2008年7月26日土曜日

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【多摩川の旅 3日目】




昨日も布団に入って、ほどなく眠りこけたようだ。
今朝6時前にトイレで目が覚めたが、すでに友人がいなかった。
携帯電話にメールがあり、早くも散歩に行った様子。



私はそれから朝食として指定していた8時の15分前まで二度寝を
決め込み、もそもそと起き上がる。
朝飯の時間は7時以降、好きな時間を決めることができるようだ。
なら夕飯はなぜに?

昨日のおばさんの朝食ができたとの声で食堂へ行く。
味噌汁、白いご飯、目玉焼き、紅鮭。正当な朝ごはんだ。
家ではほぼ食パン一枚で済ませてしまっているから
こんなにきちんとした朝ごはんを食べるのは久しぶりである。






朝ごはんを食べたら、まずは「昭和レトロ商品博物館」、
「青梅赤塚不二夫会館」、そして「昭和幻燈館」を見た後から
奥多摩まで別行動することになった。

なお、3館共通の入場券(700円)が今ならお得。






「昭和レトロ商品博物館」はその名のとおり、昭和には普通に
あった金属製の看板から缶コーヒーの缶、赤電話、駄菓子、
おもちゃ、薬品のパッケージなど所狭しと展示されている。

















私は昭和の終わりに生まれた世代なので、UCCの缶コーヒーや
ほんの一部の駄菓子、そしてぺんてるのクレヨンくらいしか
接点がなかったが、不覚にもロッテの小夏の三つ編み娘や
弁当箱に描かれているキャンディー・キャンディーの金髪の女の子、
UCC缶コーヒーのエヴァンゲリオンに出てくるアスカ
(ちなみに葛城ミサト版もあった)はいいなと思ってしまった。
愛少女ポリアンナなどの世界名作劇場のジグソーパズル。
箱のポリアンナやセーラに萌え。


2階は雪女の部屋とだったが、友人には悪いがほとんど興味なし。
あの小泉八雲であり、舞台が意外にも青梅というくらい。
すまぬ友人・・orz





次はお隣の「青梅赤塚不二夫会館」。
前に報道されて話題になっていた記憶がある。
病の父、不二夫に代わり、その娘さんが父の思いを受け継ぐべく、
開いたのがこの会館である。

不二夫が世に出した作品はもとより、不二夫の生涯、友人たち、
特に若いころの不二夫や友人たちがどんな社会環境で生活してたか
を壁に張られた漫画を通して知ることができる。




貼られている関連の新聞記事をつぶさに読んでみるとわかるが、
不二夫自身は世に出した漫画とその後放映されたアニメは
別の作品であると考えを表明している。






例えば、ひみつのアッコちゃん。
原作も思えばこの赤塚不二夫なのだ。
青梅駅のホームのアッコちゃんはアニメ向けに絵のタッチを
変えてあり、私は物心ついたときにはこのアニメからだった。
だから今回の会館で原作のアッコちゃんを見るのは初めてだし、
赤塚不二夫といえば「バカボン」や「もーれつア太郎」の
イメージが強かったから、ちょっと意外な気がしたのだ。
原作と同名のアニメは別作品という考えの試験作として
ひみつのアッコちゃんを世に出したのではと考えている。

なお、会館の2階は原作画があるため撮影は禁止。(1階はOK)




昼飯は「昭和レトロ~」内にある「となりのレトロ」(となりの
トトロを意識しているとは友人談)で一日10食限定のカレーライス
(600円)を食べてみることにした。
カレーもボンカレーだったら文句はなかったが、味はGOOD。
市販のカレールーの味とは違うようだが、どんなのを使っている
のだろう。

アイスコーヒーはまずまず。正直普通のアイスコーヒー。
でも昭和の当時は贅沢品だったろう。
ましてやガムシロップを入れて飲むなんてことは!

友人はこれから青梅駅より鳩ノ巣まで青梅線に乗り、
鳩ノ巣から奥多摩へ向けて多摩川沿いのハイキング道を
歩いてみるということで、店を出たところでしばしお別れ。









ここから単独で見に行くのは「昭和幻燈館」。
面白いのは入り口が昔ながらの商店を通り、その中にあるのだ。
店内の壁に入り口があると思ってくれればいい。
10分もすれば一通り見終わってしまう規模だが、薄暗い照明に
浮き立つメインロードにもあった映画看板や怪人20面相の
ワンシーンなどのジオラマは幻想的であり、しばし時間を忘れ。

今日最後の見所は気になっていた「青梅鉄道公園」へ向かう。
青梅駅の反対側に抜けるには、駅から少し昨日泊まった旅館
方面にある橋を渡らないといけない。
そのまま上り坂を歩いていくと途中にテニスコートがある。
ここも麗しき少年少女ではなかったが(笑)



