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【山手線ウォーキング1日目】目指せ一周、始まりは新宿から
27日昼過ぎ。町田駅前のドトール店内。
カフェラテを飲みながら、今日を含めた丸2日の
休みをどう使うかを考えていた。
来年1月に旅行するつもりで
購入しておいたJR時刻表を開く。
ぼんやりと巻頭の索引地図をしばらく眺める。
首都圏を中心に拡大されたページを開く。
よい計画が浮かばない。
関東~上越のページを開く。
横浜線から八高線経由で上越線へ。
上越線の普通列車にかなり揺られながら
(本当によく揺れる。水上~高崎あたり)
越後川口まで行き、飯山線~篠ノ井線
そして中央本線でまた帰ってくる1泊2日の旅を
考えてみた。
今日は日曜日。
残念ながらJRの「土・日きっぷ」は使えない。
大人料金が18000円では、普通列車の乗車だけでは
元は取れない。(普通運賃で9560円)
このきっぷで新幹線に乗れるんだから、
途中まで新幹線というのは鉄道旅行に対する
私の考え方に違反するのである。
飯山線に乗るために手前まで新幹線では、
やっつけ仕事である。旅は始まりから終わりまで
ゆっくりと鈍行列車で楽しみたい。
しかし、運賃と宿泊代だけで1万円を越える。
これとは別に駅弁だとか、宿泊先での夕餉とか
あとはおみやげとかで計2万円近くの出費になる。
1月に予定している旅費を確保するためにも
ここで1万円以上の出費は控えたい。
もういちど首都圏が拡大されたページに戻る。
山手線の環状路線に目をやる。
ある日、仕事仲間が話していた言葉を思い出す。
「山手線一周を歩いてみたら」
町田から小田急線に飛び乗る。
新宿には13時30分少し前に到着。
南口改札を出て、13時30分に外回りに歩き始める。
歩き始めは前を歩く人にぶつからないようにペースを
あわせて歩かないといけない。
思い出横丁や金券ショップ、牛丼屋、パチンコ屋
カラオケ屋など見慣れた道をゆっくりと通り過ぎる。
時々右を見ると、一本路地の向こうにある高架橋を
走る黄緑色の帯の列車が走り去るが見える。
地図を見ると分かるのだが、綺麗に沿線沿いを歩くなら
間違った道に歩いていないか、意識しないといけない。
地図だとすぐ正しい道に戻れそうな気になるが、
実際は東京だけに中高層の建物が視界の邪魔になる。
昔の船のように、太陽や星の方向に向かって
進路を取るようにはいかない。
この方向に進みたいからと目の前のビルをすり抜ける
ことはできない。
そうなると行先案内の看板か、地図が頼りになる。
警察か誰かに聞くのが早いが、それでは情報を得て
自分で考えて歩くというオリエンテーリングの観点から
よろしくない。考えて楽しみながら歩くところがミソだ。
また予め歩く道や距離を調べてないなら
今までの経験で知った体力から歩くペースを考える
必要がある。このペースを知るためには少なくとも
数回、出来る限り連続長時間のウォーキングを
実施する必要がある。
私は自分のペースを知っている。
歩く早さは1時間に5kmで一定。気候に左右されるが、
暑い日なら一度に3時間、秋~冬なら6時間は余裕である。
つまり距離にしたら15km~30kmである。
今回の山手線ウォーキング。
新宿をスタートとして沿線沿いに歩く事をイメージしたが、
どの道を歩けばよいか、1周どれくらいの距離か
はまったく調べていない。
歩きながら近くにある地図で現在位置と行くべき道を
確認しながら進まないといけない。
そんな感じなので、新宿からしばらく歩くと道が怪しい。
気を抜くとまったく見当違いの方向に歩きそうだ。
何とか山手線の築堤沿いの道に入る。
新宿から渋谷方面が東京の表の顔なら、こちらの
方面は裏の顔というべきか。ダンボールを囲って
寝ている人もそうだが、しばらく続いている
新宿の思い出横丁にアジア的な怪しげな雰囲気が
加えられたような歓楽街の雰囲気が拍車をかけている。
海外の人をちらほらと見かけたせいかもしれない。
高田馬場はこのガード下に改札口がある。
しばらくは住宅街の細道を歩くような雰囲気が続く。
高田馬場から目白は丘になっているのか
上り坂になる。どうやら山手線がこの丘の麓(?)
