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【青春18きっぷの旅 3日目】相生の乱、秘境のスイッチバック
(阪急)梅田
10:50発
↓ 阪急電鉄~神戸高速鉄道
特急 新開地ゆき
11:23着
高速神戸
11:38発
↓ 神戸高速鉄道~山陽電鉄
直通特急 山陽姫路ゆき
12:35着
山陽姫路 ※昼ごはん
姫路
14:06発
↓ 3453M 山陽本線
新快速
14:26着
相生
15:00発
↓ 469A 山陽新幹線
ひかり 469号
15:17着
岡山
15:42発
↓ 3143M 宇野線~本四備讃線~予讃線
快速 マリンライナー43号
16:36着
高松
16:43発
↓ 1267M 予讃線~土讃線
快速 サンポート
17:36着
琴平
17:46発
↓ 4277D 土讃線
18:35着 ※駅の撮影
坪尻
19:05発
↓ 4266D 土讃線
19:37着
琴平
19:42発
↓ 1282M 土讃線~予讃線
20:14着
坂出
20:24発
↓ 3162M 予讃線~本四備讃線~宇野線
快速 マリンライナー62号
21:05着
岡山
目が覚めたのは9時前。アルコールの力によって泥のように眠っていたらしい。
朝ごはんを食べてあらゆっくりと出発、のつもりだったが、ここは予定を変更。
青春18きっぷからしばし離れて、私鉄の旅をしてみようと思い立った。
まずは関西の茶色いサラブレット(と勝手に思っているが)こと、阪急電車に乗る。
梅田は大阪から梅田地下街を数分歩く。改札を入って目の前に1号線~9号線まで
横に列車が並んでいるのはなかなか壮観である。路線図をよく確かめると、阪急は
直通で神戸高速鉄道の新開地まで運転していることは以前何度か大阪に出張した際に
乗る機会があったために知っていたが、さらに山陽電鉄線は山陽網干、山陽姫路まで
線路が続く。阪急電車もかつては山陽電鉄の須磨浦公園まで直通運転をしていたようだが
諸般の事情で今は新開地までになっている。梅田を阪急電鉄から乗る場合は、新開地で
ほぼ同じルートを走ってくる阪神電車に乗り換える必要がある。
これから乗る種別が「特急」の列車は10分ヘッドで9号線から発車する。
いつも乗っているとそんなに早く感じないのかもしれないが、ノロイ小田急に比べたら
その軽快なスピードは雲泥の差である。それなのにあまり揺れが少ない。同じ線路幅である
関東の赤いサラブレット(とまた勝手に思っている)、京急よりも揺れが少ない気がする。
新開地を境にして山陽電鉄線となる。山陽電鉄のバラエティーに富んだ車両とすれ違う。
ルートがJRよりも少し高台を走っているため、左側に展開する太平洋がJRで通った時とは
眺めの印象が違ってくる。
舞子公園を過ぎてしばらくすると少し離れた頭上に橋が見えてくる。
その橋は今見えている淡路島に続いている。明石大橋だろう。
ライバル意識故なのか、明石はすぐ右隣にJR明石駅のホームが見えているが
車掌はアナウンスで乗り換えの案内はしない。
車両の古めかしさとは対照的に東京の赤いサラブレット並みに飛ばしていく。
山陽電鉄線で使われている車掌の合図ベルは自転車のベルのような音が面白い。
高速で飛ばしていく路面電車のような不思議な感覚といったらよいのだろうか。
大阪で降った昨夜の冷たい雨が無かったように、今日は良く晴れている。
加古川を渡ると、高砂。飾磨では山陽網干方面と分かれるが、支線扱いで運転されている。
終点の山陽姫路。JR姫路駅はすぐそばにある。山陽姫路にある山陽百貨店で昼ごはん。
注文した品が来るまでに時刻表を改めて開いてみると、14時過ぎの列車に乗っていけば
当初の行程どおり、目的のスイッチバック駅まで行ってまた岡山に戻れることがわかった。
昼ごはんを食べてもまだ少し余る時間は正面奥に姫路城が見えるJR姫路駅の喫茶店で
コーヒーとチョコマフィンでも食べて寛ぐ。
14:06発の列車で相生までは順調だった。相生から岡山行きに乗り換えようとして
その前に列車の撮影をしてから乗り込もうとしたらドアが閉まってしまったのである。
撮影などせずにとりあえず乗らなかった自分が悪いのだが、無情にも列車はホームを
離れていった。あまり時間が経っていないうちに再度ホームのベンチで時刻表と
にらめっこすることになった。当然ながらこの後に来る普通列車では本日の行程には
間に合わない。近い時間に上郡に停車する特急列車がある。鳥取がやってくる特急だが、
すぐに次の列車で上郡へ折り返しても、その特急が上郡を発車する8分後の到着では
