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【北海道&東日本パスの旅 2日目】
素直に羽越本線で
新潟
4:54発
↓ 3921M 白新線~羽越本線
快速
5:50着
村上
5:56発
↓ 821D 羽越本線
8:18着
酒田 ※朝飯
9:38発
↓ 539M 羽越本線
11:31着
秋田 ※昼飯
13:12発
↓ 653M 奥羽本線
17:10着
青森 ※夕飯、風呂
22:42発
↓ 201 津軽線~海峡線~江差線~
函館本線~室蘭本線~千歳線~函館本線
急行 はまなす
5:01着
苫小牧
夜が明けないうちから、快速列車へ乗換え。
昔は「ムーンライトえちご」も村上まで運転していたと聞く。
この快速村上ゆきはきっとその名残なのだろう。
まだ何も着色されていない窓の外を
首都圏にない長すぎるロングシートに座ってぼんやりと過ごす。
乗っている列車が遅れている。
車内アナウンスでは行き違う上り列車が遅れていると告げる。
村上からの接続はギリギリとなった。
同じホームのすぐ前に停まっている列車に乗り換える。
再びクロスシート。村上を出てしばらくすると
日本海が広がることをすっかり忘れて、座ってから気づく始末。
幸い人は少なく、山側の席からでも気にすることなく
日本海を楽しむことはできる。
普通列車に乗り継ぎ、首都圏から離れていく旅では
個性的な人々を時々見かける。
たとえば、隣のボックス席で日本海を見ながら足を向かいの席に
投げ出して座っているおじいさん。
態々、聞こえるような声で欠伸する。
誰かに自分に気づいて欲しいのだろうか?
偏屈な雰囲気もちょっと感じなくもない。
再度同じ列車で旅しても前の旅では気づかなかった車内の光景や
風景や、考え付かなかったことが出てきりと同じ旅は2回以上
しないと旅の良さは理解できない話をどこかで聞いた気がする。
乗っている間に夜行列車に捨てる事ができなかった眠気が
そろりそろりとやってくる。この眠気との戦いに勝つために
色々な事を考えながら、何とか意識が飛ばないようにする
戦略に講じることになる。
車窓に流れる風景を見逃すまいと眠気と戦うのだが、
車内や車窓に流れる景色など、事細かにメモしながら本を出版した
全国津々浦々、レール上で過ごした宮脇俊三氏は私からすると
神様に値するほど尊敬する人である。
いくら仕事での依頼されての旅とはいえ、本当に好きでなければ
真似ができない神業だと私は思っている。
時折線路が離れたり、高くなったり、近づいたり、重なったりと
忙しい。完全な複線ではないため、駅ではないところで
上り列車とすれ違うために時折停車する。
その頃には空も白み始め、ようやく朝がやってきた。
2日目の朝が訪れたのである。
しかし、いつの間にか意識が飛んでいた・・。
時刻表を開く。今日の予定はなんとか青森に到達すること。
急行「はまなす」が発車する22:42までには到達せねばならない。
しかし、それは指定席を確保している一般人の話で、
私を含めて、「北海道&東日本パス」のような企画乗車券を使って
鈍行列車で安く乗り継いで旅をしようとする者はさらに2時間前
つまり20:30前後には到着してないといけない。
「北海道&東日本パス」には「青春18きっぷ」にない特例として
この急行「はまなす」だけは自由席に限って追加料金なしで
利用しても良い事になっている。
そして自由席を確実に確保するためには早めにホームに
並んでおく必要がある。それが発車の2時間前である。
客車7両のうち、自由席は2両しかない。
少ない自由席でより快適な席を確保するためにも。
しかし前の旅とは違ったルートで列車に乗ってみたい。
上記「2時間前」到着を考慮すると次のパターンがある。
パターン1) 前と同じく、羽越本線~奥羽本線で素直に
パターン2) 余目から陸羽西線、新庄から奥羽本線へ
パターン3) 余目から陸羽西線、新庄から陸羽東線
小牛田から東北本線へ
思い込みが可能性を摘み取ってしまう良い例で、
初めからパターン3は時間的に無理だと決め付けていたが、
時刻表で調べてみると、パターン2と到着時間は大差ない。
パターン2だと19:50着に対し、
パターン3は19:54着である。
「2時間前到着」と考慮せず、自由席に座れなくてもよい
という覚悟があるなら、まだいくつかパターンが考えられる。
しかし、パターン2、パターン3を実行する前提条件は
今乗っている列車がまず遅れていないことである。
この列車からの乗換時間が非常にタイトなのである。
しかし、残念ながら今の乗っている列車は6分の遅れを
取り戻せないまま、余目に到着。
素直にパターン1で行くことになってしまった。
よく考えたら、パターン2、パターン3では風呂に入る時間は
ないので、そうなると今回の旅の行程では昨夜出発してから