さらに上り坂を登りきった所にその看板と後の展示車両が
歓迎してくれる。入場料は100円。
そばの係員が怪訝な目を寄越すが、それでも館内で最後の
鉄道模型運転中であることを教えてくれた。
子供を連れた家族連れの中に、異彩を放つ人相だから無理もない。







そんなことはすぐに気にならなくなり、館内でやっていた
鉄道模型の運転で流れるBGMを聞きながら、展示されている
往年の車両の模型や写真に舌鼓ならぬ「目」鼓を打つ。
見ているとまた北斗星に乗りたくなってくる。






2階は構内に展示されている車両の写真の他、歴史年表や
時刻表の写真と鉄道シミュレーターがあった。
実写の東海道線とその横にはゲームで一躍人気を博した
「電車でGO!」が元気に稼働中。子供からオタクまで
幅広い年代に対応しております。どうぞお楽しみください。



ちょっとびっくりなのは、展示されている大正時代の青梅駅舎
のデザインが、今も変わっていないことである。
建物の補修はしているだろうが、長い歴史を紡ぐ青梅駅。



3階は展望台。だがベンチと一台の有料望遠鏡があるのみの
ガランとした静かな場所。青梅のはるか向こうの町並みを
一望することができます。昭和の鉄道の思い出に浸りたい方
はグリーン車並みに静かなこの3階をご利用ください。
なお望遠鏡は100円約100秒となっております。













今度は館内の外に展示してある車両たちを見て回る。
DD51こと、デコイチをはじめ、ED16機関車やや当時中央線で
活躍していた茶色い車両が展示され、機関車の一部は運転席に
上れるように階段がある。
踏切を渡ろうとするところ、重連だった場合の眺めが体験
できる貴重な鉄道観光スポットでもある。

踏み切りもそばのボタンで遮断機を上げ下げできるので、
子供が飽きずに何度もボタンを押しては楽しんでいた。





少し下りたところにはこだま0系の車両が展示されている。
車内と当時は入ることすらできなかった運転席も入ることが
できる。この前の開成のあじさい祭りで行った引退した
小田急ロマンスカーNSEが通称「ロンちゃん」で大事に保存され、
定期的に公開されているが、展望室上の運転席も運行当時は
もちろん入ることはできなかったが、展示公開されてからは
入ることができたときの感動に近いものがあった。
ただ冷房は効いていないので、蒸し暑くてすぐに下車した(笑)


1回200円で2往復する「弁慶号」と名づけれられている人が
座る車両が連結された小さな機関車には暇そうに係員の
おじさんが見回りをしながら待っていたが、しばらくして
いなくなってしまった。
昨日訪れた友人の話では、結構な人がいたらしいので、
時間帯やシーズンにもよるのだろう。
暇そうにしている係員が気の毒なので、その汽車に乗って
あげようと危うく変な優しさを発揮するところだった。




そろそろ奥多摩へ向こうことにしよう。
鉄道公園から青梅駅まで戻り、次発は16:17発奥多摩行き。
立川から奥多摩までは青梅線だが、ホリデー快速などの
直通列車を除くと、ほとんどこの青梅から乗り換え。
それは奥多摩方面の時刻表を見ればすぐにわかることで、
1時間に2本くらいしかない。タイミングが悪いと40分ほど
待つことになることがあるのだ。







青梅から先は奥多摩まで多摩川の蛇行する流れに沿って、
線路が続くため、多摩川の流れと周りの山々の車窓の
素晴らしい眺めは言わずと知れた有名なスポットである。
だからそれまでロングシートに座って背を向けていた人たちも、
体を横にして思わず見てしまう。

青梅からも奥多摩まで結構時間がかかる。おまけに単線のために
上り列車との待ち合わせでしばらく停車することもあるので、
余計に時間がかかる。でも急ぐ旅ではないからそれで構わない。

青梅から40分ほど。ようやく今日の宿泊地の奥多摩駅に到着。
すでに友人は宿に着いており、風呂で汗を流すとメールがあった。
奥多摩駅を出て左側へ行き、信号を過ぎたところで予約してあった
「旅館 玉翠荘」の看板が見えてくる。この看板から入ってすぐの
ところに旅館はある。旅館の人の案内を受けながら、風呂や食事の
場所を確認。夕食は18時半からというので、ひとまず部屋に荷物を
置き、到着して早々浴衣に着替えて風呂に入ることになった。

後々判明するが、この風呂場は旅館の従業員も使用しているらしい。
そんなことよりも壁一面の大きな鏡はだいぶ経年しているものと
見えて、所々黒ずんてしまっている。
さらに3つあるシャワーとカランのうち、真ん中以外のシャワーは
ホースのノズルに近い部分が切れている箇所があり、ノズルを上に
すると一切にお湯が出なくなる。

