閉有弐胚洋吐
小田急ユーザとしては、小田急が熱い。外も暑い。6月に続いて、今月も目が話せない小田急ロマンスカー。6月に地下鉄直通のロマンスカーとして話題をさらったMSEが今度は初めて江ノ島線へ運行することになった。その名も「湘南マリン」号。運行は臨時扱いで、特急券も行先案内板も「臨時51号」や「臨時特急」として案内されている。湘南マリン号が唐木田駅に入線したとき、MSEの側面表示は何も表示されなかった。これは往路も復路もずっとそうだった。しかし前面と後面の小さい電光表示板には「湘南マリン」。個人的には側面も期待表示も期待していただけにちょっと残念。朝6時半に目が覚めて、何とか唐木田駅に間に合った。22日はこの運転初日を祝って、終点の片瀬江ノ島駅のホーム改札寄りで、海の王子と女王による到着式が行われる。もっとも海の王子と女王は江の島への観光客を増やすためのキャンペーンボーイ&ガールに過ぎないので、彼らそのものには興味はない。湘南マリンの到着式に登場することに関心がある。つまり彼らは私にとってはこの日だけのネタ。新百合ヶ丘から折り返し、小田原線では相模大野駅に停車。3番線ホームに停車後、ホームウェイのえのしま号のように江ノ島線へ入線。入線後すぐにMSEが営業運転で初めて江ノ島線へ入線したと車内アナウンス。大和へ着くまでに例の王子と女王が記念品の入った袋をお客に渡していく。渡されたものの中身がすごい。団扇やパンフレットは普通だが、しっかりとMSEの宣伝をするがごとく特製メモ帳があった。(終点の片瀬江ノ島駅でも販売してた)江ノ島の観光促進の宣伝もパンフレットの数を見ると、力の入れようが伝わってくる。しかも新江ノ島水族館に限ってはカンバッチまで付属。景気低迷の最中、コスト削減を叫ばれている時代だが、そんなものは江ノ島、小田急には関係ないらしい(笑)終点の片瀬江ノ島に到着し、到着式が行われただけでない。改札そばでこの日の10時までの限定(湘南マリンが9時32着)のMSEのロゴが入った帽子などのクッズ販売をするなど力の入れよう。江の島という有名な観光資源を守備範囲とするだけにひとりでも多くの方に利用してもらおうとするロマンスカーへの小田急への情熱を感じた。「竜宮城」に来たわけだが、亀ではなく青い湘南マリン号である。すでに一緒に乗り込んでいたわけだが、海の王子と女王が浦島太郎を出迎える役と思えばいいか。帰りの湘南マリン号は「臨時52号」として16:33発。それまでだいぶ時間がある。せっかくなので江ノ電などに乗って鎌倉あたりまで散策してみることにしよう。江ノ電の江の島駅前の踏切。奥に湘南モノレールの湘南江の島駅。この踏切も良く見れば、珍しい構造をしている。普通は線路を横断するが、三叉路上にあるために場合によっては線路と並行しながら渡ることになる。今までに間違って駅へ侵入してしまったというトラブルはなかったのだろうか?湘南モノレールに乗って大船まで行こうかと思った。デジカメの充電をし忘れたのでネットカフェを探したが、竜宮城の前にはないらしい。あるのは海と夏の暑い太陽と空。そして少し遠くに江の島に建つ白い灯台。砂浜までもう夏は広がっている。リアルな「湘南爆走族」の光景。江ノ電沿いの商店街を腰越駅まで歩いてみたくなった。唯一路面区間となる江ノ島駅~腰越駅だが、何度見ても良い景色だ。江ノ電といえば、鎌倉高校前に広がる海とこの路面区間が浮かぶ。乗っていると、それまで線路だったのに突然道路上を走っている不思議な感覚が今でも好きである。車両によっては、展望を意識した造りになっていて京急のように、クロスシートでゆっくりと展望が楽しめる。腰越を過ぎて、鎌倉高校前に差し掛かる頃には窓いっぱいの海が誰もを振り向かせる。今は夏だ。見ない者はいまい。終点鎌倉駅。藤沢駅も味わい深いのでどちらが良いかは甲乙つけ難い。程なくして列車は折り返し藤沢に向けて走り去っていく。鎌倉駅前にはあるかもしれないとネットカフェを探してみたが、こちらもなさそうだ。そのうちにずっと奥まで続く御成通りを歩いてみたくなった。祭りの縁日とは異なる賑わいが絶え間なく奥まで続いている。懐かしい駄菓子を売っている店でアイスを買い、ひと休み。暑い体に冷たいバニラアイスが染み渡る。うまい。帰りの江ノ電では鎌倉高校前を降りる。降りたくなる光景。砂浜に出てしばし、海からの風を受けながら、サーフィンと泳ぎを楽しんでいる人達を見る。夏らしい若い声。サーフボードを担いで歩く日焼けした女の子。サーフボードを水洗いする後姿をしばらく見てしまった。後の階段を上がった踊り場には白いシャツの高校生達が無意味に群がって海のほうを見ていた。なぜか無意味に見たくなる、何か始まりそうな予感。真夏の江の島の海はそんなワクワクさせる力がある。高校生達の後ろを時折、ゆっくりと江ノ電が駅に止まってやがて走り去っていった。いい加減デジカメの充電をしないと時間がなくなる。江ノ電で江ノ島に戻り、湘南江の島駅から湘南モノレール。終点大船までの20分足らず。懸垂式のモノレールは、時折スピードを飛ばす区間があり、ジェットコースターのような面白い感覚がある。電車とは違い、下や側面に邪魔するものがないので見下ろす道路や、すぐ横を通り過ぎるマンションなど独特の風景だ。マンションは同じ高さなら住人と乗客の目が合う不思議な光景が毎日繰り返されているのだろう。大船駅前に都合よくネットカフェがあった。徒歩1分。席もリクライニングではなく、寝そべることができるタイプだった。初めて利用するタイプだったが、足も伸ばせるほどのスペースでちょっと眠るには最適だ。栞戸を閉じても足元は見えてしまっているので、横になる時に向かいのリクライニング席の人と目が合ってしまいそうになるのが難点か。もといオナニーはできぬ(笑)何とか充電が終わらないとギリギリまで待ってみたが十分充電が終わらないうちにそろそろ江の島に戻る時間だ。竜宮城には亀ではなく青いロマンスカーがすでに待っていた。青い臨時52号は江の島の潮騒を乗せた人々を唐木田まで運んでいった。行きも帰りも沿線にはカメラのレンズを向ける人たち。驚いたのは男の子たちやオタクだけでなく、おじさんもお母さんもおじいさんも年齢に関係なくカメラや携帯のカメラを向けていたことだ。青いロマンスカーは人を振り向かせる力がある。真夏の江の島の海のようにワクワクさせる力がある。
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