2009年3月29日日曜日

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【北海道&東日本パスの旅 5日目】
B寝台でお別れ

稚内  ※駅弁購入
10:58発

↓ 4330D 宗谷本線 

14:13着
名寄
14:37発

↓ 3326D 宗谷本線
  快速 なよろ8号

16:03着
旭川
16:09発

↓ 2232M 函館本線

17:52着
岩見沢
18:05発

↓ 3242M 函館本線

18:42着
札幌  ※夕飯、風呂
22:00発

↓ 202 函館本線~千歳線~室蘭本線~函館本線~
     江差線~海峡線~津軽線
  急行 はまなす

5:39着
青森



予定では朝食なしと考えていたが、ビジネスホテルの朝飯は
美味しいことをこの前の高崎で一泊したときに改めて感じて
朝食を付けてもらうことにした。
和食をゆっくりと食べて、出発に備えて準備する。






10時丁度にチャックアウト。
10:58発までまだ少し時間がある。
待合室の中の立ち食いスタンドでは、うどんを啜る客と
店のおばちゃんが親しげに話す光景。
駅弁を売っているキオスクでは宝くじも売っている。
稚内駅は最北端の宝くじ売り場でもある。

買った駅弁を抱えて、定刻に普通列車は発車。
昨日一緒に降りた「道路地図」の彼は乗っていない。
その代わり、札幌で一泊してゆっくりと名古屋まで
向かう男は私と同じ「鉄」の匂いがする。
旭川まではどうやら一緒らしい。

南稚内では地元の連中が数人乗り込み、皆前方の
ロングシートに寄り集まって座る高齢者。
若い連中は私のような観光客だけ。






南稚内~抜海は鳥肌の景色が右手に展開する。
少しの間だが、海が見え小高い丘に隠れてしまう。
線路は家も何もない白い絨毯を優雅に大きくカーブする。
「地図帳」では、この区間から見える利尻富士を眺める
余裕は無かったが、何もない白い絨毯に単線の線路を
進む風景は見た者にしか分からない絶景である。

雪の上の作業員。黄色いヘルメットを被った数人が
こちらへ敬礼する姿が横切っていった。

車両後部の運転台横の窓ガラスから流れていく線路。
ふと、小さな台を通り過ぎる。いや南幌延駅である。
しかし、本当に駅なのか。
少し離れた横を国道を通り過ぎるだけの場所に
ぽつんとある小さなホームを列車はあっさりと通過する。





12:16。雄信内着。
雨が降り出してしまっている。ここで特急の通過待ち。
車両後ろ側の運転台横で待つ。するとしばらくして
トンネルに入り、しばらくして遠ざかっていく。
宗谷本線唯一の下平トンネルである。1256m。

紋穂内を出て空を見上げると、再びぼやけた太陽が
厚い厚い雲から透けて照らし出している。
そして私の意識が飛びそうになる。



稚内への列車では、音威子府で1時間20分も停車したが
旭川へ向かう列車では長時間停車がないため
稚内から5時間ほどで旭川に到着する。
飯田線も乗り継いでいくと6時間かかるが、営業キロは
宗谷本線の方が長い。飯田線よりも時間がかかると
思い込んでいたが、飯田線のほうが停車駅の数が多いのだ。





名寄では快速「なよろ8号」に乗換え。
時刻表では名前があるが、列車では「快速」のみの掲示。
地元の利用者もいるのだろう、一両の車内は席がほぼ
埋まるほどの乗車率である。
稚内から一緒の男はロングシートの一番運転よりに座る。
時折その場で立ち上がって、運転台の後ろから前を見る。
先ほどの列車でも同じように前面展望に忙しいようで
同業者として、非常に目に付く存在である。
名古屋まで頑張るのだろうか。

名寄のホームを離れ、しばらくすると右手にブルドーザー。
ここでも除雪作業に忙しい。
隣のボックス席にも同業者と思しき男性が座る。
こちらは旭川まで一緒だろうか。
もしかしたら、急行「はまなす」でも一緒かもしれない。
行きと同じように、帰りも確実に自由席を確保するためには
「はまなす」が入線する2時間ほど前にはホームに並ぶことを
考えると、予定通りなら札幌では自由時間は1時間ほどだ。
士別着。降りる人よりも、それ以上に乗ってくるので
車内は賑やかになる。特急とのすれ違いでしばらく停車。

和寒から塩狩までは上り坂を喘ぐように、ゆっくりとした
速さで進んでいく。持参の「地図帳」には記載はないが、
気動車であってもこの塩狩峠は、そうそう容易には
進ませてくれないほど、急勾配なのである。





旭川から乗換え。この辺りから札幌近郊の雰囲気である。
滝川では15分停車。ホームへ出て、列車にカメラのレンズを
向ける女性。メーカーはcanon。
若い女性でも鉄道を趣味とすることがより身近になった。

「はまなす」では眠れないならと、札幌ではなく違った
ルートから、「はまなす」に乗ろうかと考えてみる。
時刻表を開いてみると、札幌から小樽行きに列車が出ている。
しかし乗換え時間は2分。おまけにホームは1番線から4番線と
階段を降りて昇って別のホームへ移動せねばならない。
間に合うのだろうか。間に合えば、小樽から長万部まで
乗り継ぐことができる。長万部にも「はまなす」は停車する。

長万部では「はまなす」到着までに2時間あるが、
食事はともかく、風呂に入れるところがあるか分からない。
未乗区間という意味では、ぜひ乗って行きたいところ。

岩見沢からオールロングシート車両に乗換えて
札幌に近づくたびに迷いが出始める。
区間利用者の存在を知っているので、座れないことは
きっとないと思われる。が、一番重要な事を忘れていた。
これで旅は終わりではないのだ。家に帰るまで後1日以上は
列車に揺られていくことになる。体力温存のためには
自由席で頑張るのは少々辛い。明日は早朝の青森のホームから
スタートし、その日の夜になってようやく家に着く。
金が少々かかってしまうが、指定席料金で横になれる
カーペットカーか、満席ならB寝台となる。