湯船に浸かるのは、まだ日焼けのヒリヒリ肌には厳しすぎて断念。

さっぱりしたところで早速夕ご飯とする。
和室の大広間にはテーブルとイスが置かれ、鴨鍋をメインに
いろんな皿が置かれている。予想外に豪華な食事にどれから手を
つけたらよいか迷う。
窓から見える多摩川の景色がさらに彩を添えてくれる。




まずは今日一日の旅を瓶ビールで一杯。
青梅で別れた後、友人は鳩ノ巣駅で降りて、川沿いのウォーキング・
トレイルを奥多摩に向けて歩いていったそうだ。
アップダウンが激しく、まるで山道のようで体力的に、奥多摩までは
とうとう着くことはできなかったらしい。
だが私にとって思いがけない興味深い情報も知ることができた。
彼がその道中であるダムに差し掛かったという。
白丸ダムと呼ばれる施設の地下には魚がダムを通りぬけられるように
「魚道」という施設が地下深くにあり、無料で公開しているそうだ。

部屋に戻った後に彼が撮ってくれたビデオカメラの動画を見せて
もらい、ますます行きたい衝動が大きくなるばかり。
明日は最後のメインである東日原鍾乳洞を観光してからそれぞれ
家へ帰るという予定だが、私は途中の鳩ノ巣駅で降りて、
白丸ダムに寄る事に決めたのにそれほど時間がかからなかった。






初めて部屋に入ったときから気になってたのは我々が泊まる上の階、
つまり3階にも「梅の間」という部屋と屋上がある案内図が貼られて
いたことである。屋上はすぐに見つかった。
階段途中の踊り場に「立ち入り禁止」の紙が貼ってある衝立を
通り過ぎ、さらに昇ると「非常口」の灯ったドアは全開だった。
出ると右側に奥多摩駅からさらに白丸方面に続いている
県道を時折走る車が見え、左側には「梅の間」と思われる部屋だ。



しかしこの屋上からはその部屋に行けない。別の階段があるはずだが
すぐには見つからない。ちょっと探してみると我々の泊まる
「夕霧の間」のすぐそばに「非常口」と灯った入り口は暖簾が
かかっていて、はじめは気づかなかったが、この階段のようだ。

鉄の扉をゆっくりと開けると、すぐ階段があるが、左手に暖簾が
かかった部屋があり、灯とテレビの音が漏れている。
おそらくこの旅館の従業員用の控え部屋と思われる。
誰かに合わないことを祈りながら、真っ暗な3階へ続く狭い階段。

昇って左側には真っ直ぐ狭い廊下が続き、突き当たりに鏡がある。
暗い中で自分の顔が写ったときには正直びびった。
そばのスイッチをつけて灯をつけ、奥へ進んでみる。
当初は客用として使われていたのか「梅の間」の表札はそのまま。
ふすまで隔てた3部屋が、従業員用の寝起き用として使われている
のは明らかだ。置かれているイスといい、机といい生活臭がある。

従業員に見つからないうちに階段を降りようとすると、さっきの
暖簾からでかい犬が体を出してきたからこれにはびっくりした。
しばしキョロキョロしていたので、じっとしていたら、
犬は暖簾の奥へ引っ込んで出てこなくなり、ほっと安心。


見つからないように音を立てないようにゆっくりと鉄の扉を開けて、
無事脱出。お客用が使う階段の踊り場にも寛ぐように、使い古された
リクライニングチェアーが置いてあり、青梅の橋本屋旅館とは
違った意味でディープな旅館であった。



館内配置も独特で、男子風呂は地下1階だが、女子風呂はかなり
降りた地下4階にある。試しに地下3階まで降りて階段を覗いてみたが、
階段を下りてすぐのところに他の客のスリッパがあるところから、
扉を開けてすぐのところに浴室があるのだろう。
地下3階は「バー・リバーサイド」というバーらしいが、
もうやっていないのか、これから営業するのかわからないが、
ドアには「準備中です」の札。
横には休憩用のためか、ライトのついた机とイスが二脚。

地下2階も客室となっているが、他の階が和室で統一されているのに
この三部屋だけはマンション風の扉になっている。
誰か住んでいるのかと思ってしまう。残念ながら写真に撮ってはいないが。



後は他の部屋も明かりが漏れているところがほとんどで、
玄関で並んでいた靴の数から、我々を含めて20名ほどの客がいるらしい。
部屋に戻って改めて部屋を見ると、畳の部屋の向こうに突如洗面台が
あるので、違和感あるといえばあるが、あった方が断然よい。
トイレだけは共同のため、部屋を出ないといけないが
さっきのリクライニングチェアに誰か座っているのを見たときの
気まずさは何とも言えない。

そして明日の行程を再確認して、布団に潜り込んだ・・・・

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