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【3日目 『こだま0系とホームの女の子』】
7時過ぎ起床。
一旦5時の目覚ましを止めた記憶があるが二度寝をしたらしい。
シャワーでも浴びてゆっくりと支度をするつもりだったが、
寝る前に時刻表を確認したところでは、7:48発の622H下関行きに
乗らないといけないことがわかったからだ。
洗顔もそこそこに、急いで寝巻きから私服に着替える。
荷物を背負って、静かな朝の歓楽街を駅に向かって歩いていく。
ホームにちょうどコンビニがあったので、
おにぎりとお茶を買って、列車が来るまで朝ご飯とする。
07:48発、622H下関行き。
行きと同じように関門トンネルへ向かう前面展望を楽しむ。
4分間のリズムがトンネルに反響する。
下関からは8:08発、3532M新山口行き。
二段窓と分かれば、狙う席は車両の端。それも下関寄りの
クロスシート席である。
ここなら窓を開けても、他人に吹いてくる風で迷惑を掛ける
ことがないベストポジションだからだ。
おもむろに開けると、入ってくる風が心地よい。
そして時折、すれ違う貨物列車との轟音が直に聞こえるのが
迫力がある。窓を閉めているのとは格段と違う。
新山口には9:20に到着する。
次の列車は9:46発。少し時間が空くが、ここでもしやと思い
一旦改札を出て、みどりの窓口に向かう。
直感は当たっていた。こだま0系が9:41発博多行きで来る。
ここしか撮影のチャンスはないだろう。
入場券で博多方面ホームに行き、彼がやって来るのを待つ。
やがてホームのアナウンスから数分後、ゆっくりと
特徴のある丸鼻顔にシンボルの青い帯のこだま0系が入線。
11月に姿を消す前に撮影が出来、結果として良かった。
行程どおりに列車に乗っていたら、大事な撮影チャンスを
逃すところだったかもしれない。
新山口からは9;46発、3350M快速シティライナー 糸崎行き
に乗っていく。
鮮やかな青い空と入道雲を横に見ながら、山陽の線路を
走り抜けていく。
途中、太平洋の広大な海の景色が楽しめることに気づいたが
山側からではよく見えなかった。これは失敗点。
そしてこのまま乗り継いでいくと、今日の目的地である
豊橋まで一切昼飯を買って食べる余裕はないことにもまた、
気づいたのである。
しかし昼飯を一食抜いて頑張ってみようと思い立つ。
行きは京都の架線停電事故で広島で、一旦鈍行乗り継ぎを
断念せざるを得ない状況となってしまったが、
帰りこそは乗り通してみたいと思ったのだ。
途中の駅で降りる余裕はあるが、いつ事故発生とも限らない。
糸崎定刻13:35着。
ここからは13:37発、1754M相生行きに乗り換え。
山側の車窓から入道雲を見ながら、岡山へ徐々に近づいていく。
海がよく見えなかった変わりに駅のホームで佇む、座って
待っている女の子を目の保養としようか。
意外と女の子がひとりでホームで待っている駅が多いのだ。
どこの駅か忘れたが、線路を挟んだ向かいのホームに小学生らしき
子供たちが立って並んでいる。
こちらの車内は空調で、少々外の音はかき消された。
子供たちの背後を無音で貨物列車が通過していく。
一瞬、無音映画を見ているような気がした。すぐに音がよみがえった。
相生までは乗っていかない。
確実に座れることを考慮して、姫路で乗り換える。
姫路では、16:57発3286M 新快速米原行きに乗る。
これに乗ると、19:23に米原に到着する。
この新快速が大阪へ近づく頃にはすっかり夕暮れとなり、
車窓の景色も先ほどの入道雲からすっかり空は暗くなり始める。
米原も何事もなく定刻19:23着。
今日乗る最後の列車はオレンジ帯のJR東海の車輌。
この車輌をみると、本州、九州、そして本州とやっと戻ってきた
と実感してくる。
19:38発、5358F新快速 豊橋行きである。
新快速だが、2時間近くは乗ることになるので、かなり長い。
姫路~米原と所要時間はほとんど同じなのだが、「ながら」に
乗ってきたためか、こちらのほうがいつになっても着かない
のではと思うくらいに長く感じる。
豊橋も無事に到着。定刻21:33着。
あと20分も待っていれば、東京行きの「はやぶさ・富士」を
見ることができるが、ここまでも存分に撮影できた。
それに一度乗っているから、もう未練はない。
さて、旅行最後の宿。
ビジネスホテル三井は、駅から歩いて15分ほどのところにある。
看板が控えめなので、ちょっと分かりにくい。
ここで初めて知ったが、門限は12時までと決められている。
門限がある宿も珍しいのではないだろうか。
1日目の「ながら」でも一旦途中下車したと豊橋駅だが、
路面電車の存在が気になっていた。
宿でゆっくりと風呂で汗を流してから、熊本のように
路面電車に乗りながら最後の晩御飯としてラーメンとビールの
ある店を探そうと思ったが、先に晩御飯を食べに出かけた方が
よさそうだ。
感じの良いおばさんに鍵を預けて、ひとます財布とデジカメを
持って駅前まで歩いてみる。
駅前までも店があるが、早々に閉まってしまうらしい。
まずは気になっていた路面電車こと、豊橋鉄道に乗ってみる。
駅前の切符売り場できっぷを買う。一律150円で前払い。
乗り込んでしばらくするとゆっくりと動き出す。
駅前通りくらいまではにぎやかな街の灯もしだいに少なくなり、
途中の前畑で降りる頃にはすっかりひっそりとした住宅街。
それに門限の12時と探して食べることも考えて、
駅前まで乗って戻ることにした。
降りてしばらく駅前を歩いてみると、交差点の向こう側に
ラーメンの提灯を発見。ビールも飲めそうだ。
カウンター席のみのこじんまりとした店。
醤油ラーメンと瓶ビールを注文。旅先のビールは不思議に美味い。
ゆっくりとビールを飲みながら、テレビのロードショーを見る。
このときは「ターミナル」を放映していた。
ラーメンを食べ終えると、門限の20分前。
早足で宿に戻り、風呂に入る。
さっぱりしたところでしばし、買ってきた夜食を食べながら
テレビを見る。まぶたが心持ち重くなってきた。
もう寝よう。明日はなんとしても朝早く起きなくてはいけない。
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