を走っている地形であることが何となく分かる。
乗っていると分からないが、歩いてみると分かる。
住宅街のあまり広くない2車線道路の真ん中に木。
なんという木がこのときはわからなかったが、
道が避けるようにしてでも残しているようなので
おそらく歴史的に伐採できない木だろうと思い、
後で個人が書いている関連のブログを見て回ると
旧近衛邸の敷地にあったケヤキとのこと。
元々並んで2本あり、「双子のケヤキ」として
車のロータリーとして使われたらしい。
避けた道路の真ん中から聳えるケヤキの根元を
みると、確かにもう1本分のスペースがある。
このもう1本が実は当時落雷で失ったようで、
その後、新たに植え替えられたのが、
少し離れた道端のケヤキだろうとされている。
目白警察署で使われている旭日章
(交番等にあるあのマーク)が皇居の守護などを
担当した近衛師団に由来するという情報が
書き込まれたブログを見つけたとき、
この近衛邸と関係あるのかと思ったが、
どうも関係がない(?)らしい。
誰にも知られていない地下の世界にも
興味がある私にとっては、いつかは行ってみたいと
夢にみている皇居へ続く秘密の地下通路が
この目白の近衛邸を皮切りに意外なところから
判明するのではと期待してしまう。
皇居へ続く地下通路がネットの某掲示板では
都市伝説的に扱われてはいるが。
そのまま進むと目白通りに出る。
わざわざ西武池袋線の踏み切りを越えてから、
今度は池袋線沿いに山手線沿いに戻ってみる。
池袋に到着。ここまで1時間40分ほど。
街頭の地図を見る限りはここからしばらくは沿線に
そって迷うことなく歩けそうな気配である。
そのまま歩いていくと少し上り坂になり、山手線や
他の路線が併走する複数の線路をまたぐ橋に向かう。
このまま橋を渡ってしまうと、山手線の内側に進み
沿線沿いから外れてしまいそうだ。
良く見るとこの橋の下にも歩道橋があり、
つながっている階段から降りていけば、
大崎方面へ向かう道へ歩いていけるようで一安心。
線路のカーブにそってしばらくは道もカーブ。
右手を時々山手線や他の列車が走り抜ける。
大塚駅前まで続いている商店街の電柱に
突き出すように「大崎駅自由通路開通記念」と
書かれた旗が風に揺れている。
大塚には下車したことがない。
今回初めて駅舎を見る。当然まだ白く綺麗な自由通路も。
都電荒川線の駅の上に山手線のホーム。
少し違うが、黄緑色どうしの電車が出会う駅。
そばの踏切が故障中で、駅へ近づく、あるいは駅から
発車する路面電車がないかを注意して渡る。
大塚から巣鴨、駒込は迷うことなく沿線を歩いていく。
駒込から田端の間には有名な山手線で唯一の踏切。
それを通り過ぎ、山手線を跨ぐ橋を歩いていくと
田端駅はもうすぐである。
歩いてから4時間ちょっと。田端駅に到着。
田端駅の駅舎も綺麗になっている。
ecuteのようなショッピング施設、atreがある。
いつもホーム側の景色しか知らないが、
沿線側の景色は知らないだけに歩いていて
新鮮であり、なかなか楽しい。
きっぷうりばのそばに張られた手作りのポスター。
730円で山手線などのフリーエリアが1日乗り放題を
アピールしている「都区内パス」だが、
その下にアニメタッチの2人の若い女性の
描き方に力がはいっている。
何かのアニメキャラをモデルにしているのだろうか。
かなり上手いなと思うが、「萌え」るほどではない。
こういうポスターがあるとどうも気になってしまう。
歩くにはまだ体力的には少し余裕がある。
田端駅の駅舎を通り過ぎ、西日暮里方面へと続く
道へ降りていく階段を降りたとき、
1軒のビジネスホテルが右手に目についた。
「ホテルメッツ」である。
窓の向きは見るからに新幹線や操車場を見下ろすのに
最適である。他のビジネスホテルよりは割高だが、
同じホテルの水戸駅前で使ったときの設備に対する
細やかなところが気に入っている。
まずユニットバスの鏡が一部曇らないようになっている。
風呂上りに安心して髭剃りができる。
それから給湯設備。旅をしていると色んな場所で
駅前のビジネスホテルのお世話になるが、
カランとシャワーを切り替える場面で違いが出てくる。
切り替えレバーでは出している水やお湯を