2日間は風呂に入れないことになる。
しかし地方の列車に乗っていると、人の少なさ故か
中身はともかく、外見が可愛い女の子が目立つ。
そんな女の子が向かいのロングシートで手作りと思しき
おにぎりをほおばっている姿は何とも良い。
しかしその隣で駅弁を食べるおばさんは頂けないが。
酒田で朝ごはん。いつも菓子パンでは味気ないので
何か駅弁はないかと探してみると、「かがちゃおこわ」なる
ものが駅で販売していた。地元には失礼だが、私の感覚では
出来たてのグリンピース入りの炊き込みご飯であった。
この「かがちゃ」がもっと沢山入っていればという不満と
この量で680円はちょっと高い気がする。うまかったけれど。
一緒に食べた「玉こんにゃく」は一見すると里芋が串に
刺さっているような風だが、からしをつけて食べると
うまかった。それよりもからしのツーンとする刺激が
眠気を覚ますのには丁度良かった。こちらは100円。
列車に乗り換え、しばらく乗っていると
幾度か意識が飛び、目が覚めた瞬間に目的とは違う場所に
進んでいるのではないかという不安に襲われる。
すごく時間が進んでいるような錯覚にも襲われるが、
完全に目が覚めると、あまり列車は進んでいなかったりする。
地元の独特のイントネーションで話す中学生か高校生と思しき
ジャージ姿の女の子たちは首都圏では見られない一種の
「萌え」である。
定刻青森着。夕日はまだ沈まないホーム。
まずは行きなれた足取りで駅前のカプセルホテルへ向かう。
ホテルが入っているビルの前のスペースで遊んでいる子供たちを
横目に風呂に入り、丹念に体を洗う。
ゆっくりと湯船に浸かり、休憩コーナーで夕食にする。
フロントに断り、デジカメと携帯電話の電池を充電する。
外に出て夕食としたいが、実は青森駅周辺には飲食店が
充実していない。
前の旅で奥にラーメン屋を見つけて入ったが、
名物なのか、しじみが入ったラーメンだったのだ。
個人的にこのラーメンはNGであった。だから休憩コーナーに
設置されていた自販機でカップラーメンという侘しい夕御飯。
充電が終わったのを確認して、そそくさとホテルを出て改札へ。
「はまなす」が停車する4番線ホーム、自由席の乗車口のある
端へ移動する。
階段付近にも自由席の乗車口があるが、そちらには行かない。
階段付近は3号車、私が移動したのは7号車でこちらは
同じ自由席車両でも最後尾の車両となる。
人の往来が比較的少ない車両の方がより快適である。
車両中ほどの窓側の席なら車両間を仕切るドアの開け閉め音も
気にならない。
発車の2時間前どころか、3時間前の19:30過ぎではまだ先客は
一人もいなかったが、じっと待っていると吹き付けてくる風が
体の芯を冷やす。
防寒対策として、上も下も重ね着、手袋とマフラーも巻いて
じっと待つがそれでも足元は冷たく、痺れるように痛い。
だから時折歩き回ってみたりして、なんとか寒さを忘れようと
するがそれでも寒い。
ホーム上で腕立て伏せやジョギングみたいな激しい運動でも
しないとこの寒さを凌ぐのは辛い。しかし、ネックなのは
待合室が階段寄りにあり、少し離れたところにあることだ。
いくら貴重品を身に付けていても、ホーム上にリュックを
置いておくのは不安である。見る人から見れば、自由席待ちの
場所取りであることは明らかだが、意地悪な人に落し物として
駅員にどかされる恐れもある。
すぐ目に届く範囲なら暖かい待合室で待つのだが、
待合室からでは完全に死角なのである。だから荷物のそばで
じっと寒さに耐えながら待つしかないのだ。
こういうときは複数人が有利だ。交代で荷物番ができるからだ。
自由席車両が待合室から離れた乗車口となっていることに
JR側が暗に指定席車両へと誘導していると思いたくなる。
小田急のロマンスカー誘導と思しきダイヤと同じように。
入線時刻は22時12分。その間に何度かトイレに行く。
21時を過ぎてようやく自由席の乗車口には後ろに列が出来てくる。
22:12。構内アナウンスの通り、「はまなす」が赤いディーゼルカー
に牽引されながら、ゆっくりと入線してきた。
「はまなす」は青森から函館を経て、札幌まで結ぶ唯一の急行列車。
この急行列車が無くなると、昼間の特急列車以外では青森からは
夜間に北海道へ行く手段がなくなる。
鉄道オタクにとっても、夜間移動するための貴重な夜行列車である。
北海道へ新幹線が開通する計画が出ており、現在青函トンネルは
新幹線車両も通れるように工事を進めている。
青森からは現在の青森駅とは別の所に新しい駅を作り、
線路も新たに設けるそうだ。
東北新幹線の終点は今のところ八戸だが、ここから線路を延伸し
青函トンネルを経て、木古内までは在来線と同じ線路を運行する
計画になっている。
「はまなす」は新幹線開通とともに消えてしまうのだろうか?