もちろんその特急への乗り換えは不可能である。この特急列車はこの相生には停車しない。
と、新幹線のページを調べてみると旨い具合に15時発の便がある。
相生には1時間おきに停車するようだが、タイミングが悪かったらこの切り札も使えない。
想定外の出費になってしまったが、こうする他はない。
相生の次は終点岡山。新幹線の旅はわずか17分で終わる。相生では同じ自由席を探していた
広島まで乗っていくというおばあちゃんと一緒に話しながら待つことになった。
若い駅員がエレベーターまでは案内したようだが、自由席の乗車位置までは説明されな
かったようで、成り行きで階段から一番近い5号車まで案内したのである。
おばあちゃんが手にしていた白いナプキンには岡山まで行く、つまりこれから乗る列車
までの時刻は書かれていたようだが、岡山から先の広島行きの列車についても同じく
ちゃんと説明されていなかったらしい。(おばあちゃんがよく案内を理解できていなかった
可能性もあるんだけれども)
終点岡山で案の定、先のおばあちゃんは曲がった腰でキオスクの店員に乗り換え列車に
ついて訊ねている風であった。店員に聞いても要領を得なかったのか、そばの中年女性にも
訊ねてようやくわかったらしい。あまりに迷っているなら案内しようかと遠めに見ていたが
こちらに気づいたらしく、笑顔で会釈した後にホームの自由席車両方向に歩いていった。
岡山から快速マリンライナーで四国入り。時刻表を見ると、この快速列車は高松行きだが
高松から折り返し、土讃線の琴平行きに乗り換えることができる事がわかった。
特急列車を使えば、もう少し明るい内にスイッチバック駅の撮影ができるのだが、
少し迷った末に岡山~高松は未乗区間なので、この行程に変更。
前回の旅と合わせると、瀬戸大橋を渡るのは3度目になる。
瀬戸大橋を渡る前に山を潜り抜けるようになっているために何度かトンネルを潜る。
瀬戸大橋を渡り終えると、列車はデルタ線を高松方面へと走っていく。
松山や琴平方面への高架線が左側へ分かれていくと同時にその方面からの線路が合流する。
坂出はこれから向かおうとしている琴平方面も含めて、ほとんどがここでの乗換え。
時刻表の索引地図を見ると宇多津で乗り換えのように見えるが、坂出で乗換えるように
なっていることを知らないと、時刻表から乗り継ぎを確認するのは少々戸惑う。
坂出を出ると次は終点の高松。通過した何駅目かのホームに白いお遍路姿。
すぐに後ろへ遠ざかってしまったが、やはり四国なんだと実感する。
高松では改札を出て駅舎でも撮影できればと思ったが、琴平行きの発車時間はわずか。
結局改札を出ることはないまま、琴平行きは発車する。先ほど飛ばしてきた同じ線路を
再び走っていく。快速マリンライナーでは停車しないが、最初の停車駅である端岡で、
まとまった人数が降りていく。坂出では学生さんも混じったまとまった人数が乗り込んで
きたが、誰も座ろうとはしない。どうやら次の宇多津~多度津あたりの利用者らしい。
四国では路線と時間帯によっては普通列車だけでは移動しにくい。
どうしても特急列車のお世話になってしまう場合があるが、旅行の場合はこの制約のなかで
いかにして普通列車だけで乗り継げるか、その行程をパズル感覚で組み立てる楽しむが
時刻表にはあるだろう。あくまでも個人的な趣味による考え方ではあるが。
予想通り、多度津でそれまで通路に立っていた客は降りていった。
私を含め、席に座る客はその多くが終点琴平まで乗っていくに違いない。
多度津から土讃線になるが、架線が通常2本なのに、パンタグラフが触れるトロリー線
一本のみになっている。まるで路面電車のようだ。なぜなのかはよく知らない。
琴平のひとつ手前、善通寺で反対列車との待ち合わせで4分停車。
琴平では気動車の1両編成に乗換え。残念かな、ロングシートであった。
阿波池田まで客の変化はないものと思っていたが、途中の黒川で女の子2人が下車。
ホームのかなり下にある自転車置き場まで緩い階段を下りていく背中が2つ。
どちらも学生さんらしい。列車はゆっくりと動き出した。
その後も各駅で数人が下車する。沿線利用者はそれなりにいるようである。
坪尻はこれから降りる予定であるスイッチバックがある駅だが、
そのひとつ手前、讃岐財田で特急列車追い越しの為に15分停車。
この車両にはトイレがないので、駅の撮影ついでにトイレに列車を一旦降りる。
次の坪尻駅では特急列車を追い抜くことはできないのだろう。発車間際になって
坪尻方面へ特急列車が走り去ると、ようやく気動車は次の駅へと走り出す。