札幌着。やはり小樽行きに乗り換えるには無理があった。
階段を降りようとしたところで、発車するところだった。
改札を出て、カプセルホテルを探すがありそうで見つからない。
その代わり、シャワー室があるネットカフェを見つけて、
体を流す。マット敷きの席はリクライニング席と違って
横になることができる。ネットカフェを宿代わりにして
旅行することも可能にはなったが、ビジネスホテルとは
違って予約できるわけではないので、空いていないときの
リスクがある。それに札幌で宿泊するしても明日中には
帰ることができない。それだけ遠い線路の向こうに今いる。

携帯電話とデジカメの充電が終わり、ネットカフェを出て
駅のみどりの窓口へ向かう。
案の定、カーペットカーは満席であった。
急行券と指定席料金だけで横になれるとあって、人気が高い。
B寝台で寝ていくことにする。しめて15000円ほど。
走る高いホテルである。


発車30分前。旅最後のラーメンを食べようと、
駅前周辺を探すが、2件ほど見つける。しかし少し駅から
離れており、ゆっくりと食べることができない。
結局、前の旅と同じようにショッピングモール内にあった
「らーめん共和国」の今回は「美深ラーメン」でビールを
飲みながらの晩御飯となった。
醤油ラーメンだが、汁の味が濃厚な一品。


発車15分前。そろそろ駅へ向かわないといけない。
入線時刻は21:38。すでに青い車体はホームで発車待ちを
しているはずである。階段を上がる。発車10分前。
一通り、車両の撮影を済ませたところで自分の寝台へ。
乗車券+急行券+B寝台券が一枚になったマルス券には
「増1号車」。同じB寝台の1号車と2号車の間にもう一両、
増結1号車が連結されている。それだけ需要があるのだろう
両隣の1号車と2号車も寝台がまずまず埋まっている。






下段向かいの客に挨拶する。
同世代と思しき男性は時刻表を見ながら、旅程を紙に書いている。
札幌を離れて、しばらくは窓の外を見ていたが、カーテンを引く。
すぐに眠れない。
23:07。車内アナウンスがB寝台車とカーペットーカーのみ
車内放送を打ち切ると告げる。ドリームカーと自由席車両は
東室蘭を出てから車内放送を打ち切るとのこと。
車掌が1車両ずつ、電灯を暗くしていく。

いつのまにか、意識が落ちていたのだろう。
ふいに何か衝撃があり、急に目が覚める。収納式の荷物置き場に
押し込めていたリュックが車両の揺れで落ちてきたのだ。
床下に落ちたリュックを拾い、携帯電話で時刻を見ると、1時15分。
GPSで位置を確認すると長万部を出て、山崎駅を通過しようとする
ところを列車は走っている。
目が覚めるとなかなか寝付けない。カーテンを開けて、洗面台へ
ゆれる車内の中を向かう。
寝ぼけた目で歯磨きをする。自動販売機で缶ジュースを買う。
2号車と3号車のデッキから、ドア越しにドリームカーの車内を見る。
行きのムーンライトえちごで乗ったようなグリーン席だろう。
自由席に比べると快適度は違うだろうが、寝台ほどには眠れない。

北海道新幹線が開業した暁にはこの青い急行客車は消えだろうか?
しかし北海道新幹線は木古内から小樽方面を経由して札幌という
ルートらしくこの急行列車が停車していく、苫小牧、東室蘭、
長万部などを通らない。
急行料金が余計にかかるが、地元としては始発や最終列車としての
足として少なからずの需要があるだろう。
しかし、車両の老朽化を理由に廃止されるかもしれない。
今後の動向は少し気になるところである。



寝台に戻り、缶ジュースを飲みながら時刻表を開く。
東室蘭以降で眠りについたらしい。「次の停車駅は東室蘭です」
というホームのアナウンスが小さく聞こえ、次のホームの蛍光灯の
白い光を覚えている。目が覚めるまで1時間ちょっとしか寝てない。
今度は目が覚めないようにとしっかりと寝ることに決めていたが、
また覚める。窓の外を確かめるまでもない。函館だろう。
機関車の交換を見物しようと同業者がホームを足早に通り過ぎる。
初めての北海道旅行で寝台特急「北斗星」に乗ったときは
食堂車へ入れないことから敬遠していたが、最近は浴衣の身軽さが
いいように感じてきた。浴衣姿で機関車交換を見るにはちょっと
ホームは寒いので、ボーっと寝台で窓からホームを見るだけにする。

機関車の交換を終え、そろりそろりと列車は再び動き出す。
動き出してしばらくしてまた眠りへと落ちていく。

また目が覚める。長い轟音が続き、途切れてまた長い轟音。
しばらく窓の外を見ると、トンネルが終わり空が白んでいる。
青函トンネルを抜け、青森側へやってきたようだ。
しばらくして今まで暗くなっていた電灯がもとの明るさに戻される。
5時10分。あと20分ほどでこの寝台から降りなくてはならない。
一眠りするには個人的に時間があと1時間ほど足りない。

向かいの客はまだカーテンを閉じているが、すでに起きている気配。
洗面台へ向かい、歯磨きから戻ってくると彼は窓の外を眺めている。
少し話してみると、彼は内地(北海道)から本州へ出て、青森からは
奥羽本線と羽越本線を乗り継いで、米坂線に乗り、仙台に行く旅らしい。
内地出身の彼にとっては、「はまなす」は旅のはじまりとなる列車だが、
私にとっては北海道とはお別れする列車となる。

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