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三浦半島、5時間半のウォーキング。
以前につきみ野~横浜~横須賀中央~三崎口と計画し、
12時間耐久のウォーキングを実施したが、結局途中の横須賀中央で
体力、特に右足が悲鳴をあげた為に断念した。
これがこれまでの個人記録で一番長い9時間ウォーキング。
距離にして45kmであった。
今回は是非とも、「赤い電車」こと京急久里浜線の終点である
三崎口まで歩いてみたいと思い、まずはその赤い電車で
横須賀中央までひとっ飛び。
しばらくは国道16号線をひたすら歩いていく。
自動車用の青い看板には「三崎まで19km」。
これなら4時間もあるけば到着するだろう。
横浜~八王子のようにずっと国道16号線を歩くだけなら
道に迷わないが、三崎口まで京急線沿いに歩こうとすると、
途中から違う道に曲がらないといけない。
自作のGPSロガーを携帯電話で呼び出し、今度は国道134号線を
歩いていけばよい事を確認する。
しばらくは京急線に沿って歩く。
途中左手に北久里浜駅の駅舎を横目に
最初から飛ばさないようにゆっくりと一定のペースで歩いていく。
京急久里浜駅から今度は同じ134号線を右折する。
この辺りから過ぎていく信号の名前も見慣れないものが
当然出てくる。「野比中学校」「野比駅」など。
同時にようやくここまで来たなという達成感が少しずつ
強くなってくる。
YRP野比駅を過ぎる頃に左手視界が青く開けてくる。
太平洋だ。三浦半島の海というほうがよいか。
どちらでもよいが、海からの風はまだ冷たくない。
年を越すころは手が悴むほどの寒さになるだろうが、
その寒さがないので、ゆっくりと歩きながら見渡す限りの
海を堪能する。このあたりはウォーキングだけでなく、
ジョギングでもサイクリングでも気持ちよいだろう。
江ノ島が有名な湘南の海は、そこを舞台にしたドラマや
漫画を過去に見た影響もあるだろう、はしゃがないでどうするよ?
と訳もなく、テンションが高い若者のエネルギーがむき出しの
イメージがあるが、今回ゆっくりと通り過ぎていこうとする海は
そんなイメージない。海水浴で賑わう夏でも、穏やかに
楽しい空気に包まれるのかもしれない。
だが堤防沿いに長く設けられた駐車スペースに、エンジン吹かした
車が横に並んで停まり、サーフボードを抱えた若者が降りてきたら
湘南とさほど空気は変わらないかもしれない。
今はこれから冬本番になろうとしている季節。
そんな車は一台もなく、がらんとした駐車スペースだから
落ち着いて海を見ることができる。
しばらく続く左手の海の向こうはそろそろ夕方が終わろうとしている。
先ほどよりも夕日が暗くなっているのがわかる。
そんな砂浜に見慣れないものが干されている。列をなした大根である。
珍しい光景に思わず、携帯電話のカメラを向けてしまったが、
さらに歩いていくと、目についた「三浦大根」と関係がありそうだ。
後でweb検索してみた。少し前まで栽培されていた「三浦大根」は
今主流になっている葉の根元付近の身が青い、青首大根とは違って
身は真っ白で太く、大家族でないと食べきれないほどの大きさを
誇っていたらしい。それが核家族で一世帯の人数が減り、
需要も少なくなり、農家で栽培しているところは僅かだとか。
どうやら、干されている大根も「三浦大根」ではなさそうだ。
大根は畑で収穫されてやがてスーパーに並ぶ、というイメージが
あったから、砂浜で天日干しをしている光景が新鮮だ。
そのまま海岸沿いの堤防を歩いていく。
気持ちのよい時間が流れていくが、そろそろ4時間経つ。
そのうち三崎口駅を示す看板があるだろうと思って気にせずに
歩いていくうちにすっかりと夜になった。
予め見た地図では三崎口駅は海岸沿いではなく、内陸地にあった
はずだ。これはどこかで道を間違えたらしい。
再び携帯電話で自作のGPSロガーで位置情報を確認する。
駅からだいぶ離れている。明らかに三浦半島の南端に向かっている。
初めてやってきたところだから、この辺の距離感はつかめていない。
しかも民家が少ないのか、夜になるとあたりは何も見えない。
人工の灯がとても少ないために、やけに星空がはっきりと見える。
それが少し不安にさせる。それでも2時間はかからないだろう。
三崎口からここまでは5kmほど離れていただけのはずだから。
車が通る2車線道路を道なりに歩いていくと、
向こうに白い風車が2つ見えてくる。風力発電所でもあるのか。
辺りが暗いだけに白くライトアップされたその勢いよく回る
風車が綺麗で少し不気味に感じる。
少し離れた場所にあるかと思いきや、道路に面している。
「宮川公園」という名前でベンチや東屋、トイレなどがあり
ちょっとした休憩ができる広場がある。良く見るとベンチに
ひっそりとカップルが座っている。デートスポットとしても
使われているようだ。
この風車も後でwebに尋ねてみると経済産業省による
試験的稼動を目的に設置されたものということ。
その風車を通り過ぎると、辺りはまた暗い。
見上げると夜空の星が良く見える。
見渡す限り向こうの道は真っ暗。せめて街灯でもあれば
歩いてみようとなるのだが、こう真っ暗では先を進めるか
躊躇する。人工の灯がないとこれほど不安になるもの
ということをここで痛感する。
目についた分かれ道が三崎口駅へ戻る近道のような気がして
その分かれ道に賭けてみるような気持ちで歩いていく。
しばらく歩いてふと振り返る。
それほど歩いたつもりではなかったが、白く光る2つの風車は
かなり離れている。辺りが暗いと距離感が掴めず不安だ。
そしてまた携帯電話で自作GPSロガーで自分の位置を確認。
左手に行けば県道26号線があることを確認でき一安心。
県道まで出てしまえば、三崎口駅までは1時間ほどで
到達するできるだろう。
それまでは辺りが暗い道を歩いていたために距離感がなく
時間の経過が早いような気がしたが、県道に出た途端に
車のヘッドライト、店や家の灯で明るいこと、それまでの
緊張がなくなったために三崎口駅までの1時間は長く感じた。
三崎口駅に到着。
この駅だけは古い京急のロゴのネオンが青く、赤く輝いていた。
時間は19時半。予定より1時間半ほど遅れたが、
おかげで三浦半島の南端まで歩くことができた。
あの風車は今も印象的に私の頭の中で白く光っている。
駅そばにあったの中華料理屋でラーメンを食べる。
横浜へ向かう赤い電車に揺られて三崎口を後にした。
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