まだ何とか明るいうちに撮影できるかと思ったが、いよいよ限界らしい。
この分ではデジカメは夜景モードで撮影する必要がありそうだ。
長いトンネルが抜けると、右手に坪尻の駅舎とホームが一段低いところに見える。
列車はそのまま通り過ぎ、やがて減速。左へ分岐する引込み線へ入線する。
運転士は反対側の運転台へと移動すると、今度は進行方向を変える。
先ほどの本線を渡り、今度はホーム側に分岐している線路にゆっくりと入線、停車。
他に同士が降りてくるかと思ったが、辺りが暗くなり始めた無人のホームに降りたのは
私一人であった。岡山方面へ向かう特急列車が本線を通過したのを見送ると、運転士側の
ドアが閉まり、列車はゆっくりと阿波池田方面へと本線へ消えていった。
列車の音がなくなると、近くに道路が走っているのに静かである。
待合室となっている小さな駅舎には駅ノート、壁には特急列車の通過時刻や10分以上
停車する列車について案内が張られている。外は街灯の類はないので、待合室から漏れる
灯りのみである。正面には白地の板に黒字で「マムツ注意」と注意書きの板が立っている。
「シ」のつもりだろうが、「ツ」に見える。蛇が出るらしい。
周りはひっそりと山に囲まれたこの駅への唯一のアプローチである獣道は遮断棒がない
線路に板を置いただけの風情の踏み切りの奥に続いているが、真っ暗で先は見えない。
後で調べた限りだと、上を走っている道路には出られるらしいが、果たしてこの駅の
利用者はいるのだろうか?一人でもいるから駅がこうして存在しているはずではある。
ただ利用者をこの目で確認したわけではないので、駅の存在は少し疑問ではある。
琴平行きが来るまであと10分足らず。駅ノートを捲ってみる。
2日目に訪れた篠ノ井線の姨捨同様にこちらもほぼ毎日誰かが訪問しているようだ。
ただ列車の本数の関係か、車での訪問がしにくいためか、こちらは若干訪問頻度が
少ないような印象を受けた。
「マムツ」や熊に襲われないかと少し不安に感じつつ、やってきた岡山方面の列車に
無事乗り込むことができた。ワンマン列車には何度か乗車経験はあるのだが、
スイッチバック駅での乗車経験は無かったので、どちら側のドアから乗り込むのかと
迷ってしまったが、運転士が窓から顔を出し、乗車口を指で示してくれた。
琴平方面では阿波池田よりのドアから乗車するのである。
再び先ほどくぐった長いトンネルを抜け、讃岐財田で特急列車の通過待ちで4分停車。
塩入で阿波池田方面の普通列車とすれ違い、琴平には定刻着。
先程とは違い、乗客は坪尻で私が一人増えただけで琴平までは乗客の変化はなかった。
客は私と同士と思われる少年が運転席横でずっと頑張っていたが、いつのまにか席で
居眠りをしている。中学生か高校生らしき女の子が一人、あとは30代とみえる男性。
琴平からは高松ゆきに乗り換える。
銀色に青帯を巻いたガラガラの車内では長すぎる気がする編成だが、多度津あたりから
乗客が増えていくに違いない。と思ったが、次の善通寺で学ランの黒い数人がすぐ前の
ボックスシートに分かれて座り、車内は少々賑やかになる。
北海道でもこの四国でも学校帰りの列車にいる時間は、エネルギーをよく使う彼らに
とって小腹を満たす大事な時間というのは一緒のようだ。
お互いが各自のケータイを弄りながら、おしゃべりしながら菓子パンをほおばる。
あまり微笑ましい光景ではないが、彼らにとっては何より貴重な時間なのであろう。
北海道でも乗り合わせた列車内で感じたことであるが、もうすぐ春休みである。
卒業式を控えているなら、向かい合って座っている彼らのどれだけが卒業後も友達として
つながっているのだろうか?ケータイの電波だけのやりとりで友達と考えているのかも
しれないと。それが理由でケータイから常に目が離せなくなってしまっているのなら、
大げさな表現だが、彼らはケータイ世代の犠牲者なのかな、とも考えを巡らす。
金蔵寺で阿波池田方面への特急列車待ち合わせで数分停車。
左手をかなりのスピードで特急列車が走り去っていく。黒服集団以外は私が乗っている
車両には乗客が増える様子はなかった。坂出から先で増えるのかもしれない。
坂出からは快速で夜の瀬戸大橋を走っていく。定刻岡山着。
大阪のような土砂降りの雨に濡れながらということはなく、ラーメン屋を探せそうだ。
岡山駅前から走っている、岡山電気軌道が運営している市電でギリギリ100円区間である
県庁通りに停車する直前でラーメン屋の灯を見つけた。
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