2008年12月7日日曜日

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再び「ホリデー・パス」の旅。
今回の12時間の旅、目的は「EL奥利根号」乗車。


【臨時列車の指定席は・・・】

町田
10:32発

↓ 903K 横浜線 快速 
  
10:53着
八王子



夜勤明け、すぐに町田駅へ。

MV(指定席券売機)では、臨時列車の指定席が購入できない。
見るからに新人な駅員に尋ねてみると「時刻検索で購入」の返答。
しかし検索結果は新幹線だけ。駅員の話では乗車時間が短い、
つまり一番早く着ける列車しか購入できないのだという。
仕方なく、みどりの窓口に並ぶことになる。

満席なら列車を撮るだけにしておこうと思ったが、
案の定、始発水上からの指定席は満席だった。
しかし、高崎からは数席残っていたようでなんとか窓側席を確保。

町田駅からうまい具合に横浜線の快速に乗ることができた。
この先、高崎まで列車の遅延が無ければ余裕で高崎から乗車できる。


【電車と気動車に揺られて・・・】

八王子
11:17発

↓ 1161E 八高線
  川越行き

12:07着
高麗川
13:02発

↓ 239D 八高線
   
14:33着
高崎




個人的に東京近郊でローカルな鉄道と思っている八高線。
川越直通が多いので、途中の高麗川で乗り換える。
夜勤明けですぐに列車に乗り込んだものだから、列車の揺れも
手伝っていつのまにか眠りこけていた。
目が覚めたときは高麗川の少し手前。もう少しで川越まで
乗ってしまうところであった。
高麗川からは川越へ行く川越線と私がこれから向かおうとしている
高崎へ行く八高線に分かれる。
高麗川から先は非電化区間のため、気動車に揺られることになる。



次の電車まで約1時間もある。急ぐ旅でもない。
しかし高麗川駅の前には何もない。駅前に唯一あった食事所を
見つけるが、ここで食べたチャーシューメンは不味かった・・・





高麗川から気動車で約1時間半だが、時折スピードをあげて走る時の
エンジンの振動が座席に響くが、それでもまたしばし眠ってしまう。


【いまも現役、なつかしの湘南色】

高崎
14:39発

↓ 739M 上越線

15:42着
水上
15:47発

↓   

16:50着
高崎



緑と橙のツートンカラー。
俗に湘南色は東海道を走っていた湘南電車を思い出す。
今は東海道線と呼ぶ方がメインになってしまった感じがあるが、
今でも私は「湘南電車」と呼ぶ方がしっくり来る。

この湘南色115系に乗って水上まで目指す。
東京近郊ではなかなか乗る機会がない2段窓はそれだけでもうれしいが、
デジカメを持ち歩いて撮影する私にとっては格好の環境だ。


嵌め殺しの窓では不可能なアングル、すなわちすれ違いの列車を狙える。
線路脇で待っていてもよいが、すれ違いの列車に「被られる」ことがある。
被らないように予め調べておけばよいが、その場の思いつきで行動することが
好きな性格故に、2段窓の列車は非常に助かる。
沿線には三脚を立てた彼らたちが今か今かと列車が来るのを待ち構えていた。






さてこの列車に乗った理由。
時刻表では水上より手前の停車駅、後閑(ごかん)から終点水上の間で
これから乗ろうとしている「EL奥利根号」とすれ違うことになる。
この列車の進行方向右側、車両の一番東京寄りの席に陣取れば、
窓を開けておいても他の客に迷惑をかけることなく、この「EL奥利根号」が
すれ違うところを撮影することができる。






が、それだけの理由ならこの列車に乗らない。

水上から高崎へ戻る746Mは、「EL奥利根号」の後に発車する列車。
最初これでは「EL奥利根号」に乗れないなと思い込んでいたが、
携帯電話で乗換検索をしてみるとそうではなかった。

746Mは普通列車だが、「EL奥利根号」は臨時の快速列車だ。
だから後から出発するこの746Mが先に発車した「EL奥利根号」に追いつくことは
ないと思い込んでいたが、調べてみると途中の渋川で追い抜くのだ。

これは先に発車した「EL奥利根号」が渋川で25分ほど停車し、
その間にこの746Mが到着し、先に発車させるダイヤになっているためだ。

同じ考えを持つ人たちが多いと見えて、746M列車にはカメラや三脚、
小型の脚立を持った人たちでしばし車内は騒々しくなる。
水上まで乗ってきたときに気づいていたが、ちらちらと白い粒が降っていた。
こちらはもう雪が降り始めている。行きに雪を見る(笑)・・・独り言です

