかった(笑)。
倉吉で見かけた夕日は雲の向こうに隠されているようで全く見えない。
米子に着くころには辺りは暗くなっていることだろう。
赤崎。先程のおじいさんはこれから降りようとする別の女の子たち2人に
座れと声をかけるが、反応に困ったように女の子たちが開いたドアから降り、
ホームの階段を上っていくを追いかけるように、いや思いついたように
おじいさんも降りていった。特に用はないのだろう。
赤崎を出発すると、運転士が腫れ物が消えたようなスッキリした表情になった
のはきっと気のせいだ。客である以上は表情に出さないのがプロなのである。
御来屋。昔の車掌室をそのまま駅舎に再利用しているのは北海道だけではない。
名和。用がなさそうな雰囲気のおじいさんが一人乗車。右手には寂しげに
日本海が広がっている。伯耆大山まで来れば、米子はもうすぐである。
淀江。交換待ちしていた上り列車が先に発車してもしばらく停車している。
特急列車の通過待ちと運転士のアナウンス。米子という都心に近いためか、
停車中にぽつぽつと地元の利用者が乗り込んでくる。
伯耆大山。乗り込んできたジャージ軍団は部活帰りの学生だろうか。
米子。すっかり日の暮れたホームに降り立ち、0番線の妖怪が住むホームへ向かうと、
妖怪列車が待っていたが、妖怪は乗っていなかった。
妖怪列車は今停車している2両編成はそれぞれの車両に「ねずみ男」と「鬼太郎」が派手に
ペイントされている。全部で4種類らしいので、あと2種類を
お目にかけたいものだ。
遅れている出雲市から普通列車を接続待ちするために発車が少々遅れると車内のアナウンス。
それまで壁だけでなく、鬼太郎のキャラクターがペイントされた天井を見上げてしばし待つ。
相席の白いスカートの少女は携帯電話を弄りながら、時々周囲を伺っている。
彼氏か友達とでも待ち合わせているのだろうか。
生活路線らしく、始発から結構な混み様だ。
通勤列車の空気と鬼太郎たちのキャラクターがペイントされた車内が何ともミスマッチだ。
18:10。ようやく妖怪列車は動き出した。
各駅に停車するが降りる人と同じくらいに人が乗り込むので、混雑は解消される気配がない。
ローカル線によくあるパターンで始発駅と終着駅付近で混んでくるものと思ったが、
終点までこの状態が続くなのだろうか。
例の少女は誰かと会うことなく、河崎口で降りて行った。
終始キョロキョロしていたが、閉所恐怖症だろうか。
弓ヶ浜で半分ほどの人が降りて行き、和田浜でガラガラになるのかと思ったが、そうではないようだ。
沿線に職場や学校はあるのだろう。
先程の少女はすでに降りたものと思ったら、他の席に座っていた。降りる駅を間違えたか。
車内は地元民同士が銭湯の脱衣場で交わすようなおしゃべりが聞こえてくる。
大雪の影響で普段利用しない人が乗っているのかもしれぬ。
列車は途中の米子空港を避けるように迂回して走って行く。
夜なので着陸誘導灯しか、確認することはできなかった。
闇に包まれた「べとべとさん駅」を発車。
牛浜駅でまとまった地元客が降り、車内が空いてくる。
全区間1時間足らずだが、程々に駅があってあまりスピードは出さずに停車。発車の繰り返し。
高浜町でも結構な人数がホームへと降りて行く。様々な年齢層の各駅での利用があるようなので、
地方交通線にしては好調路線の部類になりそうだ。
まだ程々の人が乗っているが、余子でほとんどの客が降りて行き、静かな車内になる。
馬場崎町で例の少女は降りて行った。駅を間違えたという雰囲気ではなさそうだ。
家出少女のような怪しい雰囲気があるが、再び列車に乗ってくる事はなかった。
もしかしたら妖怪だったかもしれない。
堺線の終点、境港。「鬼太郎駅」を降りると駅前からすでに
妖怪のブロンズ像が出迎えてくれる。
雪がまだ残る夜の境港をゆっくりと散策したいが、折り返しの列車で戻る関係で
水木しげるロードの妖怪を全部見る事はできない。目玉おやじの街灯に一瞥をくれ、駅に戻る。
日中ゆっくりと散策してみたいものだ。
駅舎に戻ると数人の待ち人。戻りの列車でもそれなりに利用がある。
ボックスシートに座ると、すぐ後ろでは黄色い話し声が聞こえてくる。高校生だろうか。
中浜で列車交換のために4分程停車するが、山陰本線が遅れている影響で遅れていると車内アナウンス。
後藤でも列車交換した記憶があったが、ふと気づいたら列車は終点の米子に到着していた。
ホームに停車している列車が時刻表通りに出発するので、てっきり出雲市方面の列車かと思ったが、遅れている倉吉方面の列車だった。
間一髪で乗って行ってしまうところだったが、電光案内板の
表示に騙されるところだった。
せめて表示くらいは修正してほしい。紛らわしい。
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