青森からだけでなく、北海道でも主要都市に停車する。
伊達紋別や苫小牧など、地元にとっても急行料金がかかるが、
大事な移動の足として使われているはずである。
計画されている新幹線ルートでは、これら主要都市は通らず、
木古内から小樽方面を通って札幌というルートになる見込みだ。
そう考えると、この青い14系客車はしばらく安泰だろうか?
しかし車内をよく観察すると、壁に亀裂があったり、
修復したような後があるので、
老朽化を理由に無くなるかもしれない。
自由席として一番快適な場所を選んで座ったが
恐らく眠ることはできないだろう。
一つはこの椅子の構造。前の旅で眠れる体勢を試行錯誤して
見つけた胡坐をした状態で寝る体勢。幸い2席を独占しても
問題ない乗車率なので、早速試してみるが眠れそうにない。
もうひとつは「函館の壁」である。
青森を出て青函トンネルに入り、最初の停車駅である函館には
1時00。青森から2時間20分。対して函館出発から次の停車駅で
ある長万部には2時間足らずで到着する。
その先は短時間で駅に停車していくので、落ち着いて眠れない。
函館で進行方向が変わるため、座席の転換などでどうしても
騒がしくなるので、寝るとした函館以後がいいのだろうが、
どちらにしても眠ることはできない。
この函館での時間の分断がなく、4時間くらいなら
その半分くらいは眠ることもできるだろう。
それなら青森から特急料金を払って、函館まで行き
函館で一泊してからの方がよいかもしれない。
前回は終点札幌まで乗っていったが、今回は途中の苫小牧で
下車する。時刻表を調べた結果、苫小牧からではないと
普通列車でその日のうちに網走へ到着できないからだ。
よく分からないうちに新中小国信号場を通り過ぎ、
23:18。最初の大平(大平)トンネル。1530m。
23:19。津軽トンネル。5945m。
窓に顔を押し付けると、津軽今別駅を通過。23:24。
23:25。大川平(おおかわだい)トンネル。1337m。
23:26。第一今別トンネル。160m。
23:26。第二今別トンネル。690m。
23:27。第一浜名トンネル。440m。
23:27。第二浜名トンネル。280m。
23:28。第三浜名トンネル。170m。
23:28。第四浜名トンネル。140m。
23:28。青い光が出ている壁。青函トンネルである。
23:36。轟音が多少和らぎ、竜飛海底駅通過。
23:51。今は新幹線工事の資材置き場となっている
ため、臨時駅となっている吉岡海底駅を通過。
0:07。日付が変わりようやく53850mの青函トンネルを
抜け、北海道側へ。しかし外は真っ暗である。
0:08。第一湯の里トンネル。1167m。知内駅通過。
0:09。第二湯の里トンネル。1638m。
0:10。第一重内(おもない)トンネル。813m。
0:11。第二重内トンネル。1218m。
0:12。第一森越(もりこし)トンネル。1634m。
0:13。第二森越トンネル。166m。
0:14。第三森越トンネル。322m。
0:14。第四森越トンネル。405m。
0:15。上野トンネル。130m。
そして0:19、木古内に運転停車。
青函トンネルの前後に9つのトンネルがあるのだ。
だからトンネルに入った直後の青く光る壁が目印となる。
なんとか細ぎれに眠ってはみるものの、しばらくすると
目が覚めてしまう。ふと携帯電話のGPSで位置を確認すると
洞爺を通り過ぎるところだった。時間は3時40分。
山側には有珠山が見えるはずだが、夜の闇では真っ暗で
何も見えない。窓の外を静かに生活の灯が流れるだけである。
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