彼らのほとんどは高崎まで乗っていく人は居らず、途中の渋川、新前橋で降りていく。
線路を挟んだ向こう側のホームにダッシュして場所を奪取、・・・すいません、
また独り言を・・しているのをドアの窓越しに見えたので、
後から来る「EL奥利根号」を撮影するためであることはすぐにわかった。
だが、高崎まで乗っていかない理由は後になって判明した。


【そういうことだったのか・・・】

17:16着
高崎
17:34発

↓ 9732 快速 EL奥利根

19:19着
上野



遅延もなく、無事高崎に到着。
高崎に降り立つまで唯一心配だったのは列車遅延。
ここまでちょっとドキドキしていた。
高崎に無事降り立てば、「EL奥利根号」をゆっくりと出迎えるだけだ。

高崎は8番線ホームへ向かう。
案の定、上野寄りのホームには先客がいた。
カメラを構えて、これからやってくるEF55とEF64形の茶色い電気機関車が
青い客車を牽いてやってくるのを待っているのだ。

カメラを持つ先客でスムーズに撮影できないだろうなとは予想していたが、
この高崎で、EF55とEF64、茶色同士の電気機関車から先頭のEF55だけを
切り離す作業があることは知らなかった。





17:16。定刻にゆっくりとやってきた茶色の電気機関車。
その独特のフォルムは今はもうほぼ走ることはないであろう、EF55である。
鉄道模型や写真では見たことがあったが、実車を目の前で見たのは初めてだ。
一斉にカメラのフラッシュが瞬く。
ホームに停まってからも入れ替わり入れ替わり、カメラのレンズを
向ける人たちは絶えない。このEF55が切り離される時もわっと人だかりができる。

だから途中の渋川や新前橋で彼らは降りていったのである。
ようやく理由が分かった。
そして水上から高崎までの指定席が満席だったのも、高崎から先はEF55が
この高崎で切り離されて、EF64を先頭に走っていくだけであり
高崎ではこの貴重な切り離しのシーンが見られるからだ。

客車も寝台特急と違って、客車ならではの2段窓だ。
駅のホームで立ち売りしていた駅弁を車内から窓を開けて買っていた光景が
ちょっと思い浮かんだ。

列車がやってくるのをベンチに座って待っていたときに
駅弁を売る人たちがやってきた。「上州D51弁当」という弁当だが
あとでwebで調べたら、有名な弁当「だるま弁当」を製造しているメーカーが
製造した弁当らしい。売り子が掲げたプラカードには弁当の写真も乗っていたが
ホームのあまり明るいところではなかったので、よく見えなかった。
黒い器に入っているくらいかと思ったが、円柱側の黒い容器は蓋に蒸気機関車
の正面側を模したデザインになっているようだ。800円。

こうした駅弁を売ることを知っていたら、改札そばのNEWDAYSでビールや菓子パン、
ポテトチップなどを買って抱え込むこともなかったが、その場の思いつきで
始まった旅、仕方ないだろう。それよりも目の前の滅多に見られない電気機関車と
青い客車を前に、少しばかり興奮していたからそんなことはどうでも良かった。






乗るのはきっと最初で最後だろう、青い客車。
通路を隔てるドアだけ見れば、青森と函館を定期運行している急行「はまなす」
に似ている。座席はすべてボックスシート。銀河鉄道999に出てくるあのシートと
いえば分かるだろうか。
「はまなす」はリクライニングするクロスシートだが、背もたれはまるで
ベニヤ板のように硬い。だから夜行といえども寝られる代物ではない。
今回乗るこの青い客車のようなボックスシートの方がまだ寝られるかもしれない。

運よく窓側を確保できたが、後ろ向きで少し残念。
が、なぜか先客がいた。どうやら隣の通路側に座っていたらしいが、
誰も座らないだろうと思い、窓側に座っていたようだ。






どいてもらって、さっそく買ってきた缶ビールを傾けながら
菓子パンをほうばる。窓の外はもうすっかり夜。
車内アナウンスの前後に流れるミュージックが寝台特急や今はもうない寝台急行で
使われているあのミュージックだったので、ちょっとうれしかった。
あのミュージック、といっても乗らないとわからないものだが。

滅多に見られない列車を前に興奮して、勢いでホームで売っていた
記念のキーホルダーを買ってしまった(笑)

缶ビールは気持ちよく喉を通っていく。
こうしていると、遠くへまた列車旅をしてみたい気持ちになってくる。
鉄道オタクの端くれ、こうした列車に乗ると前面展望と後方展望が気になり
トイレに席を立ちながら、車両の端から端まで歩き回ることになる。