途中で止められないので、止めたい場合は
一旦お湯側と水側の蛇口を閉める必要がある。
止めてしまうと再度シャワーを使う度に、
蛇口のひねり具合で温度調節をする面倒がある。
今回のメッツでは温度調節のダイヤルが
別にある方式なので、この面倒から開放される。
水戸駅前のメッツに泊まった時にこの2点が
今までのホテルとは違うなと素直に感心したほどだ。
次にノートパソコンの貸し出しサービスがあること。
1泊1000円だが、同じ1000円でテレビの有料放送を
見るなら、アレをするためのコンテンツ探しをする
者にとっては経済的だ(笑)。それにネットカフェと違い
寝そべりながらネットサーフィンやブログを書いたり
することができる。
後は趣味的に列車の走るところを見下ろせる点
ここはさすがにJR東日本ホテルズらしいと思う。
実際、「電車が見えるお部屋」での宿泊プラン
としてチェックアウトも通常11時を12時までとして
出しているホテルがある。今回のメッツ田端も
そのひとつである。
最後はチェックアウトが11:00である点。
大抵は10:00チェックアウトだが
11:00なので、朝なかなか起きれない私でも
というより、夜寝るのが遅いだけなのだが、
ゆっくりと朝食~出発の支度ができるのだ。
前の方で、1万円以上の出費は控えたいとしながら
結局この田端で浪費しているので、矛盾しているが
そこは目を瞑っていただきたい。
携帯音楽プレーヤーの充電をするためもあって
まずはフロントでノートパソコンを借りる。
折角パソコンができる環境なので、久々にアニメでも
見ようかと、夕餉のついでにDVDを借りにホテルを出る。
田端駅に着いたとき、atreの3階にTSUTAYAを確認した。
駅前にはこれはと思う雰囲気のラーメン屋がないので
常磐線の三河島方面まで10分ばかり歩いてみた。
ラーメン通ではないが、今時のライトアップされた
派手な看板よりも、歩道の端に黄色地に「ラーメン・餃子」
としか書かれていないような看板の灯を置いている
店の方がはずれがないような気がする。
ラーメン店を選ぶ際の安心感みたいなものだろうか。
店員の中に中国だが、韓国の人を含めた3人で
切り盛りする店だが、ラーメン、餃子とも当たりだった。
そしてビールもよく見かける瓶よりは少し太めの緑色には
「ハートランド」と凹凸文字があり、なかなか
飲む機会のない銘柄が出てきたのもよかった。
最近は普段なかなか飲む機会がないような銘柄の
ビールを出すという点もラーメン店への評価に
加えつつあったりする。
満足したその足で田端駅へと戻る。
atreの3階にあるTSUTAYAで気になっているアニメを
2つ借りてみた。ジブリの最新作品である「崖の上のポニョ」。
もうひとつが宮沢賢治原作をアニメ化した「銀河鉄道の夜」。
ホテルに戻り、ウォーキングで掻いた汗を流した後は
寝るまでアレの後からDVDタイムとなる。
まずは「崖の上のポニョ」。
絵のタッチから何となく期待はしていなかったのだが、
これはこれで見ごたえのある話であった。
別の長編アニメ映画で「遠い海から来たCoo」があったが、
話の始まるパターンはそれと同じである。
(見ていない人はわからないかもしれないけれど・・・)
「萌え」という観点ではポニョが「ある」理由で
女の子となって登場したときは、ゲームやアニメに
登場する美少女とは違った可愛さがあってよいかと。
これ以上はネタバレになるので実際にDVDを見て頂きたい。
次に「銀河鉄道の夜」。
話の内容も素晴らしいが、何よりもキャラクターの背景に
描かれる絵、音楽が独特の世界観を作り出しており、
見ていると大変心地よい。「心地よい不安な気持ち」
という方が正確かもしれない。
今後は旅先のビジネスホテルでパソコンを借りられるなら
DVDをレンタルする店が近くにないかを調べてみるも
よいかもしれないなと思った。
ポニョのような女の子が突如現れて
困った自分を妄想しながら、ベットに横になった。
時間は2時15分過ぎ。9時までには起きないと
折角の朝食券が無駄になってしまう恐れがあるからだ。
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