車両の一番後ろに行くと、数人が固まっている。
デッキには車掌室があるのだが、そこいた車掌と数人が親しそうに会話していた。
会話を聞いていると、どうやら数人は乗務する車掌の事を知っているようで
今回が初めてではない様子だ。が、ここで不正行為を目の前で見てしまった。
この「EL奥利根号」は下りは水上から走るが、水上から乗っている人だけに
配布されるはずの記念乗車券を彼らは車掌に頼み込んで貰っていたのだ。
車掌もそれがいけない事だと断っておきながら、仕方ないと手渡していた。
ここで車内トラブルにでもなって、列車遅延や事故になるよりはと考えての
ことかもしれないが。

目の前で手渡される記念乗車券、ここは黙っておくから私にも頂戴・・とは
さすがに言えなかった。言える雰囲気ではなかった。

水上から高崎までの指定席が満席だった、もうひとつの理由だったのだ。
水上から乗らないと記念乗車券は貰えないのだ。

席に戻る。先ほどの彼は向かいの席で眠りこけていた。
が、しばらくして目が覚めたようで窓の外をぼーと眺めている。
つまみに買っていたchipstarを食べ終えて、chipstarの蓋を思わず床に落として
とき、先ほどの先客が蓋を拾ってくれ、話しかけてきた。
今から思えばどうせ終点まで向かい合わせならと話しかけるタイミングを
狙っていたのかもしれない。

特急の通過待ちで本庄にしばらく停車した後、また走り出した頃だったが
あとは終点の上野まで、窓の外の見る余裕もあまりないまま、
彼が話すのを頷きながら聞く事になる。
実に話している時の顔が気持ち良さそうだ。
事実こちらが話すことには頷きはするが、あまり興味なさげだった。

だから後は彼が話すのを聞く側に回ろうと思ったのだ。
彼の知識と同等のレベルならもっと楽しかったかもしれないが
電車の走行音、つりかけ式やカルダン式や、東急や京急の車両形式を言われても
あのヘッドライトが四角いやつとか言われて、何とかわかるかわかないかの
レベルなので、知ったかぶりを徹するしかなかった。
だから話す内容の半分くらいしか分からなかった。

水上から乗ってきたという彼は記念乗車券を持っていて、見せてくれた。
昔よく見かけた硬券で、EF55-1ということで「5501」の番号が印字された2枚組み。
写真を撮らせて貰えれば良かったと思ったが、先ほどの事もあって
そんな気分ではなかった。

彼の話では今回の運転を皮切りに、EF55のさよなら運転があるから
きっとその時でも今回余ってしまったであろう記念乗車券を配布するのではという。
これも後でwebで調べたが、老朽化したEF55は今季限りで引退するらしい。
だから実は鉄道ファンにとっては見逃せないイベントだったのだ。

また携帯に撮ったというEF55の写真も見せてもらったが
ソフトバンクの510万画素という携帯で見る写真はもうデジカメ品質である。
その綺麗さとデジカメとほぼ遜色ない撮影の設定ができるところを見せられると
もうデジカメも不要だと思った。

大宮に停車。
大宮もきっとすごい事になっているだろうという彼の予想ほどは人だかりはなかった。
というより、一眼レフのようなカメラも含めて、夜では露出の調整も難しいだろうから
綺麗には写せないということだろう。

遅延なく上野を目指す。
大宮と上野の間で青い列車がすれ違った。1往復だけ運行している「北斗星」だ。
臨時列車と北斗星、青い列車同士がすれ違う、貴重な瞬間でもある。
数を減らしてきている京浜東北線209系が併走することで、上野の近くであることが
わかってくる。上越線~高崎線の旅はもうすぐ終わりである。








終点、上野へ定刻に到着。
寝台特急が発着する13番線ではなく、その隣の14番線ホームに入線。
普段は高崎線や宇都宮線(東北線)の普通列車が発着するこのホームには、
たくさんのカメラを向ける人たちが待っていた。
私もその中に加わって撮影。高崎同様に人だかりでうまく撮影できない。

しばし停車した後、茶色い電気機関車EF64の赤いテールライトが灯り、
静かに上野駅から走り去っていった。

そして先ほどまで一緒に話していた彼もいつまにか消えていた。
これが鉄道ファン式のさよならかと思ってみたり。


【他に臨時列車は・・・ない】

上野
19:42発

↓ 1936B 京浜東北線

19:49着
新宿
20:29発

↓ 2280Y 快速 湘南新宿ライン

21:28 着
茅ヶ崎
21:50発

↓ 2161F 相模線

22:14着
厚木




他に臨時列車がないか、新宿でウロウロしていたが無い様だ。
湘南新宿ラインで帰ることにしよう。
茅ヶ崎に到着。乗り換える相模線の発車までは15分ほどある。
ふと東京行きの行先案内板には21:47発は2ドアの表示。
そう、これは折り返し東京から出発する快速「ムーンライトながら」
として運行するための送り込み回送も兼ねているものだろう。

こうして12時間のホリデー・パスを使った旅は終わった。

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